第33回  総選挙雑感 その3:政党ロンダリング
 
 「第三極」などと、要するに「自民も民主も駄目だから、新勢力に期待」という感じしか見えない造語に、維新効果を感じ取った面々がまたしても「野合」批判を恐れずに新党を立ち上げた。
 今回は、よもやの現職県知事が党首となる「日本未来の党」。早速飛びついたのは「国民の生活が第一」の小沢氏で、党名を変えての選挙戦ということになる。

 合流というと聞こえはいいが、よくよく考えてもらいたい。
 それこそ「未来の党」は選挙が現実のものとなっていなかったら立ち上がっていない政党であり、滋賀県知事とか言う女性にしたところで、今まで国政に色気を出していたことなど一度もない(新幹線新駅問題で一時やりあったことがある程度/最近の原発問題でチョコチョコ顔は出しているものの、国政を変えるという発言は聞いたことがない)はずで、この時期に新規政党を作るのには完全に「裏」があると見て間違いない。
 その答えが、小沢-県知事会談にあった。小沢氏に言われて「党を作った」と明言しているに等しい発言をしているのである。

 ここで気になるのは「どうして、小沢グループに合流しなかったのか」という素朴な疑問である。党首たる知事は国政未経験。方や小沢氏は合流前は弱小政党の代表だが、一時期は権勢をほしいままにしてきた辣腕政治家である。もったりした政党名とはいっても、「代表 小沢一郎」で選挙を戦ったほうが(無罪も確定したことですし)論点が明確になるはずである。<旧・民主党の理念の正当な後継者を標榜するから「国民の生活が第一」というスローガンを政党名に持ってきていたはずであり、ここに来てその旗印をおろすことに抵抗もしていないとすると、その党名も所詮「お題目」程度の役目しか負っていないことを図らずも露呈させてしまったことになる>

 ということは、ただ単に「党名が、あの民主党の設立当時のスローガンとかぶっているのがまずい」ということで合流したわけではなく、新規政党を「隠れ蓑」にして、「未来の党の候補者」という形で有権者をごまかそうとする魂胆が見え隠れする。
 結局党名を変えたところで、やっていることはといったら、ほぼ民主の政策と同一。むしろ国勢を弱体化させる「卒原発」なる新語を作って又原発を俎上に揚げようとする。それでちょっとは議席を得られるのだとしたら、こんなおいしい「商売」はない。

 そうなってくると、負けるとわかっていまだに大看板にしがみついている民主の候補者のほうが十分に気骨がある、と変に評価してしまう。というわけで最後に一句。

              ちょっと待て その新党は 元民主


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