第3回  自殺と入試に因果関係があるという妄言
 
 体罰が原因でキャプテンの高校生が自殺してしまった大阪市立の高校。改革大好き、混乱上等の「あの」市長は、今度はこの自殺者の出た高校の入試に関して横槍を入れてきた。体育科の入試を取りやめるというのである。

 この決定にあきれて開いた口がふさがらない諸兄も多いことだろう。市長がするべきことは、高校の体質改善であり、今年入学する受験生に迷惑をかけるような行為を平然と行える(今の時点では意見表明であり、教育委員会が最終決定することになる)その「指導力」の強さを誇示しているように映って仕方ない。
 一応、ニュース映像(2013.1.16 スーパーニュースアンカー上)の、市長の発言を起こしてみる(完全ではなく、文言に差異あるが、趣旨は曲げていません)。
    バスケットボール部、バレーボール部以外のクラブがどうなのか見るまでもなく、今の段階で体育科の受け入れ態勢がなっていない、ということで入試を止める、と
    
    学校のクラブ活動のあり方を大きく変えるというんであれば、保護者の意識も変わってもらわないといけないし、生徒の意識も変わってもらわないといけない。このまま入試をやってしまうとですね、今までの同じ意識のまんまで桜宮高校に生徒が入ってきて
    しまいますから過去の連続性を断ち切るためにも一回は体育科の入試を止める

 実は大きな疑問がある。「普通科の生徒はクラブ活動をしていなかったのか」という点である。体育科の生徒しかそういうクラブに入れない、というのであれば、それこそ大きな差別であり、区別でもある。勿論、その道でしか生きていけない運動得意の生徒を生かすための策であるはずである。それをも「自殺したから」という理由でお断りする・・・。どこに「彼」の目が向かっているのか、正直耳を疑う発言である。「連続性を断ち切る」とか言う、観念的な言葉で理解を求めようというのがそもそも間違っているというのが分かっていないようだ。
 アンカー出演の青山氏、キャスターの山本氏も、この発言には怒り心頭で、青山氏にいたっては、「インタビューに出ていた、中3生が「大人の問題なので何で僕たちがそれで受けられなくなるのか分からない」という発言をしていたが、子供に正しい道を教えられているようだ」とまで言い放っている。又、高校生の発言も引いて「子供たちの意見にも耳を傾けてもらいたい」と、発言していた。

 「多少の犠牲はやむをえない」改革が、今回の入試中止という形であらわになった。彼の改革そのものが何かを破壊することでしか行えない、又、それは「弱いもの」に迷惑をかけてもかまわないという点で、少なからず、今後の「維新」の国政にも影響を与えそうである。


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