銀河漂流 バイファム概論

 2011/5までWikipediaを資料として用いなかった理由

 バイファム概論をweb上に公開しようと思い立って、早2年余り。
 そもそも、基礎となる記述や詳細な人物解析などは、90年代から連綿と続けており、その量は、十分、webで公開しても不足のない量であった。

 結果的につい最近まで公開がずれ込み、完成という一応の結末までさらに時間がかかってしまったのは、単に「設定や原作を見知らない層にとって、一アニメーションファンの考察が好んで読まれるとは限らない」事、そもそも「独断と偏見に満ち溢れているものは読まれない」という思い込みからである。
 ところが公開してみると、反響は少なからずあった(公開当初の数ヶ月/数十人)。気をよくして、さらに解析を深め、公開直後に新規テーマや書くべき考察対象なども増加し、当初の分量より1.3倍程度に膨れ上がっている。

 その中で、私が徹底してきたことがある。「テレビ映像からしか情報を取らない」という姿勢である。なんとなれば、当方が執筆を開始した90年代当時、すでに設定集やノベライズ、原作にかかわるいろいろな文献は姿を消し、ほぼ入手不可能となっていた。また、半ば「道楽」でやっているアニメーションの解析に金銭をかけることも当初としては考えていなかった。社会人となり、そういった情報源にアプローチできるころになってもそれらを入手しようとはあえてせず、むしろ何度もTV画像を見て、せりふや情景を精査し、また矛盾点などを発見していくといった手法で十分解析は出来ていたというのも背景にある。

 ただ、概論自体が完成に近づくにつれて、「それではいけないのではないか」と思うようになって来た。資料の裏打ち/間違いの修正といった事項である。今までは確かに独自の議論で済んでいたものだが、それだけでは、はっきり行って言いっぱなしである。資料による精査もあってしかるべきではないか、と完成間際になって思ったのである。そして浮かび上がってきたのがWikipediaによるさまざまな「思い込み事項」の修正である。

 Wiki自体はもっと早くから−−当方が2009年に概論の骨格となる部位を公開した時点で−−存在していたわけであり、当方がこれらの情報を無視したかのような記述をしてきたのは、はっきり言って「失敗」である。ただ、失敗の原因を作ったのは、当方が「テレビからしか情報を取らなかった」事、修正そのものが煩雑に思えてしまったこと、概論が目指している、物語の中の「精査すべき事項」についてまでwikiでは論じていないこと、客観的な情報が大半を占め、それは今まで取ってきた情報と異なるという認識がなかったことが複合的に組み合わさったことであることは間違いない。

 公開から1年半以上が経過し、完成に近づきつつあるはずの当方の著作物が、実は90年代当時の認識そのままに一部文章は書かれ、それをほぼ修正せず公開してきた。あまりの不見識さを恥じると同時に、「間違いは改めなくてはならない」として、Wikipediaを資料として採用し、一部間違いの修正や、地名/機体名の修正に取り掛かることにした。
 
 それに伴い、概要やかなりの部分でWikiを参照にした記述が増加している。また、完全書下ろしとなっている「登場人物・一挙紹介」では、逆に当方が「Wikiを参照にしていない」事を明示するためあえてリンクを貼っている。いずれにせよ、ほぼすべてのタイトルで加筆修正は行われることが予想される。ラストスパートに向けて、よりいっそうのものに仕上げていく所存である。