第36回  いまさらながら「原発問題」を考える
 
 総選挙の結果は、当方が書くまでもなく、世の中の、良識に従って行動された方が多勢を占める事になったということであり、又、所詮「3年3ヶ月前に戻った」という部分でいうと、何も得はしていない。むしろこれからの政権運営は一筋縄では行かないだろうことは察しがつく。

 さて、今回の選挙の争点のひとつに掲げられたのが「原発問題」である。とはいえ、自民も民主もあまり声高に言うことはせず、第3極政党の一部がこれを話題にしている風に感じられた。特に「卒原発」と最後に又珍妙な造語を作った「日本未来の党」は、旧「国民の生活が第一」の議席数を確保できず、社民党もいよいよがけっぷちにまで追いやられた。
 私個人としては「事業者目線の安全対策で運営するから、天災による事故が起こった」と見ているものであり、事故が起こったことと原発の安全性/安価な発電アイテム/化石燃料を使わないクリーンさとを天秤に掛けるべきであり、すべての原発が危険であるとは到底思えないのである(ここ最近、活断層云々が表ざたにされているが、建設当時の役所はここまでの調査をしていなかったことの裏返しでもあり、アリバイ/いまさらながらの調査のにおいがぷんぷんする)。
 そして意外に知られていないのは、今止めている原発に対しても「電力は必要である」という事実である。福島原発を例に出すまでもなく、冷却系統の電源が喪失したから事故に至ったわけであり、冷やし続けることがどうしても必要なのである。つまりいったん稼動してしまえば、この問題とは避けて通れるものではない。それこそ「すぐにでも廃炉にしてしまえる」風にこれら政党はいきまいていたわけだが、結局代替エネルギーを提案できていないことなど、またしても「絵に書いた餅」を見せられるのを嫌った有権者からそっぽを向かれたものと考える。

 「今はひとり」政党党首もめでたく落選(あそこまでの反日性を表に出せるとは確実なるキ印)、「小沢新党」もとうとう一桁という寂しい結果になってしまった。
 自民党の政権に戻ったとしても、この3年間の政治空白はあまりに重い。やるべきことは山積しており、大勝を諸手を挙げて受け入れるのはやや難しいといわざるを得ない。安倍氏の見つめる「原発像」とはどんなものか、聞いてみたい。

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