銀河漂流 バイファム 概論
 
  放送回解説 その8  36話〜40話

  第三十六話   収容所に向かえ!

 やっと、スコットの航海日誌がスタートした。「ジェイナスから離れて四日目」のことらしい。とりあえず、居候としてクルーと行動を共にする事になった、ククトニアンたち。クルーにしてみても、得体の知れない、目的も分からない彼らを長期間にわたって保護できるほどの物資は持っていなかった。
 かなりの量の食事を平らげた彼らは眠ってしまう。彼らの目的を探ろうとした矢先、シャロンが、全員この場から消えたと報告する。色めきたつクルーたち。
 そのころ彼らはお礼の意味も込めて果物や魚をプレゼントしようとしていたのだった。一番小さい子がつりしていたのが間違いだった。かかった獲物はかなりの巨大魚だったのだ。川にまでひきずり込まれる男の子。異変に気づいたロディが、服を着たまま飛び込む。あわや滝壷まで一直線か、と思われたが、残りのククトニアンの子供たちの機転で何とか急場をしのぐ。
 その日の夕刻。釣り上げた魚でちょっとしたディナーが。その席上、スコットは彼らの目的について聞き出そうとするが、言葉が通じず苦戦する。しかし、星図のことから彼らとのコンタクトがなんとなく取れたように感じるのである。そして、今回のいってみれば触媒になった一番小さい男の子が両親のポートレートをクルーに見せる。そして、「パパとママに会いたい」とつぶやくのである。かくして彼らの目的が分かったクルーたちは、自分たちと同じ境遇である事を伝えようと、即席劇にして見せるのである。
 完全に両者のコンセンサスが取れたことで状況は一変する。ククトニアンの捕虜収容所に向かう一行。だが、そうやすやすと行けるわけがない。またしても敵襲。9話であわやケンツをやってしまうのではないか、と思われたのと同型の機動兵器の登場である。橋上で休憩していたため、危ない場面もあったが、そこはそれ、うまく行かないわけがない。
 何とか収容所にたどり着いた一行。そして、彼らの両親はやはり居た。

  第三十七話   囮になったロディ

 ククトニアンの子供たちの導きで、彼らの両親が囚われている収容所にたどり着いたクルーたち。だが地球人は1人もいない現実に「深く、重い絶望の淵に沈み込んでいった」(スコット)のである。
 だが、ククトニアンの子供たちは父親を見つけてしまう。収容所を襲うといって聞かないククトニアンたち。スコットは、それには応じられないと首を横に。しかし、ロディの提案で、クルーの考え方は一気に「襲撃」モードに入っていく。
 襲撃を敢行したのは「二日後」となった。それまでに手はずや敵側の動きを確実なものにするためであった。じっさい、この後の動きはスムースすぎて恐いくらいだ。
 まず「内通」の意味を含めてカチュアとククトニアンの女性の子どもが収容所に潜り込む。深夜の侵入劇はほぼ滞りなく行われた。
 夜明け。第二段階のスタートである。まぁこれは難なくクリア。そして、メルは、一足早く父親と再会する事ができたのである。何とメルの父親は地球語が話せるのである。この事も少し奇異に映るところだ。夕刻。何事もなく収容所の一日が終わる。
 そして夜襲のときがきた。先鋒はやはりロディ。援護にバーツ/マキの新コンビによるトゥランファムがあたり、捕虜の救出にあたった。計画はほぼ予定通り進んだが、最後にミューラァが3機を引き連れて収容所に降り立つ。
 作戦は成功裏に終わったが、親子の再会という余計な副産物までククトニアンにもたらせてしまった。もらい泣きとも悔し泣きともとれる、変な雰囲気に包まれるクルーたち。しかし、地球人の収容所の場所も何とか分かり、次につながる事になった。
 一方、ロディは、ミューラァたちを引き付けるべく、森の奥深くへ逃げ込む。執念を見せその後を追うミューラァ。
 兄を心配するフレッドだったが、カチュアがそれを励ます。

  第三十八話   輸送機をうばえ!

 ククトニアンを解放したクルーたちであったが、囮になったロディは依然森で身動き取れない状態になっていた。それにもまして、解放した人数が余りに多い事も悩みの種だった。
 結局、ククトニアンの提案で、輸送機を奪うべくもう一度基地を襲うはめに落ちる、クルーたち。士気にあふれる彼らに混乱している守備隊。もはや戦果は決まったも同然だった。この事がミューラァの耳にも入る。あわてて収容所に戻るミューラァ。しかし、それを待っていたのはロディだった。
 もちろんヘタレ相手に苦戦するロディではなく、あっさり片づけてしまう。収容所では依然激しい戦闘が繰り広げられていたが、バーツたちの働きでこちら側有利に事は運んだ。
 待機していたクルーたちも感情を押さえられず次々出陣。その姿に、ククトニアンの子供たちも同調する。結局この出陣が功を奏し、トラックで出たクルーたちを救う事になった。いやはや、何が幸いするやら。敵の副官の無様な死まで演出するおまけつきで本当においしい限りだ。
 輸送機を手に入れたククトニアンたちは、それに乗って、コロニーに向かう事になった。別れのとき。そこかしこで別れのいとまが繰り返される。やはり感動は、ケンツと男の子との友情ではなかろうか。輸送機に手を振るケンツ。数日前まで敵だと思い込んでいたものとここまで理解しあえる。子どもならではと考えるべきか?

  第三十九話   包囲網を破れ!
 
 前話でククトニアンの収容所を解放したクルーたちであったが、この事が功を奏し、両親たちが居るという地球人の収容所の見当がついた。今日は、あの旅立ちを見送って三日目という事である。
 途中のオアシス的な廃虚の町に腰を落ち着けるクルーたち。だが、ミューラァの執拗なまでの追撃は、依然やむ事はなかった。
 ここで珍事が起こってしまう。クレアの胸にジャム瓶のふたのコルクが直撃したのだ。クレアを気遣うスコットだったが、少し脱線してしまう。だが、話はそれにとどまらなかった。夕刻、クレアがスコットのトランクで、バーツたちが頼み込んで入れていたエロ本を見つけてしまうのである。険悪な雰囲気になってしまうクレアとスコット。遠目からその様子を見ていたバーツとロディだったが、マキの証言で、事態が容易ならざるところまで来てしまっている事を悟る。
 夜更けにエロ本の焚書を行うスコット。だが、クレアに又見つかってしまう。いうだけ言っては見るものの、堪えようのないスコットに愛想が尽きてしまうクレア。様子を見にきたバーツもここまでこじれている事を知り、正直にことの経緯をクレアに話す。ロディもいっしょになって謝るが、逆に落ち込んでしまうクレア。
 バーツの提案でビームガンを夜明け近くの空に向かってうち放つクレア。なかなか様になっているが、ここで寝込みを襲うように敵襲がかかる。ミューラァ筆頭に計5機。どうやらこちら側の戦力を完全に掌握していたミューラァの作戦のようである。5対3では苦戦するのが当たり前。というわけで危機一髪のとき、巨大な火の玉が上空をかすめ、敵の一機を巻き込んでしまう。
 友軍ではありながら、その圧倒的な火力をもって登場したのは、「第三機動特務隊隊長 ロード・ガンテツ少佐」であった。なりふりかまわぬ攻撃で、ミューラァの部隊はあっという間に粉砕。ロディとの一騎打ちを望んだミューラァは、ロディを追いつめ、後一歩のところまで追い込んだ。
 最後の瞬間、事態は大逆転を迎えた。ジェダたちの大軍団がこの地にやってきたのだった。ロディにしか目がいっていないミューラァの機体にも一発お見舞いされてしまう。第三機動特務隊の機動兵器は対空砲に変形していたため,身動きが取れず、ジェダの部隊の格好の標的にされ、あえなく壊滅した。
 エンディング。バイファムから降りてくるロディを見て、驚愕するミューラァ。ジェダたちと合流して又一歩前進のクルーたちであった。

  第四十話   ミューラァの秘密
 
 ジェダたちのアジトに案内されたクルーたちは、これまでの経緯を語る。その途上、ラレドの話が持ち上がる。ラレドの名前を聞き、びっくりするジェダ。自分たちの仲間で、地球軍とコンタクトを取るのが彼の目的だったと聞かされるクルーたち。
 通信基地へ向かうというジェダ。地球軍に向けたコンタクトを取るのだという。その話にクルーたちが乗らないわけがない。信用を増す意味も含めて、ジェダはクルーたちの同行を許可する。
 ロディは、1人、アジトに残り、ミューラァのいる独房へ。ミューラァと対峙するロディ。面と向かって話をするのはこれが二度目である。子どもと大人という価値観の違うものどおしの話が、何らかの結論を生むはずがない。結局平行線をたどったまま、終わろうとしたとき、博士(サライダ)がミューラァのいる部屋に入ってくる。そこで博士は思わず水を向けてしまう。そして、自らの口で、ミューラァは自分がククトニアンと地球人とのハーフである事を告白してしまうのである。
 ロディが、サライダの元で、ミューラァの事を詳しく聞いていた。何が彼をそこまで駆り立てるのか?結局わからずじまいである。
 通信基地に向かった残りのクルーだが、スコットが通信を始めた直後、例のバッテン印のメカ2機が基地に向かって進軍を開始する。迎撃するバーツたちであったが、敵襲を知り、ロディも現地に急行する。全員一致団結してフローティングタンク2機と機動兵器5機を撃墜させる大健闘ぶり。
 基地の前で勝利の美酒に酔いしれる13人。だが、カチュアを横にロディの表情は暗い。みんな両親に逢わなくてはいけないと力をいれるロディ。ミューラァの過去を知ったからか?