第 6回  どう読み砕いても「退位」のご意向を感じない件


少子高齢化、は日本の抱える大問題なわけだが、それは皇室と言えども同じであった。
男子が誕生し、皇位後継者ができたことは日本中を沸かせたところだが、翻って、現在進行形の事案については、誰も触れたがらない、というのがこれまでであった。

7月中旬の、「生前退位」報道は、一種唐突と見られがちだが、ただ単に座っていればいい「お飾り」ではなく、様々な行事をこなさないといけない、"働く天皇"という側面から見ると、老体にムチ打って、祭事・神事をこなされる姿は、まさに背負うものの違いを見せつけている。

今回のビデオメッセージをどう解釈するか…
いや、正直陛下の真意を忖度するなど、無礼にもほどがある。あのメッセージをそのまま飲みこむしか我々にはできない。

その上で、私が気になっているところ、というか、「あ、辞められる/生前退位する気がないのだな」と思った部分がこれである。


 天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます。また、天皇が未成年であったり、重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には、天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし、この場合も、
天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。

下線部を何度も読んでいただくと、一度即位したら「死ぬまでが天皇」であり、前回・昭和天皇の際にも危篤状態に陥った際に同様の措置が取られているはずである。
また、この後には

天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、1年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。

と述べられたわけだが、これについても「しきたりだから」で済ませられることなのかどうか、みんなで知恵を出し合って、と言いたいとは理解しても「だから、譲位するわ」とどうしても読み取ることができない。

かなり乱暴に要約すると、「年よりの天皇ですが、今の制度では自分の意思でどうにもできないんですよ」くらいにしか読み取れず、「退位に強いご意向」などと解釈するのは当方はできかねるし、そう読み取れるという根拠がどこにもない。

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