第31回  総選挙雑感 その1:どぜうの遠吠え
 
 領土に対する「ウルトラC」はやってのけなかったが、最後の最後で、野田氏はある種の恐ろしい禁じ手を使って、政局打開を図った。
 それは、党首討論で、衆議院の解散時期を明言するという、これまでの歴代総理のやってこなかった「E難度」の技を繰り出してきたのである。

 識者やコメンテーター諸氏も「前代未聞」とするこの解散時期表明。しかも、14日の討論会で「あさって解散」とは・・・びっくり/驚きを通り越して、「今までのんきに構えていたのにどうしてそんなに慌てるのか」と思わずにはいられない。
 なんとなれば、8月に「近いうちに信を問う」と表明して以来、3ヶ月。11月初旬まで、「年内解散・総選挙は難しい」「そうまで慌てて選挙するつもりがない」「もはや『近いうち』でないのだからいつやっても一緒」と外野からは言われ、日露首脳会談に色気を出しているといわれていた野田氏。しかし、こうまで慌てるのには、自らの保身以外に理由が見当たらない。
 内閣不信任案を出され、身内である党内からも大量の造反者が出ることはほぼ必至となっていたわけであり、晩節を汚すくらいなら、専権事項である解散権の行使で「幕引きだけは自分の手で」と考え、野田下ろし(陰で糸を引いているのは某ガイコツと、細野氏といわれる)に先手を打つことで格好だけは付く、というのが彼の考えだろう。

 近いうちがいつまでも行使されないことに野党から「うそつき」と呼ばれたことに小学校の通信簿を取り出して自己弁護するくだりは(正直の上にバカが付く、なんて、先生が実際書きますかね・・・)、あの、代表戦のときの自身の生い立ちを語る部分とダブって見える。在りし日の自分を知ってもらうことでそれを知らない人間を説得できると考えての物言いだろうが、子供のころの評価が、大人になってから/政治家になってからの評価と、まるで延長線上にあるかのように言いくるめようとした、それだけで十分うそつき/詭弁/詐欺師だといってもかまわないと思う。そもそも、野党時代に増税反対といっていたのはどこの誰でしたっけ・・・w

 結果的に、自身が野党だった時代に「ころころ首相を替えるなんて」と自民党を批判してきた自らも、自民党が攻勢に転じる前に、自滅してしまった、というのがこの3年あまりの実態である。何一つまともなことはせず、マニフェストにないことばかりを先決して、諸外国には相変わらずの言われ放題。それでも十分に3年間で「日本の頂点に立ち、遊べた」のだから、そろそろ大政奉還していただきたいものである。
 
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