第34回  総選挙雑感 その4:船頭が多いとどうなるか?
 
 もはや「自民党VS民主党」ということではなく、第三極政党の「どこがより議席を得られるか」ということが関心事になりつつある今回の選挙戦。要するに政治家諸氏の考えとしては、自民も民主もいや、ということがよくわかるし、又、第三極がブームだから、と世論が勝手に作った「風」を真に受けてそれに流されているようにしか受け取れない。
 きれいごとや詐欺まがいの、「出来もしないことを出来ると言い張る」虚言癖をこれまで散々見せ付けられているわれわれにしてみれば、第三極がどんな風に政策を展開したとしても、所詮民主党の二番煎じ、よって劣化しているか、コピーしたに等しいものしかお目にかかることがない。原発がらみで文言こそ違え、脱原発よりになっているのが何よりの証拠である。
 
 原発がらみのみならず、政策の不一致が取りざたされているのが、なんと「元祖・第3極」の「日本維新の会」なのである。
 先般日本記者クラブで行われた11の党首による討議会の席上、代表の石原氏が、原発のフェードアウト(徐々に原発の発電比率を引き下げて最終的にゼロにする/ほとんどどの党もこれに近い。即停止したところで、当然、冷却のための電力は必要であり、完全に停止するには数年の期間がかかる)について聞かれた際、「そんなことは書いていない」とまるで知らないかのように発言。又政権を担い首班指名を受ける際に、代表代行氏は石原氏と決めているのに、当の本人は、平沼氏を推している。
 まあ、この人自体がかなりの頓珍漢なのだが(尖閣の都保有が失敗に終わってからの言動がめちゃくちゃになっている/尖閣の都保有もかなり無理筋なんですが・・・)、この首班指名の発言は恐るべき事態を招きかねない。
 
 「誰も落選しない」ことをまるで是としているかのような発言であることにお気づきだろうか?又、仮にそういう局面に維新が立ち入ったとして、代表が首相を受けないとはこれまた聞いたことがない。党首/総裁/代表と、呼び名はいろいろあれども、党のトップが就任するのが流れであり、要職についているとはいえ無役の人を首相に担ぎ上げるなど、まるで自分で何でも物事が決められるかのような妄言がつい口をついて出てきてしまうのである。確かに「太陽の党」時代であれば、共同代表だったから、そういう考え方もありかもしれないが(勿論、あのクラスの政党に首相の大役が回ってくるはずがない)、もはや「維新のコマ」に過ぎないことをすっかり忘れてしまっているかのようだ。

 確信犯かどうかは別にして、「やはり維新は一枚岩ではない」と印象付けることになった今回の討議会。橋下・石原という個性の強い、そして「我も我も」という性格の二人が党を率いるとどうなるか・・・。そして維新のみならず、似たり寄ったりの政策しか打ち出せず、「維新まがい」「カクレ民主」に成り下がってしまっているほかの第3極とか言う政党たちは、選挙戦で「いかに有権者を甘言でだませるか」を競い合っているようで仕方ない。
 「まともに政治してくれそうな政党」を見つける選挙になることはすでに書いた。寄り合い所帯で、確実に分裂・瓦解するところにだけは投票しないように心がけたいものだ。

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