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既得権
「日経が一番とか、発表資料を貰う順番まで決まってるんです。東海村の原発事故でも、外国メディアは10日経つまで、会見に参加できなかった。発表があること自体も、正式な記者クラブ員にだけ知らされるんですから…」。私を取材したTIMEの外国人記者が、あきれた様子で話していた。この既得権は、何の法的根拠もない単なる癒着の産物で、本当にトンデモナイ利権だ。しかも、それを平等化しようという案に反対するというのだから、もはや公的企業でも何でもない。

 2000年現在、東京証券取引所では決算資料が電子化されていないが、これには証券記者クラブ(通称「兜クラブ」)で、決算資料の電子化を進めようとしたところ内紛があり、計画取り止めとなった経緯がある。その後、2000年1月現在に至っても電子化されておらず、投資家が不利益を被り、内外からの不信感を強めることで、市場活性化の妨げとなっている。新聞社が既得権にしがみつき国益を害している良い例だ。その時代錯誤ぶりには開いた口が塞がらない。

 以下、ダイヤモンド97/5/10より引用


 兜クラブ所属記者によると、この電子開示の中止を強硬に主張したのは、日本経済新聞と共同通信だという。FDでの決算資料の募集は、三月初めのクラブ総会で『反対や疑問の声もなく各社が同意』(兜クラブ所属記者)して決まったが、日経と共同はその後突然、反対を打ち出した。その背景には、『電子メディア向けの情報戦争で自社の権益が侵される、と二社の上層部が判断した』(同)ことがあるようだ。

 日経の子会社の日経クイックと、共同が米国のダウ・ジョーンズ社と運営しているテレレートの経済情報端末は、ロイターとブルームバーグの攻勢にさらされている。日経クイックとテレレートはその巻き返しに、相互に情報を融通し合うことで合意したが、記者クラブがFDで資料を受け付ければ、今度は既得権益が失われかねない。決算短信など企業の公開情報が、電子情報として報道各社へ“配信”されるようになるからだ。また兜クラブは、印刷された資料の投函でも、証券会社や企業の担当者に投函順位を厳密に守るよう求めているが、この投函順位で日経と共同は一位と二位。電子化が進めば、投函順位が遅いロイターやブルームバーグに対する優位性も失われる。さらに、資料の電子化は各マスコミとも人海戦術に頼っているが、電子情報化が容易になれば、新たな競争相手が現れる恐れもある。

 ところで、米国ではSEC(証券取引委員会)が各企業の財務情報をオンラインで受け取り、即座に公開するシステムが八年も前から定着している。印刷情報を一部マスコミが独占している日本とは大きな違いだ。…社説などでは経済構造の改革を説き、『既得権益の打破』を強調する言説は白々しく見えてくる。少なくとも投資家の利益など眼中にないらしい。


 

※ちなみに、上記記事において、なぜ日経と共同通信が共犯関係にあるかというと、共同の最大の顧客(配信先)は日経であり、日経も選挙時などに共同と一緒に報道する体制をとっているためだ。上層部はつながっているため、例えば私の同期記者に二人、「親が共同通信」という人がいたのも偶然ではない。(別に情実入社だと断定するつもりはない)