第17回  「資源大国」になれるとしたら
 
 昨今、原子力を使った発電は、「仮に」事故が起こってしまった場合のコストまで含めると、火力並みの費用がかかることが言われている。先の福島原発の例で言えば、もっともっとかかっているかもしれない。何しろ、あの超優良企業だった(とはいっても、独占的・独善的企業であることもわかったのだが)東京電力を、破綻のふちまで追いやった<注>のだから、すべては地震と津波のせいとはいえ、事故のおこったときのことを考えると、おいそれと、再稼動/原発推進とは言いにくくなっているのは間違いない。
 <注>…正確には国の資金が入っているので、事実上国有化されており、破綻していないとは言いがたい。ただ、株式は上場を維持しており、価格もついて監理・整理ポストにも入らず取引もされている現状を見れば、この表現が似つかわしい。

 となれば、自然エネルギーでの発電ということになるのであるが、これまたコストに見合う発電量が確保できるとは言いがたい。とうとう「海の上」での大型風車実験まで飛び出しているが、誰がどう考えても、コストばかりがかかって、得るものは少ない、下手をすると、大いなる無駄になるかもしれないのである。だったら、資源を取りに行けばいいのであるが、いまだに「買うのが最良」とばかりに、タンカーで中東諸国から原油を買い続けている。もちろん、油田がそうそう日本近海にあろうはずもなく、あっても今から開発ということになれば時間もかかる。当座の手段として買っている、というのならわからないでもないのだが、原発の動かない間、嬉々として買い続けているさまは、原油価格の高止まりと将来の高騰を意味し、又、有限資源の消費を早めてしまっているという面も無視できない。

 「資源は買う物、輸入するもの」が当たり前になっている日本。戦争になった原因が、この資源にある、ということを忘れていないだろうか?そして、第二次大戦当時はほとんどなかった、食糧の輸入もかなりに上っている。もし、ひとたび有事がおこれば、今度は兵糧攻めに遭うことだって想定しておかなければならない。そういったことに政府ははっきり言って無頓着である。
 だから、というわけでもなかろうが、日本海側にメタンハイドレートの「畑」が広がっていることは、仮に知っていても、お口にチャック。採取・開発にいたろうとしないのである。理由は、やはり石油に群がる既得権益の側の圧力なのだ。しかし、である。

 もし仮に「天然ガスの塊」が日本国内で賄う以上に取れるとなれば、どうだろうか?確かに原油は取れなくても、天然ガスを必要としている国はいくらでもある。そう。「売れる」のだ。資源を売れる国がどうであるか、は、中東各国や、マレーシア・ブルネイを見ればよくわかる。つまり、資源を持ってしまうかもしれない日本は、おそらく、某氏も書籍のタイトルにした「とてつもない日本」になってしまいかねないのだ。
 これを妨害する勢力があるとするなら、日本を発展させまいとする勢力と同意義と考えるのは飛躍しすぎだろうか?むしろ、このメタンハイドレートを実用化しようとする既得権益が発生してもおかしくない。国が資源を持とうとしている現状は、この、大きな「権力」のせめぎあいであり、また、緊張が高まる日本を中心としたアジアのパワーバランスを一変させかねない。日本が中東各国、せめてブルネイクラスのようになれるかどうか。国家観を考えられる人がどれだけ国の中枢にいるのか・・・。目先の政権・税金ばかりにしか興味のないどせうでは、どうにもならないとしか言いようがない。


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