銀河漂流 バイファム 概論  登場人物・一挙紹介

 ドラマであれ、アニメーションであれ、登場人物のよしあしによって、名作にもなり、駄作にもなることは、論を待たない。
 最近の大河ドラマで言うならば、「江−姫たちの戦国−」のキャスティングが物議を醸している。しかし、史実と違う年齢になってしまっていることをあげつらうひとは、ドラマを見る資格はないといってもいい。どだい、すべてのことに丸く収まることなど出来はしないのだから。

 このアニメーションも、同じことが言える。年齢設定上も、また戦闘能力上も、明らかに常軌を逸している。たとえ、それが宇宙が身近なものになっていたとしても、である。しかし、それはアニメーションであるから、そしてひとつの目的に向かう姿が美しく見えるから、多くの人をひきつけたのであり、ことさらにその点をつついても、いい結論が出るわけではないからである。
 13人のキャラクターが物語をいい方向に引っ張ったものであり、その点だけを取るならば、まさにこの13人は、運命的な出会いでほぼハッピーエンドを勝ち取ったといってもいいと思う。

 さて、世の中には「Wikipedia」なる便利なものが存在する。当方も、「詳細はこちら」といいたいところだが、ここまで独自の理論で完成させている概論を、この部分だけ外部資料による引用で済ませてしまうのは「惜しい」と考えている。
 というわけで、外部資料にリンクは貼らせてもらうし、そちらを確認したほうが有用とは思うが、当方なりの人物紹介も付記しておくに越したことはないと考える。年齢は12話でのスコットの日記(2059/1/13)基準である。

→「銀河漂流 バイファム」のwikipediaページはこちら。当方がまったく参考にせず書いているということがよくわかっていただけると思う。ちなみに当方記事は2011.5に作成した。

○ジェイナス・クルー(13人+クレーク・ケイト)
 1.スコット(スコット・ヘイワード)
 15歳。クルー13人のもっとも年長ということもあって、クルーをまとめる「キャプテン」に就任する(12話)。ベルウィックにいるときに「指揮官」の称号を与えられはしたものの(7話)、そのときには乗り気でなく、むしろ消極的であった。
 もっとも、キャプテンという称号を与えられたのは後半のあたりであり、12話ではバーツに「指揮官殿ぉ」とやや揶揄気味に呼称されたり、「リーダー」という言い方をしたりと、ひとつの呼び名で呼ばれることは後半にいたるまでなかった。
 20話で病床から立ち直ると鬼気迫る的確な指示でクルーの人心を見事に掌握する。以後、彼の言がクルー全体の行動を左右することもしばしば起こった。
 むっつりスケベという一面もあり(21話)、しかも必要最小限の荷物で退艦しなくてはいけないはずの非常時にいたってもエロ本を後生大事に持ち歩くなど、明らかに性にたいして卑屈な考え方を持っていたことは間違いない。

 2.ロディ(ロディ・シャッフル)
 14歳。クルーの中では3番目の顔見世での登場となる(フレッドが本を持ちつつ覗き込むようなしぐさをしたときに、ペンチのほうからのアングルがあり、このときペンチの顔もはっきり映っている。ロディの登場より数秒程度はやい)。後述するフレッドはおとなしい文学少年として描かれているが、ロディは活発で、物怖じしない性格に書き分けられている。ただの避難民で済んでいた4話までとは一変、バーツの登場で、一気に好戦的になっていく。
 戦争に巻き込まれたことに対して、「自分で道を切り開く」という前に進むスタイルを一切曲げず、時にはそれがスタンドプレー化してしまった悪い面もある(27/28話)。また、決断は血の濃さよりも重いと考えていた節もあり、実の弟に対しても「自分の思うとおりにしろ」と突き放したような言い方をしている(10話)。
 本作に登場する「バイファム」のパイロットをどういうわけか12話で、誰からも言われてないのに担当。一度だけケンツに座を明け渡した以外は同じ機体に身をゆだねている(機体番号7。なお、41話でフレッドが勝手に騎乗している)。
 31/32話で淡い恋心をカチュアに抱くようになり、それはスピンオフ企画ともいえるOVAにも受け継がれている。
 
 3.バーツ(バーツ・ライアン)
 14歳。ベルウィック星最後の生き残り、というより逃げそびれた避難民である。しかし登場はなんとも派手そのもの。子供が操縦することもままならない機動兵器から降り立ったのだから、意外性はかなり大きい(4話)。
 5話では、彼に機動兵器操縦の資格があるかのような記述がふんだんになされ、一日の長があることははっきりとした。しかし、結果的にシミュレート上ではエキスパートになったつもりでも初実戦では死の一歩手前まで追い詰められた(9話)。
 以後、12話からは赤の機体・ネオファムを愛機に定めて騎乗。しかし、結構やられている(13話では左腕を吹っ飛ばされ、23話でも左のガードに被弾。45話もスリングパニアーを吹っ飛ばされかなりのダメージを受けている)。
 暴走族上がりのやんちゃ小僧というかかれ方が定着していたが、同じくボーイッシュなマキに心を開き、身の上話をしている(34話)。以後、マキとはやや親密な関係になっていく。ストーリーの後半になるに従って常識的な動きしかしなくなり、絡み度合いも下がっていった。
 
 4.クレア(クレア・バーブランド)
 14歳。じつはかなりの家柄の「お嬢さん」。バーブランド大佐の(44話)、というせりふがあるくらいなので、地球軍の中枢に父親はいたことになる。スコットとは幼馴染の様子で、スコットたちとけんかして親に泣きついているところが回想シーンとして用意されていた(19話)。2話でいまだなじめないほかのクルーたちとは一線を画して、クレアとスコットが一緒にいたことからもこの関係はうかがい知れる。
 クルーたちだけで生活が始まったベルウィック時代にはそれほど頭角を現さなかったが、ジェイナスに乗り込み、マルロ・ルチーナの世話役としての地位が確立してから、その役割は急上昇。女性陣の中の最年長として、さまざまないざこざの調整役にも回っている。
 ククト星に降り立ってからもむしろスポットライトを浴びる回が多くあり、実の父親を認めた回ではバズーカをぶっ放し(42話)、基地奇襲の巻では「まるで別人だな」とスコットをあきれさせるくらい機関銃を撃ち続けた(43話)。
 性については潔癖な部分もあり、エロ本で処理するスコットを「不潔」と言い放つなど、貞操観念はしっかりしていたと思われる。

 5.シャロン(シャロン・パブリン)
 ガムをかみながら「11になったばっかし」というのが第一声。基本的に自由奔放、勝手気まま、他人のことなどお構いなしの超の付くくらいの自由人。当然こんな調子なので周りのクルーからも一体感なく扱われるときも多く、時としてトラブルメーカーになることばかりである。女性に似合わず、機体の改造や発明品を作ったりと、アイデアマンではある。溶接も得意技である(8話)。
 行動を共にすることも多く、また、同類相憐れむのたとえどおり、ケンツのことが気になっていくさまが非常に面白い。ケンツが、ククトニアンの子供たちに誘拐され連れ去られるシーンでは、その心情が図らずも暴露されてしまっている。また意外に気がついていないのだが、最終回、ケンツはシャロンの胸の中で号泣している。
 母親は星間でドサ周りをするダンサーということになっている(本人談/26話)。ただ、父親に関する発言はなく、最終話でもクルーの両親との音声での対談の順番待ちをしている際にも、母親のことにしか言及しておらず、離別の可能性も否定できない。事実、42話で基地に向かう途上で「別の父ちゃんを捕まえちゃったりして」などとおどけていっていたが、この発言で母親が男好きであることを暴露した格好となり、また別の見方をすれば、一人身の寂しさを別の男性が補ってくれているかも、という風にも受け取れる。

 6.フレッド(フレッド・シャッフル)
 11歳。1話で、ペンチを丘の上のベンチから見下ろしながら、気にかけつつも読書をする、おとなしい少年に描かれている。「3日前にベルウィックから越してきた」時からペンチに好意を寄せていた、なんとも女関係には手が早いこともわかってしまう。とはいえ、1話では、ありえない失態をしでかしながらも、ペンチに寄り添われるという複雑な状況を作り出してしまい、兄であるロディを困らせてしまっている。
 兄がオペレートが苦手な反面、4話ではケイトから高レベルがこなせると太鼓判を押され、事実、フレッドはジェイナス上では艦の中枢を担うメインのオペレートを担当していたと思われるシーンも多く見受けられた。
 その反面、機動兵器の操縦は、まったく持って苦手といえ、事実、宇宙空間には一度も出撃していない(身長が足りないという物理的な部分が大きい。ちなみに地上では、高下駄作成がメインの8話で暴走させ、41話では、ミューラァの後を追ってロディのバイファムに乗り込むものの、機体を御せず、結局足手まといになっている)。
 兄思いの性格で、数日はなれた後の再会では兄の懐で泣きじゃくるところも見受けられた。ペンチとは、出会ってからずっといい関係を継続できていると思われ、お似合いのカップルともいえる。

 7.マキ(マキ・ロウエル)
 13歳。ストーリー上あまりクローズアップされることのない彼女だが、それゆえ、完全にバイプレイヤーに徹している部分が見受けられる。「もうすぐ3(13)になるけどさ」(2話)といっていたわけだが、結局2話から12話の間に13の誕生日を迎えたことはわかるものの、それがいつなのかはわからないままである。
 彼女が実力を発揮したのは、難しいと思われる、ジェイナスの、ステーションへの係留作業を逐一追った4話。ほかのクルーたちはほとんど何も行っていない中での作業・動作は無駄がなく、貫禄さえうかがわせる。
 常に「MAKI」のネームの入った帽子を目深にかぶり、ほとんどのシーンで帽子をかぶっている。「気に入ってんだ、あたし」(5話)というほど、帽子は彼女のトレードマークでもある。26話ではパジャマ姿にこの帽子でケンツとトゥランファムで出撃するほどで、まるでルパンに出てくる次元のような帽子愛好者である。
 バーツと見回りにトゥランファムに乗り込むことになった34話では、バーツと二人きりになったことも手伝って、初めて女性らしいしぐさを見せる。バーツの心が動かされた瞬間でもある。
 平時は艦の敏腕オペレーターとして、有事にはパペットファイターの達人として、また、ジープの運転手として。人材と言う意味では欠くべからざる存在といっても過言ではない。

 8.カチュア(カチュア・ピアスン)
 11歳。ベルウィック星・第2ステーションの生き残り。同じ救命カーゴにジミーと乗り合わせていたところを救助された。
 当初から自分の出生には疑問を感じていた本人だが、14話にラレドが闖入してから自身の出生の秘密を知ってしまう。そしてあろう事か、自分は敵であると勝手に思い込んでしまうのである。そしてジェイナスを降りてしまうのであるが、結果的にその行動がケイトを死に至らしめる直接的な原因になってしまった。
 17話でも当初はほかのクルーたちとの溝は埋まらなかったが、戦場でロディの窮地を救うことにもなり、結果、ケイトの死はカチュアに責任がないことのコンセンサスがクルーの中に生まれる。
 以後は溶け込む彼女だが、ククト星が近づくに連れて、自身の出生についてことさらに知ろうとし、ククト語の習得(26)、ロディを後追いするかのようにタウトへ乗り込み(28)、など、かなりスタンドプレーが目立つようになってくる。
 最終話では結局ジミーのひとことでククト行きを決断、クルーたちとの分かれを選択することになる。

 9.ジミー(ジミー・エリル)
 7歳。ベルウィック星・第2ステーションの生き残り。同じ救命カーゴにカチュアと乗り合わせていたところを救助された。
 基本的性格は非常に内向的。自分なりの意見ははっきりとは言わず、当然決め事などに積極的に参加することはほとんどなかった。唯一の、クルーが二分した10話の騒動においても、カチュアと行動をともにしたような描写となっており、このときですら、自分を出すことはしなかった(フレッドが他人との愛情より兄弟愛を優先したのとは若干趣を異にしている)。
 ただ、裏方に徹するとその仕事ぶりはややタイミング遅れながら、きっちりとこなしている。22話でローデンがブリッジに乗り込んできた際にも、絶妙のタイミングで銃器を満載した台車を届けている。また菜園キーパーなどもこなしており、仕事ぶりは決して悪くない。
 両親はすでに死んでいることを悟っており、そういったそぶりをまったく見せなかったところに、芯の強さがある。また、カチュアに思いを寄せているところはかなりあり、以後親友の契りを交わすことになるケンツとも当初ではやりあったほどである(15)。
 ケンツとは最終的に義兄弟になる予定だったが、カチュアに随伴する形で別れることになってしまう。

 10.ケンツ(ケンツ・ノートン)
 9歳。2話で登場当初から、格納庫でロディたちと出会う、館内をうろうろするなど、落ち着きのない風貌で描かれている。しかも、軍関係の情報に詳しく、3話では年端も行かないのに「志願」するなど、その好戦的な性格はほかの誰にも負けない。
 それゆえ、トラブルを巻き起こすだけ巻き起こす。2話の無重力バリア闖入、4話の突然の発砲、18話でニュートロンバズーカと戯れる、21話では、「ケツが青い」という唯一の弱点をよりによってシャロンに見つけられてしまう・・・・・・前半でこれほどまでに絡みまくった人物はほかにいないだろう。特に22話できっちりと自分の意見を持ち軍の体質や性格を論じられるのは「軍オタク」である彼以外にはいなかったわけで、一世一代の大仕事だったといえる。
 たたき上げの感のある「軍曹」という即席の役名をバーツから拝命(11話)されるなど、トラブルメーカー的な存在である一方、彼の動き自体がクルーをまとめたり和ませたりするのに一役買っている。15話で、正論をかざしたかに見えるケンツと大喧嘩をやらかしたジミーとは、「ケツが青い」ところをお互い知ることで一気に友情が芽生え、以後義兄弟的な書かれ方をすることも多くあった。トゥランファムを終の愛機に出来るまでに操縦能力も上達。最終話では、我々視聴者を感動の坩堝に叩き落す名演技をやってのけた。欠くべからざる人物である。

 11.ペンチ(ペンチ・イライザ)
 10歳。主役級ともいえるロディより先に後姿とはいえ、登場しているのは特筆すべきところである。その際も、木陰に腰掛け、本を読むという、文学少女丸出しの風情だったのだから、特徴的でもある。
 ただ、行動力という点では、ほかの女子が動きすぎる反面、普通に流されるだけのような描写が数多く見受けられた。しかし、14話のラレドが闖入する回では、ものの見事に主役級にまで役割が急伸。そのとき発表された詩は、以後のOVAで、絶妙なタイミングで流されることとなり、感動を呼び起こした。
 1話から行動をともにしているフレッドとは、出会った当初から引き合うものがあるのか、ずっと好意をもって接している。年上でもあるロディにもずばり意見を言うなど、やるときにはやる性格に書かれている。

 12.マルロ(マルロ・Jr・ボナー)
 4歳。クルー最年少。彼と後述するルチーナがどうして両親と離れ離れになったのか、その背景はまったく不明である。
 幼馴染のルチーナと行動を共にすることが多く、10話でクルーが2分した際にも、蝶を追い掛け回し、へたり込んだところがシャトル派だったと言うこともある。いたずら盛りでもあり、クルーたちをたまに困惑させることもある。
 基本的に「マルロ」だけでストーリーが構成されたことはなく(19話で、準主役的な動きにはなったがそれ以上の回はない)、特にククト星に上陸してからは、存在すら薄れてしまうこともあった。その分で言うとルチーナはまだストーリーへの絡み度合いは大きく、やや不公平に写るところでもある。

 13.ルチーナ(ルチーナ・プレシェット)
 4歳。クルー最年少。2話ではなんと「5歳」と虚偽申告するなど、おませなところを早速と見せる。じつは、これは46話(最終話)での名簿作成のときの伏線でもあるという、ながぁい仕込があった。
 マルロがそれほどストーリーに貢献していないのとは反対にルチーナは、時々で主役級の動きをしている。もっとも彼女が輝いたのは29話のタウト星の収容場所での、両親の落書きにすがりつくシーンであろう。まだベルウィックにいる時代にも、マルロと喧嘩別れして道に迷い、すんでのところでロディに救われるということもやってのけている(7)。
 誕生会を催してもらったときに戦闘が発生し、ベッドの上から落とした、ジミーのくれたギャンザーの尻尾を身を挺してとりに行くシーン(45)などは、それこそ大女優に化けるであろう、芦田○菜でも出来るかどうかという演技である。
 4歳で、両親がいなくともほとんど精神状態を崩さずにやってこれたという一面だけを採るならば、両親のしつけの度合いが半端ではなかったことをうかがわせるものだといえる。

 14.ケイト(ケイト・ハザウェイ)
 26歳。後述するクレークの助手というかかれかたでスタートしている。ちなみに、主要登場人物の中で、一番最初に姿を現しているのは、クレークとケイトである。
 クレークが存在している間のケイトは、いわば「ボランティア」的にクルーになる子供たちに接している部分が多くみられる。もちろん、事態が急変し、大人たちが次々いなくなる中で、自分の役割が、ただの博士の助手ですまなくなっていくことを肌身に感じていたはずである。
 ベルウィックに上陸してからは、直後に博士の失踪(遭難/ほぼ死亡確定)に出くわし、完全に目標を失ってしまい、子供たちを抱えた生活に半ば絶望していた。しかし、自分たちでどうにかしないといけないと悟ったケイトは、結果「軍に助けを求める」方向をクルーたちに提示する。ただ、強硬にこの方針に異を唱えたのはロディだけである。
 かくして10話で何とかひとつにまとまったクルーを導く、オブザーバーとしてのケイトの役割が以後しばらく続く。しかし、ラレドの闖入/向かうべき場所が敵本拠/カチュアの出生の秘密など、抱え込むことがあまりに多すぎ、酒におぼれてしまう。諌めたロディともみ合い、キスまでしてしまう。今から考えても、大人とキスするアニメーションは、当時としても斬新に映ったに違いない。
 結果、カチュアの下船を招き「大人の責任」ですべてを解決しようとして、パペットで出るものの、帰還できなかった。

 15.クレーク(メルビン・クレーク)
 フルネームは、2話で、司令に会おうとする際に警備兵に名乗っているときのもの。年齢は不詳。
 「軍の考古学を嘱託でやっている」(2話)と自己紹介しているわけだが、すでに論じたとおり、遺跡の解析に考古学者が借り出されるというのは、相手が人工物であるだけにいささか論理的にはおかしい部分が多いのであるが、原作者側も、この人の役職については思い悩んだところであろう。
 軍の嘱託という身分でありながら、「司令に会う」という行為を何度となく繰り返しており、ベルウィックでも、司令本部のあるジワイメルゥに単身乗り込むなど、軍の情報を取るということについてはほかの誰にも負けない行動力を持っている。
 最終的には、アゾレック基地へした交信が仇となり、博士を乗せた軍用機は右エンジンに被弾、バルチカン近郊に墜落し、乗員は全員死亡したものと思われる。

○クルーの近親者・関係者
  1.ロディ/フレッドの父親
 声のみの出演であり(1話/配役等実は不明/wikiにも配役記載なし)、映像としてはまったく持って不明である。
 兄弟を気遣い、軍の指示に従うようにと、電話で話した以外は一度もでてこなかった(最終話でロディは会話できたことになっている)。
  2.クレアの父親(バーブランド大佐)
 3話で映像ととも登場。実は「絵」入りで登場したクルーの両親は数少なく、写真や回想中といったものがほとんどで動画で登場しているのはほんの数人である。そして42話でも、たまたまとはいえ、動く実像をクレアに認められている。
  3.クレアの母親
 19話で、完全にグロッキーになり、自分を見失っていたクレアに、母との思い出がよみがえるシーンで登場。回想シーンであり、当然動画である。立派な家であることなどもわかるところである。
  4.バーツの父親と継母
 34話で、自分の身の上を語り始めるバーツ。実は現在の母親は父の再婚相手だった。しかも、身重の体なのに輸血をする選択をした母親に今までまともに対峙してこなかったのだという。せっかくの回想シーンなので紙芝居風の演出になったのはもったいない。最終話では、バーツは継母と会話できたことになっている(本人の証言だけ)。
  5.ジミーの両親
 唯一残った両親の写真を、同じくアルバムを見ていたカチュアに見せるジミー。「そのお写真、大切にするのよ」のひとことで、すべてを悟ったのだろうか?
  6.カチュアの育ての両親
 彼らも実は動画(数秒だが)のある数少ないクルーの関係者である。乗っていたシャトルが、なんと、カチュアの目の前で撃墜されてしまうのである。これも結構きついシーンである。
  7.ルチーナの両親(存在証明)
 確かにルチーナの両親はククトに連れてこられていた、という状況証拠は発見されたが、結果的にほかの両親(生存していなくてはおかしい10組)のものは見当たらなかった。もちろん、別のルチーナちゃんに書かれたメッセージかも・・・
  8.スコットの父親(声のみ)
 最終話は、はっきりいって「クルーの両親たちの生存確認」の回の様相を呈していた。もちろん、すでに死亡しているカチュア/ジミー以外である。トップがどういうわけかスコットだったのだが、「母さんは話したがっているが」のせりふで両親健在が確認できる。
  9.マルロの母親(声のみ)
 年端も行かない子供を残してのこのこ脱出した罪深き母親・その1の登場である。ごめんねを連発していたようだったが、実際この両親がどうしてわが子を残して脱出したのか、はぐれたのか、事情が知りたいところだ。
 10.ルチーナの母親(声のみ)
 続いて登場したのは、これまた年端も行かない子供を残してのこのこ脱出した罪深き母親・その2である。なんか言い訳めいたこともつぶやいていたが、本当にどうしようもない。
 11.ミセス・ロビンソン
 「センター」と呼ばれている、幼年者である児童・生徒の世話・保護を担当する部署の職員。風貌などから、50代後半の初老の女性であり、実質的なセンターの責任者と思われる。2話までは1話で出会った3人と随伴していたが、2話ラストの宇宙葬のシーンで死亡してしまったとされる。

  
○地球軍
  1.ジェイナス艦長
 クレアド星第2ステーションに係留されていた外宇宙練習艦・ジェイナスの艦長。艦に乗り込もうとする寸前に敵襲の影響を受け、搭乗ブリッジにつながる通路もろとも、死亡する(2話)。なお、航海士等も運命をともにした。
  2.中尉
 先発してジェイナスに乗り込んでいた。艦長の戦死を受け艦長代理に。3話では、数少なくなった軍属最後の出撃をし、ジェイナスを守るべく、敵母艦に向けて特攻を敢行。回想シーンで10歳前後の息子と妻が出てくる。氏名/年齢ともに不明。
  3.ジワイメルゥ基地司令
 ベロア大佐。5話でクレークと対談した、ベルウィックの総司令官。戦争に至った経緯をどういうわけか知っており、それをクレークに披瀝する。シーン的にはそれだけであり、その後の戦闘で確実に死亡している。
  4.ローデン大佐(フレデリック・ローデン)
 駆逐艦・レーガンの艦長にして、先遣隊として送り込まれた地球軍の司令。22話でジェイナスと接触し、クルーたちとも対面。戦闘を潜り抜けてきたことに一定の評価を下す。しかし、戦闘の激化を懸念し、タウト星では苦渋の決断をする。生死不明。
  5.ギャラクレー
 最終話、ククトから脱出したクルーの収容と、ジェダたちリベラリストとの会合の場として設定された、駆逐艦バンガードの艦長。役職名は不明。
  そのほかにも、4話途中までクルーに随伴した軍人2名/クレアド星司令/ローデン配下の大尉・中尉など、かなりの数の軍人が描かれている。

○ククトニアン・正規軍側
  1.ミューラァ(シド・ミューラァ)
 年齢は不詳。だが、少なくとも20代後半から30代前半という風貌である。
 初出は29話。本来「いるはずのない」タウト星に、どういう経緯かわからないが存在。この時点では、タウト星の指揮下に入っているようなそぶりは一切していない。
 30話でも姿を見せなかったが、31話、ロディが強行着陸したその後から執拗にロディとバイファムを追い回し始める。34話で、初めて、「第三ククト星師団第二特務別働隊 シド・ミューラァ少佐」と肩書きを披露している。
 それ以前にはいわゆる、地球人とのハーフであるというちょっとありえない設定もあり、それも含めて、いろいろな設定に歪の多い人物として描かれているところも特筆されるべきところである。
 44話では閑職を言い渡されておきながら、反政府軍の掃討作戦に勝手に随伴。結果、もともと彼をよく思わない司令から反逆者呼ばわりされるなど、最後は不遇な扱いになってしまった。本来であれば地球とククト星との架け橋たり得るはずの彼がどうして軍に向かったのか、このあたりの描写は少し不十分だったといわざるを得ない。

  2.その他脇役
 顔が書き分けられ、せりふなどがある正規軍の将校等は、
 ・ミューラァの副官(収容所襲撃の回に、ジミーが落としたバズーカの砲弾で爆死している)
 ・司令(ミューラァを邪険に扱う。以後、反政府軍掃討にも出撃する)
 ・司令の補佐官(ミューラァの後、機動兵器部隊を指揮することになる)
 ・ロード・ガンテツ少佐(39話でほんの一瞬登場/固定砲に変形していたため集中砲火を浴びあえなく壊滅)
 ・タウト星の地球語通訳(とはいえ軍服も着ていたので軍のお偉方とも考えられる)
 などがいる。

○ククトニアン・反政府/ゲリラ側
  1.ラレド
 以下にあげる全員は年齢不詳である。風貌などから30代後半から40代前半と推察する。
 結果的にジェイナスを地球に「向かわせなかった」張本人。その部分で言うと功績は大きいのだが、他方、知らなくてもいい情報まで知ってしまうことになってしまい、その代償は明らかに大きい。
 本人は、地球に向かう和平の使者だと言っていたが、状況証拠からかんがみても、そういうことは見出せない。むしろ、ケンツではないが「スパイ」と思われるような事柄のほうが多すぎるくらいある。
 とはいえ、ペンチのあの詩を引き出したのは、「パパ」を想起させるラレドの風貌がそうさせたのであり、また彼の闖入によってクルーはより過酷な方向に向かうことを決意したことにもなるわけで、存在そのものは謎ではあるけれど彼自体はなくてはならないといえる。

  2.ジェダ
 風貌などから若き青年という風なかかれ方をしている。20代であることはほぼ間違いない。
 27話で、声だけとはいえ、ロディに話しかけたのはジェダ一人であり、まして、地球語がしゃべられていたのはごく限られた人間だけであることもこの時点でよくわかった。29話ではクルーたちとの会談ももたれていたが、ジェダ以外が地球語をしゃべっている様子はなかった。
 和平論者という言い方をクルーの一部はしていたが、実は、非暴力主義ではなく、正規軍と見紛うほどの戦力をククト星に展開していた反政府側のリーダー。39話終了の寸前までまったく姿を現さなかったわけで、戦争を優位に持っていくことはあまりしていた様子は感じられない。
 最終話では交渉の全権を委任されたかのように地球側とコンタクトをとっているが、正規軍ではなく、反政府側を正義と認定したときの地球側の態度は果たしてどうなのか?議論する必要はありそうである。

 3.サライダ(シャル・サライダ)
 ククト星における、星再生装置の第一人者。口調などから50代前半程度と推察される。
 「再生装置の反作用ボタンをおしたのはわたしだ」のはなしのとおり(41話)、クレアド星にあった再生装置の根幹につながる開発者であり、いわば、ククト正規軍の弱点を作った張本人である。しかし、若かりしころは軍に勤めていたことも吐露しており(40話/ロディとの会話中)、ミューラァの出生の秘密も、すべて知っている、まさに「裏打ちマシーン」である。
 実は指導者という立場というよりは、ジェダがよりどころにしている、「黒幕」というような役割になっており、表舞台に顔を出さず実行部隊の陰に隠れて活動していた手前、ミューラァが「こんなところにいたんですか」(40話)と驚くのも無理はない。
 ジェダとは行動をともにせず、ククト星に残って反乱軍を統率していたと見られており、その実行力などは未知数である。

 4.デュボア
 サラエダ博士の助手という書かれ方ではあるが、実際には子供たちとの橋渡し役という見方のほうがしっくり来る。
 事実、地球軍とのコンタクトに向かう船中で、誕生会の企画が持ち上がったときに真っ先に賛同したのはデュボアであり、また、3人に膨れ上がった会の主役にもそれぞれプレゼントを渡している。
 もちろん、でてくる脇役の中でも位置的にはかなぁり低く、いてもいなくてもストーリー上不具合は見つからない。その程度の人物と言い切ってしまっていい。