第21回  逆「2位ではだめなんですか」
 
 ロンドンオリンピックも宴たけなわになってきている。個人的には、「意外な人/ペアのがんばり」と、盛者必衰を絵に描いたような結末を見せられることとなり、一喜一憂させられている。
 今回の特徴は「日本選手団の銅メダルが、他国に比べて多い」という点である。日本が獲得したメダル数を一覧にしたwikiによると、現時点(8/1)での11個は、84年のロス五輪の14、前々回のアテネ五輪の12に次ぐものであり、特に柔道での銅メダル獲得が目立っている(3位=銅は2カ国あり、ここに日本が滑り込んでいるのである)。
 メダル総数では、実は3位と大健闘しているのだが、「輝くもの」が少ないため、トータル順位は大幅に低いまま。特に、世界選手権で優勝している女子サッカーには、ディフェンディングチャンピオンとして当然の「色」が求められるのは当然の帰結といえよう。

 つまり、チームの一挙手一投足が、優勝に向けた動きなのである。負けてはいないが、「勝つ必要のない/引き分けがベスト」という、むしろ難しい試合展開を試合の途中で指示した監督の采配こそ、次の一手を考えたときのベストな指示であり、国際試合でのこういった駆け引きができることが、監督に求められるものであるといっても過言ではない。蛇足だが、これくらいのことが、日本外交にでもできるのであれば、もう少し国益は守られるのだろうけれど・・・。
 ところが、これにいちゃもんを付ける、自称スポーツジャーナリストがいるというではないか。それも彼自身はサッカーが主戦場、とわかって二度ビックリしたのである。

 全文はこちらを参考にしていただきたい→サッカージャーナリスト 大住良之 「引き分け狙い…なでしこ、フェアプレー精神はどこへ」http://www.nikkei.com/article/DGXZZO44407890R00C12A8000000/?dg=1 (筆者注:内容がやや偏っているため、削除・訂正される可能性もあります)

 勝負事であり、「勝つ」ことが何よりの美酒であることは、勝負師でもある監督はじめチームの全員が思っていたはずである。とはいえ、勝って勝って勝ち続けられるほど、サッカーは甘くない。疲労を少しでも軽減しようと思うのなら、移動のない選択肢を選ぶことに、異論をさしはさむ必要はない。又、結果的に「負けなかった」ことは十分に価値のある試合だと思う。
 この文を書いた人がもし監督をしていたならば、今頃チームは予選をトップ通過しただろうが、疲労困憊で、「小事を獲って大事を怠る」という結末になっていたであろうことは察しがつく。その頭脳プレーが評価されず、挙句の果てに「眠い目をこすりながらテレビの前で試合を見守った少年少女たちを含めた日本中の人々を落胆させた罪」(抜粋)とまで言い放ってしまった。勿論、次のベスト4を決める試合に勝てるかどうかはやってみないとわからない(何しろブラジルが相手・・・)。しかし、「ベストとは言わないまでもベターな選択」をしたことを評価せず、別の競技の無気力試合と同じように評価する。ここまで貶める必要がどこにあるのか、と聞きたいところだ。
 某襟立て女は、首位を取ろうとする事を不服として、「2位ではだめなんですか」といったのは有名な話だ。今回のこの、「首位通過こそが王者に課せられた宿命/引き分けなんぞ許されない」とばかりの書きように、あのむちゃくちゃな政党の仕分けとやらがダブってしまい、暗澹たる気持ちにさせられる。
 
 コーナートップへ