銀河漂流 バイファム概論

 もうひとつのバイファム−−「バイファム13」について

 私個人の中では、テレビアニメーションの中でもこの「銀河漂流バイファム」はベスト3に間違いなく入る名作として記憶にとどめている。
 しかし、後日作られた「バイファム13」に関して言えば、大変残念ながら「史上まれに見る駄作」といわざるを得ない。

 そもそも、1話を完全な裏打ち/経過説明だけにとどめ、それもあろうことか、旧作の画像をそのまま利用する、けちけち手法。この時点で見る気がうせてしまった。さらに、2話ではトゥランファムが登場するわけだが、なんとローデンは平服で会見に応じたクルーたちの申し出に何のアテンションも無く補給に応じている。このときのスコットは涙をぼたぼた落とし大仰に振舞う始末。こんな浮ついたスコットでクルーたちがまとまるわけが無い。
 それから先のストーリーもハチャメチャ。特に敵側があまりに強力になっているにもかかわらず、不沈戦艦を地で行くことしかできなくなっているさまは、残念ながら某宇宙戦艦を題材にしたアニメを髣髴とさせてしまう。
 タウト星が2個あることやそこでほんとにどうでもいい脇筋ばかりに気をとられてばかりいるクルーたち。ストーリーが一向に前に進まない状態ではどうしても凡庸な時の流れに退屈してしまう。これでは演出等「光る一手」があっても効果は半減。事実、シャロンが母親代わりになっていた数話はちょっと感動ものだったが、それ以後のお話が見事にぶち壊してくれた(中でもワースト1に入れてもいいくらいの15話の低レベルな争いを見るにつけ、「終わった」と思わざるを得ない)。
しかも驚くことに、このストーリー自体が、旧作の完全なサイドストーリーとして描かれていることをWikipediaで知り、あの尻切れトンボで終わった26話目(ジェイナスに再度合流し、もうひとつのタウト星に向かうところで終了した)が実質最終話だったというのである。
 ★筆者注:当方としては、テレビ新シリーズという認識でおり、その部分についてはまったく間違っていなかった。しかし、このような終わり方をしたために「打ち切りだわ、むべなるかな」と納得していたのだったが、予定調和の中での作品の完結であったことを知り、愕然としてしまったのであった・・・。

 製作者たちがこの作品を「旧作をオマージュして作った」のか「まったくの新作として」送り出したのか・・・。そのどちらにしても、低レベルな原画、さえない脚本、キャラの立っていない出演者たち・・・。もうどうにでもしてと、見ている側が目を覆いたくなるような放送回ばかりが目立ってしまったのは残念である。

 もちろん「名作」とはとても呼べるレベルに無いこの作品を深く掘り下げる気は毛頭ない。確かに書いていけば面白いことになるのは目に見えているのだが、いまさら、あの『駄作』に目を通そうとはこれっぽっちも思わない。たとえ劣化していても、旧作はDVD化する手間も労力も惜しまなかったが、同じことを、この作品でするのは、どう考えても時間の無駄である。

 ちなみに、この作品が上梓されたのは、1998年。本放送の『13年後』の新作で、26話での〆(=13×2)、もちろん、クルーだけでストーリーが進んでいくので主要登場人物は13人。13にこだわった部分しか見出せず、結果的に『何がしたかったのか』まったく見えない作品を旧作のファンはもとより、この作品から入っていこうとした人たちをも遠ざける結果になってしまったのは、残念極まりない。

 ついでに言うと、1998年の13年後はなんと、2011年・・・今年なのである。まさか、とは思うが、PART2的な作品が現れることがありえるのか?もっと言えば、完全リニューアルもあるのか?名作の素地を又変にいじくることだけは避けていただきたいものである。