徹底解析! 重箱の隅 その6
物語は、ククト星に強行着陸、別行動を取っていた3人も本隊に合流、いよいよククト星での大活躍を遂げる事になって行く。もちろん、感動のボルテージも上がっていくのだが、やはり脚本的に無理なところや、常識的に考えておかしな点が山のように出てきた。
と言うわけで、早速解析に移りたい。
・あれ?高ゲタ無しでバイファム操縦?(26、31)
・レーダー関連の謎 その1 ドッキングカーゴは見つかったのに…。(31)
・なぜあった?陸上用移動車両(33)
・レーダー関連の謎 その2 なぜジェイナスはすぐ見つからなかったのか?(33/34)
・なぜ、クルーたちは、遺跡を探していることを知っていた?(33)
・34話のオープニングは、ちょっとどうかな?
・あれ?腕をやられただけで、機能停止?(35)
そぉ、まだこんなにあったんだ。というわけで、順に書いて行こう。
○あれ?高ゲタ無しでバイファム操縦?
ジェイナス本体と別れて大気圏突入を行った、ロディ、ケンツ、カチュア。もちろん、無事にククト星に乗り込めたのである。3人でストーリーを構成していたから、そんなに「穴」はないと思っていたのだが…。
元はといえば、トゥランファムが、着地時、砂場に放り出されたことが原因である。スリングパニアーの出力が上がらないと、ケンツがぼやくのである。それを聞いたロディは、「じゃあ、おまえ、これに乗れよ」といって、バイファムと操縦を交代するように提案する。
しかし、ご承知のとおり、トゥランファム以前の機体は、身長が足りないと、車で言うところのアクセルペダルに当たる足ふみ式のペダルに届かないのである。だから、彼らは独自の考え方で、ペダルを足に近づける、高ゲタ方式を開発(8)、いくつかの放送回では、実用化もしていた(9、17。実は17話で、ケンツがはじめて宇宙空間での高ゲタ実戦を行っている)。もし仮にトゥランファムに「高ゲタ」が必要であるのならば、その記述があるはずだ…。
というわけで、トゥランファムデビューの回の26話を見直してみた。マキと組んで出撃する劇的な回。ケンツ自体も胸震う出撃だったに違いない。先に着座していたマキとは少し遅れて格納庫に現れたケンツ。マキにこう聞かれた。
マキ「高ゲタか?」
ケンツ「もうそんなもんとっくにつけてあるわい」
そうなのである。トゥランファムといえども、身長の足りないケンツにとっては高ゲタは必要なのである。機体番号は11。その後、32話で撃沈されることになるのだが、高ゲタ自体が専用仕様ではなく、あちこちの機体でつかい回しできていたことは明白なので、ロディが交代を頼んだ時点で、高ゲタも移動していたと考えられる。そのあたりの記述がなく当方もあせってお題にしてしまったわけだが、高ゲタは、ケンツが乗り込んでいる以上、必ず付いて回る部品だったことがこれではっきりした。
○ドッキングカーゴは見つかったのに…。
33話で、なんとか、クルーは13人揃う事が出来た。そして、その回で、偵察隊が、ジェイナスを見つけてしまうのである。しかし…。
31話(みしらぬ星 ククト)を思い出してもらいたい。敵は、既に、ドッキングカーゴの着地地点を特定し、偵察隊をよこしているのである。間一髪、ロディたちはカーゴから脱出して、戦闘と言った事態は避けられたわけだ。
ここで、このカーゴと、ジェイナスの大きさをかんがえてみよう。もちろん容積比と言う事でいいと思うのだが、倍や3倍と言うレベルではない。正確に測ったわけではないが、カーゴにRVが2機しか載らなかった事から考えても、数千倍から数万倍の比率だと考えられる。ということは、カーゴが見つけられて、ジェイナスが見つけられないはずが無い、と言うのが結論になってしまう。
カーゴが見つかったのが偶然と言う見方は否定しなくてはならない。なぜならば、偵察機には、敵側の機動兵器が2機も載っていたからである。只の偵察であれば、偵察機だけであるからである。まして、着地からほど無い時間で到着している。これは、レーダーの存在があったからに他ならない。
であれば、どうしてジェイナスは、2話分(日数的に2日程度と推定)もの間、見つからなかったのだろう?一応、小型飛行物体などを使った、偽装工作が功を奏したのは間違いないが、それは地上にいるときだけのものであって、大気圏突入時に着地地点を特定されているほうが確率が高いはずである。
つまり、カーゴを見つけられるほどの精度のレーダーが、ジェイナスの大気圏突入を見逃すと言う、これまた大矛盾を提示してしまった事になる。しかし、本当のところ、ククト星のレーダー施設には何か欠陥があったのではなかろうか?次の次のお題でそのあたりをはっきりさせたい。
○なぜあった?陸上用移動車両
33話で、離れ離れになっていた、クルーは見事に合流でき、ククト星を舞台に、自分たちの両親を探す、あてども無い旅をはじめてしまうのである。
さて、そこで疑問となるのが、スコットが運転するトラックと、マキがメインでハンドルをにぎるジープが、どうしてジェイナスに積み込んであったのか、と言う事である。
もともとの設定から考えてみよう。まず、ジェイナスは、戦艦である。当たり前ですよね。戦艦と言っても、宇宙船である。ということは、主たる活躍場所は、宇宙空間である事も疑う余地はない。当然のことながら、陸上での活動に必要な機器は、陸上側の持っているもので賄えるはずなので、つむ必要はないはずである。なのに、つんであった事になる。これは、どう見ても、おかしい事である。
ケンツが言った、「4等級艦以上は、大気圏突入に耐えられる」と言う事から、陸上での緊急移動用などで、必要になる事も考えられるので、まったく積んでいないという可能性も無いが、宇宙船である以上、陸上用の車両はもとより、地上で生活するための用具(テントなど。39話で登場)が積んであったのも理解に苦しむ。
○なぜジェイナスはすぐ見つからなかったのか?
ロディたちが、ほぼ2日間(ククト星での時間経過)、ミューラァたちと死闘を演じ、現にトゥランファム本体を消耗する激しい戦いを繰り広げていた最中、ジェイナスのクルーたちは、岩場に激突はしたものの、人的被害はなく済んでいた。あれだけの機体がほとんど、何の摩擦による減速も受けず、岩場に当たって、何事もなく全員が過ごせているというのもおかしな話なのだが、もっとおかしいのは、やはり、ジェイナスがどうして、見つからず、クルーたちは、のほほんと平和な時を過ごせていたのか、という事実である。
ククト軍にだって、管制システム、つまりレーダーはあるはずである。戦艦が大気圏を突入しようとしているさまは、どこからでも捕らえられるはずである。仮に上空が無理でも、中空域、すなわち高度数千mレベルであれば、レーダーは確実に稼動していたはずである。なぜか?ロディたちが乗ってきたドッキングカーゴの位置を特定し、機動兵器を派遣してきたからである。
つまり、2つ上でもかいたが、ジェイナスのほうが見つかる可能性は大のはずなのである。でも見つかることは、ぎりぎりまでなかった。どうしてなのか?
そこで考えられるのが、「あの岩場周辺はレーダーのブラックホール地帯」というものである。もう少し噛み砕いて言うと、岩場周辺の地形があまりに複雑で、レーダーが威力を発揮できない、という仮定である。
だから、ククト軍は、ジェイナスが仕掛けた、ブラフ作戦(遺跡の発する力線に似た周波数の波をいろいろな小型物体に仕込み、発信させる、カムフラージュ作戦)に、いちいち「人海戦術」という原始的なやり方で、つぶす手法をとっている。わずか2日足らずで、そんなに準備できているはずもなく、又、着地当時、こんなことをすぐさま思いつくはずもなく、行動に移したのは着地後早くても6時間くらいたってからだと思う。要するに、ジェイナス側が準備している間に、特定出来ていても不思議でない、力線の発信場所を、ジェイナス側が完璧にカムフラージュできてから探しに回っている感触を受けるのである。
レーダーの設備の不備、もしくは、この方面のレーダーが例の力線の影響で使用不可能になったか、もしくは、あの力線は、ククト軍のレーダーに悪影響を及ぼし、まるで機体が消えてしまうように映ったか…。疑問は尽きないところである。
○なぜ、クルーたちは、軍が遺跡を探していることを知っていた?
ジェイナスに居残っていたクルーたちは、自分たちの居場所を知られまいと、遺跡が発していた、「エキストラ力線」によく似た周波数の電磁波を、小型の飛行物体に仕込んで、ククト星のあちこちにばらまいてきたというのである。
実は、この部分、すぅっと素通りしてしまっているのであるが、よくよく考えてみるとおかしな点が出てくるのである。
まず、第1に、「ククト軍が遺跡を探している」証拠をクルーが握っていれば、この疑問は問題なく晴れる。しかし、誰からもそんな情報は聞かれなかった。もちろん、ジェイナスにいたクルーたちが、戦闘に巻き込まれたような様子はなさそうなので、当然捕虜とか、偵察隊などから聞き出したわけでもない。唯一の情報と言えば、19話で、クルーたちが解読した、ククト軍のパイロットの交信記録である。しかし、この時点で、誰もその事を話題にしていない。
第2には、「霍乱作戦の途上でばれているのではないか?」という疑問である。バーツは、「800Km」などととんでもない数字を挙げていたが、あのVRCなどが、それほどの航続距離を持っているとは思えない。となれば、時間的な制約から、機動兵器でばら撒いたと思われる。しかし、これはあまりに危険な行動であるといわざるを得ない。単独行動が多くなり、あまつさえ、エースパイロットのロディはじめ、RV操縦者が皆無状態で動き回るのは、自殺行為だ。まして、レーダーの設備が不充分(様々な証拠から、こう断定せざるを得ない)なククト軍は、人海戦術で、ジェイナスを探そうとしていた。こういった、偵察隊に発見される可能性も0ではなかったはずで、無謀な作戦とも考えられる。
クルーたちにとって順風が吹いたのは、間違い無く、ククト軍のレーダー設備が、不調であった事だろう。さもなくば、ジェイナスは、大気圏突入・岩場に不時着と同時に拿捕されていたであろう。そうならなかったのも、ジェイナスにカモフラージュ作戦を取らせたのも、全てこのレーダーのせいに出来ると言っていい。
○34話のオープニングは、ちょっとどうかな?
34話は、ついにジェイナスに対して、大規模な敵襲がかかる、戦慄のオープニングである。ここで、ついにミューラァが、長台詞を語り始めるのであるが…。
前半は、下士官との会話で、ククト語(推測の域を出ないが、英語のアレンジだと思われる)を喋り、ボギーとの会話で、突然地球語を話し始めるのである。ところが、これもよくよく考えてみると変な事である。
メルの父親の欄でも話題にするので、ここではさらっと流したい。軍には、地球語を取得するような特別なレッスンでもあるのだろうか?この時点で、彼が地球人とククトニアンとのハーフだということは伏せられているため、彼が地球語を話せる環境にいなかった事は事実である。
まして、地球軍と交戦状態になったのは、つい最近の事である。地球語が必要だという認識があったとしても、どうしてミューラァしか話せないのか、疑問が残る。
その疑問には以後の回で回答が得られるのであるが、ミューラァが地球語を流暢に喋る事は、ストーリー的に不備であろう。
○あれ?腕をやられただけで、機能停止?
この回は冒頭から荒っぽい展開になっていた。人質となったケンツを連れ戻そうと、救出部隊の急先鋒に、スコットが運転するトラックの助手席にシャロンの姿があった。そうこうするうちに、高原でRVの戦闘が始まり、割を食ったケンツたちは砲撃を受け、ジープから放り出されてしまう。そのケンツたちを、機動兵器が握りつぶそうとしたときに事件は起こった。
シャロンが山の上からその機動兵器に向かってバズーカを一発、腕に向けて発射、見事に命中し、機動兵器は沈黙してしまうのである。
ここで問題である。「機動兵器は、腕をやられたくらいで動けなくなるのか?」。
腕と言えば、13話のバーツが記憶に新しい。確かに被弾した際の衝撃で気を失う事はあったが、機体は動いたし見事にリベンジも果たせた。腕に当たったくらいでは、動きが止まるとは思えない。ましてバーツの場合は吹っ飛ばされているのである。ダメージも半端ではないはずだ。
百歩譲って、シャロンがあの機動兵器の急所をたまたま射抜いたとしよう。さらに問題。「パイロットはいったいどうなった?」。素人目に考えても、パイロットは生きている、少なくとも死んでいない事は明らかである。RVのパイロットにとっての致命傷は、コックピットを貫く銃弾や、銃創による機体の爆発である。要するに、パイロットが死にいたるような箇所に弾は当たってはいない。ということは、パイロットは中でどうなっていたのだろう?逃げようとするそぶりも無いので、死んだ、と結論付けるのは早計かもしれないが、そう考える以外無い。しかし、これは明らかにおかしい。