and more info
八百長を検証できない理由
 こうなると、もはやミッションを果たしているとは言えない。単なる情報屋である以上に、権力と癒着しているだけ悪質である。マスコミが横綱審議委員会に入るのは断じておかしい。権力とは常に一歩離れていない限り、ジャーナリズムは機能しない。

以下、2000/3/8 SAPIOより


「マスコミがここでやるべきことは、板井氏の発言と、相撲協会の公式見解という、まったく相反する姿勢を、どちらが正しいのか、できるだけ材料を集めて検証することにあるだろう。例えば、板井氏は『週刊現代』のインタビュー記事で、いくつかの八百長の事例を具体的に指摘している。ならば、例えばテレビのスポーツ番組は、この指摘に基づいて、その検証をなぜやらないか。簡単なことである。その相撲のビデオを入手し、中立的な立場の相撲技術に詳しい人間を呼び、八百長かどうか詳しく検討する。…一応かつてジャーナリズムに籍を置いていた者として、本当にこんなことは言いたくはないのだが、敢えて言わせていただく。『アメリカの報道なら、それをやっているだろう』ということなのである。なぜできないのか。ここに、記者クラブ体制の問題がある。

 再三言うように、日本では取材対象と記者が『クラブ』を通じてお友達になってしまう。だから、肝心な時に真実を究明することができないのだ。外国人記者への会見で初めて問題が取り上げられるというのは、日本の恥ではないか。

 …ここで1つ言っておきたいのは、横綱審議委員会の問題である。横綱審議委員会には、マスコミの社長級の人々が入っている。(現在は、委員長を務める一力一夫・河北新報社主をはじめ、渡邉襄・毎日新聞顧問、渡邉恒雄・読売新聞社長、大島宏彦・中日新聞会長、海老沢勝二・NHK会長と、5人のマスコミ関係者が名を連ねる)。これは実にうまいやり方で、私も協会の広報担当者だったら、そういう手を使うだろう。しかしこれは、逆に言うと取り込まれてはいけないことなのである。」

以下、週刊現代より


「 オモシロイ会見が聞けるのは『外国人記者クラブ』だけ? 『曙に40万円で負けてやった』『18人の現役力士が八百長をしている』  1月21日、元小結の板井圭介氏が外国人記者クラブで行った暴露会見はショックだった。もう相撲なんてアホらしくて見ないっていう人もけっこういたと思う。それにしても不思議なのは、こうしたお騒がせのビッグニュースは、なぜかフツーの記者クラブじゃなく外国人記者クラブ発のものが多いということ。ちょっと思い浮かべても、ざっとこんな具合だ。

 74年10月22日。田中角栄首相(故人)が登場。景気対策についてブチ上げる首相をよそに記者たちは『田中金脈』問題を追及。その結果、この会見から1年9ヶ月後の76年7月、角栄サンはロッキード疑惑で現職首相のまま逮捕された。93年9月3日。Jリーグの川渕チェアマンが審判のレベルの低さに苦言を呈し、物議をかもす。96年4月3日。オウム真理教の上祐史浩外報部長(当時)が記者会見。その発言内容に、フランスの『ヌーベル・オブザーバー』誌記者がキレ、『you are liar』と罵倒…。その他にも一方的に解雇された元ロッテ監督のバレンタイン氏が球団批判をしたり、サッチーが『コロンビア大学でインビテーション・スチューデントとして心理学を学んだ』と口を滑らせ、後の学歴詐欺問題に発展するなど、とにかく面白いネタがメジロ押しなのだ。いったいなぜなんだろう?『JNTO PRESS CLUB』のサンドラ・モリさんに聞いてみた。『どうして外国人記者クラブからビッグ・ニュースが生まれるかって?それは私たちがジャーナリストだからよ』うーん、ちょっとわからない。だって、日本の記者クラブにだって、たくさんのジャーナリストが出入りしているじゃない。