訓練



アメリカ海兵隊だけでなく、どの国のどんな職種の軍人も、このBoot Camp(基礎訓練)
は通過しなければ兵士になれない。
アメリカ4軍の中で一番厳しいといわれてる海兵隊の訓練は一体どういう物なのか?
 

〜1日の流れ〜
起床は月ー土は午前5時30分。夜は、家族に手紙を書いたり、読書をしたり、テレビを見たり、
次の日に備えブーツを磨く、記章・バックルなど金属を磨く、などの自由時間が1時間ほどある。
就寝は午後9時30分。日曜・祝祭日の起床は6時で、日曜日の朝は礼拝、
午後は運動時間になっている。
新兵たちには記章などの身に着ける金属類とブーツを自分の顔が映るくらいに磨くことが義務づけられ、
部屋で1人でもこれを怠ると全員腕立てなどの罰が課される。
ここでも彼らは連帯行動の大切さを学んで行く。
 

〜地獄のトレーニング〜
海兵隊の訓練の中で良く語られるのが、ブートキャンプで行われる新兵訓練である。
アメリカではテレビ番組となるほど、有名で過酷な訓練は
1900年代の頭から、変わることなくパリス・アイランドとサンディエゴで新兵訓練が行われているが、
その基本は今日も変わっていない。この新兵訓練は高卒者
を対象としているが、主に大卒者を対象とする後述の海兵士官候補生学校
(注・海兵隊でも海軍士官候補生学校や、陸軍士官候補生学校・空軍士官候補生学校出身者)
の教育訓練もブート・キャンプと基本的に同じ内容を行っている。
このブート・キャンプの体験によって上下隔てぬ海兵隊の一体感と戦友愛が形成されるのである。
 
ブーツ・キャンプに到着した新兵(リクルート)は、
まず徹底的に娑婆ッ気を捨てさせられ、全員が軍人になりきることを要求される。
全員丸坊主のクルーカットに一人大体、約20秒で刈り上げられる。ともに裸で身体検査を受け、
一緒に風呂に入り、同じ軍服を着る。ゼロからの人間形成である。
小隊の指導は一切DI(ドリルインストラクター・訓練下士官)が仕切る。彼は隊内を絶えず歩き回り、
どんな小さなミスも見逃さない。見つけたらDIは新兵と顔と顔とをつきあわせ、
つばをとばし罵声を浴びせる。各人はドッグ・タグ(認識票、犬のつけているプレートに似ているため)をぶら下げ、
入隊1日目から文字通り犬以下の扱いを受ける。「自由を奪われ、地獄をもらう」。
学歴も家柄も人種も一切関係ない。
DIは新人に対して人間性を欠いたサディストのごとく振る舞いつつも、
彼等に新しい知識を叩き込む。訓練は11週間に渡り(ちなみに陸軍の基本訓練は8週間)、
次の3つの期間で構成される。
 

1.第一次訓練期間
軍隊生活の基本をショック療法的にたたき込む。新兵訓練キャンプの最初の数週間で、
ベッドメイク、兵舎内の整理整頓、制服の正しい着方と基礎訓練を学ぶ。
新兵は、各種授業に出て、試験を受け、小銃を支給され、
障害物コースを走り、一回目の体力検査を受ける。海兵隊は常に走り、機敏に行動する。
そして体力の限界に挑戦する。
授業内容は海兵隊の歴史と伝統、軍規、銃の取り扱い、基礎教練、応急手当、銃剣訓練、
その他である。
 

2.第二次訓練期間
初めて射撃を体験させる。訓練期間中もっともリラックスした期間である。
射撃は平静をモットーとするからである。ライフルレンジへ行き、実射し、
狙ったものを当てる訓練をする。ライフル射撃区での最初の一週間は、
射撃体勢に入る訓練、安全の為の訓練、射撃のテクニックを学ぶ。次の一週間で、
実際にライフル射撃を練習する。この週の最後の日は資格取得の日であるが、
この射撃の得点によって特級射手(グランドマスター)、一級射手(シャープシューター)、二級射手(マークスマン)に分類される。
海兵隊は特級射手を育てることを目標としている。

新兵訓練のなかでも、共通のスキルとしてのライフル訓練はもっとも重要なものの一つで、
「every marine a rifle man」の方針の下に、全員が職種のいかんを問わず、
銃の撃てる海兵隊員として育成されるのである。
 

3.第三次訓練期間
訓練が続けられ、基地内の歩哨任務につき、平常服の仮縫いと仕立てが行われ、銃剣訓練がさらに行われ、
水泳などの授業も行われる。
また、個人指導の戦闘訓練、強襲揚陸作戦、ヘリボーンの教練がある。

新兵訓練キャンプの最後の数日は、テスト、最終検閲、体力テストのためのランニング、
給料の支給および卒業式の準備で過ぎる。


〜内輪だけの卒業式〜
最後は54時間不眠不休でトレーニングをし、体力・精神の限界まで自分を追い込む。
そして「心臓破りの丘」(約23km)を駆け上がり、頂上で訓練下士官から1人ずつ卒業を言い渡される。
顔は汚れ、体力も極限に達しながらも、喜びと感動で涙するものも多い。


<卒業式>
卒業式は軍隊内でも一大儀式である。ここで初めて卒業者は海兵隊員(マリーン)と呼ばれることになる。
アメリカ軍の中でもっとも美しいといわれる第一種装(ドレス・ブルー)で行進する海兵隊員は、
両親でも見分けられないほど逞しい筋肉質の戦闘員に成長している。


malu
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