質問状
 日本経済新聞社社長 鶴田卓彦 殿

 私が本年3月9日に懲戒処分を通告された理由につき、以下の9点について、9月29日までに回答願いたいと存じます。私は就業規則に則って業務に精進してきたつもりであり、業務以外の個人的ホームページによって処分されたことに、以下の各点で疑問を持っております。納得のいく回答をいただけない場合は、重大な名誉毀損であるとして、法的手段を含めた対処を致します。
  
          1999年9月21日  日本経済新聞記者  <署名>
                                             

  <参考:会社側は、就業規則の以下の4項目に抵触したとしている>
  第三十三条 従業員は、特に次の各号を守らなければならない。
   一、会社の経営方針あるいは編集方針を害するような行為をしないこと
   二、会社の機密をもらさないこと
  第三十五条 従業員は、会社の秩序風紀を正しくよくしていくために次の各号を守ら
        なければならない。
   二、流言してはならない。
  第七十一条 従業員が次の各号の一に該当する行為をした場合は、審査の上その軽重
        に応じ、けん責、減給、出勤停止、職務転換、役付きはく奪、解雇など
        の処分を行う。
   一、就業規則、あるいは付属規定に反し、または責任者の命に従わないとき



質問
1.第三十三条二項の「会社の機密」とは、私がHPで書いた文書のどこを差しているのか。

2.第三十五条二項の「流言」とは、私がHPで書いた文書のどこを差しているのか。

3.第七十一条一項の「責任者の命に従わない」とは何を差すのかについて。
  これについて、私が、(自らの意見を掲載していた)ホームページを閉鎖せよとの上司の命
  令に従わなかったのは確かだが、他メディアにおいて意見を述べることについて、就業規
  則に規定はなく、講演や出版を通して意見を述べている社員も過去に多数存在する。憲法
  でも表現の自由が保証されているが、ホームページに意見を掲載することを禁じる根拠は
  何か。

4.第三十三条一項の「会社の経営方針あるいは編集方針」とは、何を差すのかについて。

 1.会社はこれについて「取材源秘匿の鉄則」を例として挙げていたが、会社が考える「取材
  源秘匿」とは何か。取材先の名称などは、すべて秘匿されねばならないと考えているのか。
  具体的に定義して欲しい。

 2.「取材源秘匿の鉄則」が、経営・編集方針であると言える根拠は何か。

 3.その方針は、どのような手段で社員に伝達されているのか。私の知る限り、経営・編集方
  針とは極めて曖昧なもので、知る手段もないことから、ほとんどの末端の記者に周知され
  ていない。

 4.新聞労連が97年に決議した「新聞人の良心宣言」においては、「情報源は取材先との秘匿
  の約束がない限り、記事の中で明示する」(-_)と「取材源の原則公開」こそ市民への
  責任と定めており、取材源の秘匿は、普遍的なものでは全くなく、少なくとも論争的なも
  のである。それを経営側が「鉄則」とまで言い切れる根拠は何か。

 5.経営方針・編集方針を「害する」とは、具体的にどの部分を差して言っているのか。

 6.それを「害」と判断した根拠は何か。

 


会社は上記質問状について、回答を拒否した。佐々人事部長に文句をつけたところ、既に終わったことだから、などと言い出した。佐々氏が「必ず具体的に答える」と私に言ったのはやはり嘘だった(私は念を押して確認していた)。会社としての決定だということだ。所詮は彼も情けない組織の駒に過ぎないということである。実際には、「答えられない」のが本音だろう。記者クラブのような明らかにおかしいことを、記者が外部に対して「おかしい」と言ってはいけない、などと、言論機関である新聞社が記者に言える訳がないのである。ここで具体的に答えてしまうと、前例ができてしまい、これまで会社の好き勝手にやってきた軍隊的な命令が以後、できなくなる。それこそが裁判の狙いだ。私は何としても前例を作り、基準を作ってみせる。