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日本の統治構造
以下、田中秀征「民権宣言」（週刊ダイヤモンド99/9/18）より引用
本欄のレギュラー執筆者、斉藤精一郎教授と山口二郎教授、そして私のあいだには、この時代のこの日本に関して共通する認識がある。それは、現在の日本における政治、経済、社会現象は、すべてが『統治構造』と断ちがたく結びついているという認識である。…日本の現在の統治構造は、政治構造、行政構造、経済構造が固く連結し一体化したもの。この骨格は昭和二〇年代から三〇年代にかけて構築されてきた。それは端的にいうと『成長対応、冷戦対応の統治構造』である。戦後日本の再建と成長のための政治、行政、経済の協調体制であるとともに、米ソの冷戦体制への対応という、もうひとつの目標に備えたものであった。しかし、予想以上にめざましい実績を挙げたこの統治構造も役割を終えるに従って、時代の要請に応えることができなくなった。特に冷戦体制の崩壊とバブル経済の崩壊という『二つの崩壊』によって、決定的に統治能力を失うに至ったのだ。そしてその時点から、『統治構造を維持すること自体が最大の仕事』であるかのような実態を呈するようになった。