銀河漂流 バイファム概論

 このアニメが遊技機モチーフ化される可能性

 不況下にあって、唯一元気とも言えるのは、じつはあまり健全と言えない企業と店舗である。
 遊技機メーカーと、それを取り扱う店舗である。ずばり言うと、パチンコ台メーカーとパチンコ店である。

 彼らが新台を開発しようとするときに、データや下地となるものがなければ、すべては一から作り出さなくてはならない。登場人物や背景、大当たりにいたるストーリー、リーチ、チャンス表示・・・しなくてはならない事は山のように出てくる。しかしながら、当然版権使用料というものを支払ってまで台を開発するまでもなかった時代には、メーカーは各自のオリジナルキャラクターを使った台の開発をメインに行っていた。それでもネタ切れに困ったときには、売れないタレントなどで一部タイアップ機なども作られていた(あのダウンタウンですら、パチ台のモチーフになっていた!)。
 アニメタイアップ機の先鞭をつけたのはルパンシリーズを開発した平和。これ以後、独自のキャラクターを使った台はなりをひそめはじめる。そして、一番大変な新機種の基本ストーリーを、アニメやドラマが肩代わりしたことで、台の開発競争が狂想曲化していく。大手は1ヶ月に一機種、という時期もあり、今やや新台のサイクルは鈍化しつつあるといいつつも、毎週のように新台入れ替えをする店舗が後を絶たない。実際には供給側の出荷ベースでの機種/台数はそれほど衰えていないことを示している。

 そして、2011年4月、ホールに登場したのは、スロット機である「機甲騎兵ボトムズ」(サミー)である。あまりに懐かしすぎるタイトルにびっくりした小生は、このアニメの放送された年を調べてみた。1983年。そう!バイファムと同期なのである(ボトムズの放送期間は83年4/1〜84年3/23で、テレ東系で放送されていた)。

 実際、このアニメーションのスロ化がわかったとき、『よくもこんな古いねたを』と思ったものである。ただ、ここまで触手を伸ばし始めた遊技機業界が、『銀河漂流バイファム』に目をつけないわけがないと思うようになってきた。
 理由その1:目的がはっきりしている。
 アニメーション自体は勧善懲悪ではなく、「とらわれている(と思われている)両親に会いに行く」こと。目標達成=ボーナス/大当たりで可能。
 理由その2:登場人物が13人いる。
 ケイトやクレークまで入れる必要はなかろう。この13人いれば、それだけでリーチの幅も、演出も広がること間違いない!
 理由その3:舞台設定も意外に多彩
 最近のART機では、ステージチェンジなども頻繁に行われる。ジェイナス→タウト→ククト→ククトより帰還で十分に盛り上がる

 台の寿命がいまや半年持たず(サクラ大戦3にいたっては、瑕疵のせいで実質稼動1ヶ月未満という店もあったそうだ)、いわば過去の資産をどんどん食い潰している状態のアニパチ/アニスロ。ネタ切れの前に『スロット/パチンコバイファム』はお目にかかれる日が来るであろう。しかし、私は、おそらく横目に身ながら、決して触ることはないと断言したい。実際、高校生時代に血道を上げて論じてきた『うる星やつら』、世界観がもうひとつ(各個人のキャラは嫌いではない)で否定的な『エヴァ』全機種をはじめ、ほとんどのアニメモチーフスロ/パチは避けて通ってきている。一機種に愛着が生まれるほど打ち続けられないことが最大の要因だが、安易なリーチや演出の多さに辟易していることが大きい(ジャギに負けるケンシロウとか、ストーリー上ないことが多すぎる)。
 仮に発売されたら、ゲーセンで戯れに触るくらいはしたいと思うが、このアニメだけは遊技機としてデビューしないことを祈ってやまない。