「脱・記者クラブ」宣言
その数、日本列島に八百有余とも言われる「記者クラブ」は、和を以て尊しと成す金融機関すら“護送船団方式”との決別を余儀なくされた21世紀に至るも、連綿と幅を利かす。 それは本来、新聞社と通信社、放送局を構成員とする任意の親睦組織的側面を保ちながら、時として排他的な権益集団と化す可能性を拭(ぬぐ)い切れぬ。現に、世の大方の記者会見は記者クラブが主催し、その場に加盟社以外の表現者が出席するのは難しい。 また、日本の新聞社と通信社、放送局が構成員の記者クラブへの便宜供与は、少なからず既得権益化している。 2001年6月末を目途に3つの記者室を撤去し、仮称としての「プレスセンター」を、現在は「県政記者クラブ」が位置する3階の場所に設ける。194.40平方メートルの空間にはスタッフを常駐させ、コピー、FAX等は実費で承(うけたまわ)る。テーブル付きの折り畳み椅子を数多く用意し、雑誌、ミニコミ、インターネット等の媒体、更にはフリーランスで表現活動に携わる全ての市民が利用可能とする。使用時間等を予約の上、長野県民が会見を行う場としても開放する。更には「ワーキングルーム」として、現在は2階に位置する「県政専門紙記者クラブ」の空間(30.24平方メートル)にも、同様の椅子を並べる。 平日の10時45分と16時30分の2回、政策秘書室の担当者が「プレスリリース」を掲示し、希望者には無料で頒布する。併せて、その場で質疑応答を受け付ける。必要に応じて、関係部課長等も件(くだん)の会見に出席し、資料説明を行う。知事も又、その範疇に含まれる。 従来と同じく事前に日時を告知した上で週1回開催する知事記者会見には、全ての表現者が参加可能とし、質疑応答も行える形式に改める。但し、質問者は氏名を名乗らねばならぬ。前述の「プレスリリース」同様、会見の内容はホームページ上に掲載する。動画でのアップも導入する。 今回の宣言が、県民の知る権利を更に拡充する上での新たな「長野モデル」の一つとなる事を切に願う。 更なる詳細は、全ての表現者との開かれた話し合いを踏まえて決定する。
2001年5月15日
長野県知事 田 中 康 夫
5月15日、長野県主催の記者会見を行い、田中知事が「『脱・記者クラブ』宣言」を発表しました。この記者会見の際の知事と記者会見出席者との質疑の内容は、こちらをご覧ください。 |