「話を聞かない男、地図が読めない女」/アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ/2000年4月、主婦の友社

 日頃、多くの人がもやもやと思っていることをズバリと解説すると、ベストセラーになる。その代表格だろう。取材の過程で、多くが本音と建前を使い分けたというところが面白い。世の中に堂々と出せる「政治的に正しい」見解と、「引用されたら困る」ほんとうの意見。これは埋めねばならない。マスコミ的にも重要な課題である。ただ、もう少し「事実」と「意見」を分け、出典を明らかにして書けば説得力が生まれるのに、その点では残念である。(2001/1)

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「左半球と右半球は、脳梁と呼ばれる神経線維の束でつながっていて、これを経由して左右の脳は連携をとりあい、情報を交換している。…カリフォルニア大学ロサンゼルス校で神経学を研究しているロジャー・ゴルスキーは、女のほうが脳梁が太く、左右の連絡が1.3倍もよいことを確認した。…左右の連絡が良いほど話しぶりはなめらかになる。関連のない作業を同時にいくつもこなせて、直感が鋭いという女の特徴も、これで説明できる。男の脳は専門分野ごとにはっきり区分けされている。一度にひとつの仕事しか集中できないように、脳ができているわけで、この事実を裏切る研究結果はない。」

「しゃべっているときの女の脳をスキャンすると、前のほうが左右両方とも活発になっている。またこのときは、聴覚機能も働いている。そのため女は、複数の話題についてしゃべりながら、同時に他人の話も聞くという驚くべきマルチトラック能力を発揮できる。」

「男の脳を調べると、空間能力をつかさどる部分が右脳に少なくとも4箇所あるのがわかる。」

「オーストラリア、ニュージーランド、イギリスのデータを集計すると、パイロットの99%超は男で、航空管制官の94%(1360人中1274人)は男」

「教職、上演技術、人材育成、文学など、女が優れた能力を発揮するのは、抽象的な推理力が最重要ではない分野だ。男はチェスで活躍すればいいし、女はダンスやインテリアに活路を見出せばいいのである。」