第5回  実写化は罪なのか?
 
  先般、『パトレイバー』の実写化第一弾の映画を劇場で拝見した。→ブログ紹介記事はこちらをチェック
  映画評、と言うことを本当に数年ぶりにしたこと、そもそも邦画の実写映画を見るのは10数年ぶりと言う状況の中で、さほど低予算に感じられないながらも、ややB級臭のする実写版を見て、『実写化の功罪』を考えずにはいられない。

  映画評を一種の生業にしている人から見ても、『絶対におかしい』と言う評価しか与えてもらえなかった「ガッチャマン」や、それまでの実写化失敗事例としてよく挙げられていた「デビルマン」などの、興行的にも失敗した作品が後を絶たないところである。
  どうすれば、ここまでデフォルメでき、なおかつ誰からも総スカンを食らってしまうような作品が作られるのか。おそらく、そこに『愛』がないからだろう、と思うのである。
  今回の『パトレイバー』の場合、監督は、この作品(アニメーション版)に深く関わった押井守氏。つまり、アニメーションを作るかのように実写映画もまとめたという風にも見て取れるのである。もちろん、3次元と2次元では、今回の映画のシンボルともいえるレイバーのモックアップひとつを取ってみても、一筋縄ではいかなかったであろうことは想像に難くない。
  でも当方としては「色眼鏡」がかかっていたと揶揄されても、この作品の完成度の高さ・・・もちろん、不十分な中での『完成度』なのだが・・・には脱帽するばかりである。二足歩行ロボットが、それも巨大なものが、一部CGによる補助があるにせよ、実動している姿に惚れ惚れし、また感動もしたものである。

  さて、今後、外れも多くなるであろう実写化されるタイトルは引きも切らない。直近では小栗ルパンが暴れる『ルパン三世』、来年公開予定の『進撃の巨人』、劇場版の単純リメイク『魔女の宅急便』もある。実写化→劇場、と言う脊椎反射できそうな作品がひとつも無いどころか、どこまで原作の風味を破壊して、観客を萎えさせるのか、がポイントになってしまうような、実写化ならごめんこうむりたいのである。そもそも、日本で作るから日本人が主役、なんていう古臭い慣習と言うか、固定観念からは脱却すべきだと思う。視野を広くもてない業界が作る『ガラパゴス』感満載の実写映画・・・。だからいまひとつなのだ、と言うことにそろそろ気づくべきだと思うのだが・・・。


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