銀河漂流 バイファム 概論
 
  放送回解説 その5  24話・25話

  第二十四話   ケイトさんの日記

 私が、この物語が、半年打ち切りも視野に入れて作られたのではないか、と考える根元の一つに、この2週に渡る総集編がある。確かにストーリーものだし、途中見ていないとわからなくなっている部分もなくはない。しかし、全体的に平易な部分が多い中にあって、これらが必要かどうかははっきりしない。
 しかも、この期間にプラス、改編期のごたごたで、一回や二回は放送回は飛んでしまう。これだけで、一ヶ月の猶予ができる。この期間に追加のストーリーを作る事はそれほど難しくない。もちろん、「一年通し」でストーリーを組んでいたかもしれないが、いずれにしても、総集編の存在は不可解である。
 さて、総集編第一回目は、ケイトがつけていた、日記をみんなで聞くというスタイルを取った。
 早速一話のオープニング。ほぼそのまま。ところが、ここで、ケイトは、とんでもない事を口にしているのである。
 「AD2058 10月21日」クレアドが襲われた、と記録されている。という事は、12話までで何と90日近くかかっている計算になる。これは明らかにおかしい。
 ケイトの日記なので、ケイトがらみの記述が多くなっている。二話、三話も使われた。四話でのカチュア、ジミーの救出劇、そして、派手なバーツの登場も描かれた。
 5話では、ジワイメルへ出かけたクレークと、帰路遭難する彼が描かれる。まぁ、何度見ても不細工この上ない。6話でも後半がメインとなってかなりしっかり時間が割かれていた。
 7・8話共、ほんの数シーンだけの挿入。9話も少し使われたのだが、何と、10話は一切使われていない。これは意外だった。
 シャトルで離陸するところを使った11話。他にも、遺跡の異変に気づくシーンもいれてあった。12話では第二ステーションからの発進のみを採用。残念ながらあのかっこ悪い、「サブコンピュータ」の一件には触れていない。
 発進したジェイナスであったが、13話を、戦闘シーンを中心に挿入。そして、14話では、ラレドとの絡みとラストシーンを使った。
 いよいよカチュアの正体がばれる15話は、自分の飲んだくれは棚に上げて、クルーが混乱するところだけがかかれていた。
 この時点で、ケイトの日記は終わっている。そりやそうだね。16話で死んでますから。最後は、ロディの宣言でこの回を〆る。

  第二十五話   ザ・グラフティ ロディ・シャッフル
 前回の総集編では、ケイトが記述者であった事もあって、15話までが述べられるにとどまった。ストーリー的には、23話まで進んでいるだけに、残りの部分の説明も必要である。
 というわけで、13人の中では、比較的主役に近い、ロディにスポットを当てて解説を加えている。正確には、ロディがバーツに、クレアドからのいきさつを話すところから、ロディの目から見たこれまでを回想する形である。
 ロディの意識は、敵襲に見舞われるクレアドの状況からスタートする。とるものも取りあえず、基地に向かうロディとフレッド。基地からの脱出部分は軽く流した。
 2話もジェイナスの食堂からの記述。みんなが自己紹介を兼ねて姓名と年齢をいっているところからだった。慌てふためくように第二ステーションから出港するジェイナス。しかし、途上で、大人たちはものの見事に淘汰されていく。
 4話の部分もカチュアたちとの遭遇と、今回の聞き手でもある、バーツの登場シーンのみ。そして、又一気に6話までぶっ飛ぶ。6話では、水浴びのシーンがメインに持ってこられた。あと、バルチカンでの軍兵士との会話で終わっている。
 それ以降の放送回は一気に該当回が減っていく。8・9話は見事に飛んでいる。10話も、後半の一部分だけ。そしてまた第二ステーションに戻るのだが、11・12がほぼすべて欠落している。12話は、ジェイナス発進部分だけ。
 そして、なんと、一気に18話の、キッチン大騒動まで彼らの意識は飛んでいた。あとは各個人の奮闘ぶりでちりばめていく。
 13話の宇宙戦初体験を区切りにして、一度現実に立ち返るロディだったが、バーツが眠ってしまっていると知るや、やはり、あの人との思い出に浸っていく事になる。
 もちろん、15話の後半部分。ケイトに酒を断つように説得するところからの数分間は、この当時のアニメーションとしても、高度なドラマ的演出と考えられるわけで、この部分ははずせない。16話も、カチュアが飛び出し、連れ帰るところをメインに記述された。とうぜんの事ながら、ケイトの最後の場面も、である。
 ロディは、ブリッジに出て、感傷に浸っていた。遠くから、ケイトの最後のせりふが画面にあふれる。ここも結構、「きている」部分だ。BGMの選曲が絶好球である。