第22回 質より量
今回のロンドンオリンピックは、当方の予想をはるかに上回る、メダルラッシュの現出となった。
一部、「確実視」された人々のメダル獲得はならなかったものの、女子レスリングでは金3個と今大会で独占に近い数を所得(レスリングに近くなってしまったJUDO<決して「柔の道」競技ではなくなったと思っているのでこれからはこう表記していく>が金ひとつというのと対比が激しい)、望外、ともいえるメダル獲得者も現れるなど、総数だけでみるなら、史上最多になることは間違いない。
※・・・これまでの「総数」での最多はアテネ五輪の37個。メダルが確定している男子レスリング66キロ級の銀以上を加えると38個となり、最多は確定している。
内容は、というと、8/12夕方時点で金6銀14銅17。実はメダルラッシュの立役者は、「銅メダル」なのである。一番獲っているのは競泳の個人種目。団体戦でも銅を意外に取っている。
よく言われるのは、金メダルの獲得数で国別の順位が決められることである。この方式でいくと日本は11位になる(レスリングが金でも、同数で並ぶオーストラリアに銀の数で劣っているため、順位は変わらないとみる)。しかし、総数で順位を取り直すと6位に躍り出る(フランス/イタリア/ハンガリー/韓国などを総数では凌駕している)。
確か、日本選手団の金の獲得予定は、「10〜15」というものだった。ほとんどの人がそういう「大風呂敷」を覚えていないだろうが、目標がそこにあっても、対戦相手のあや、誤審、そもそもの目標設定値の甘さなどがあるから、当初から「あんまり大きいことはいわないほうがいいんじゃないの」とはおもっていた。取れるべき人が取れなければ、目論見などあっという間に崩壊するからだ。
メダルを取ることが目標であっても「必ずしも金」であることはなく、そこに近づくことが重要だと考えるのだ。その結果の「色違い」なのだから、とくによくいわれる、「金あらざればメダルにあらず」的な報道には、首をかしげるのである。
むしろ、この大量のメダル獲得に慢心せず、もうひとつうえのメダルが目指せる状況に至れば、二桁獲得など、夢ではなくなる。量が取れる、ということは、質を上げることに傾注していけばよいわけであり、今回のオリンピックは、想像以上の収穫であったといわなくてはなるまい。
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