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新聞社の特権
 再販の特殊指定や記者クラブ制度など、権力との癒着だらけの新聞業界であるが、その他にも様々な特権を享受している。以下では、朝日新聞出身の本郷美則氏によって、広告量規制に関するものと、有価証券報告書の提出に関するものが紹介されている。

以下、2001/11/14 SAPIO「『情報管理強化』と『秘密主義』北朝鮮化する朝日の迷走」より


「第三種郵便物」として認められている新聞の広告量は、印刷された部分の50%未満と、郵便法などで決まっている。他方、「第三種郵便物」の認可がない新聞は選挙報道ができない。これは公選法の定めだ。‥‥邪魔になるのが、前述の50%規制である。よくしたもので、新聞側が頼んだのか、役人が気を利かせたのか、郵政当局が助け舟を出してくれた。92年9月、郵務局企画課長の名で通達が出され、営業目的でない意見広告・死亡広告・入試案内広告特集など、紛れもない広告が、広告量算定の対象から鳥を鷺と除外されたのである。明らかに業界と行政の癒着が疑われるこの重大な基準変更を朝日も含め、新聞は国民に一切知らせていない。

 ‥‥97年12月には『従業員就業規則』の付則が改定され、機密漏洩や、反朝日的行為への罰則が一段と強化された。もの言えば唇寒しの空気が社内を支配し、社内情報が電子化されるに及んで、管理体制はさらに強まった。

 ‥‥96年3月に7495人だった従業員は、5年たった今年3月には6540人に減った。955人、12.7%の減員だ。そこへもってきて、今、社員側でなく会社の主導で『社員持ち株会』の組織化が始まっている。会社側の説明によると『株主構成を長期的に安定した状態に保つ制度的な仕組みを作るとともに、株式の譲渡方式をより透明、公正にする』ためだという。だが、隠された意図が『有価証券報告書』提出免除の条件整備と、執行部の翼賛株主会作りにあるのではないかと、社員・OBに疑念がくすぶる。

 ‥‥93年から、資本金5億円以上で500名義以上の株主を持つ会社は、決算期ごとに国に提出を義務づけられ、各地の財務局で一般に公開されている。借入金や投資先なども詳細に公にされるから、新聞社にとっては、特定企業についての報道姿勢などを云々される疑念もあり、困惑と反発を生んだ。こんな事情に配慮したのだろうか、日刊新聞社に限って、社員持株会を作って多数の株主を一つの名義にまとめ、名目上の株主数を250名義未満に減らせば、『有報』を提出しないでよろしいという特例が、95年9月の旧大蔵省令改正で決まった。どのような経緯があったのかは、今なお闇の中だ。が、紙面では企業の透明性や情報開示を盛んに唱えている新聞の裏に、こんなカラクリが潜んでいるのだ。朝日は、95年に1回出して、なぜかその後、提出・公開を避けていた『有報』を連結決算を採用した昨年から再び提出している。社員持株会は11月発足というが、来年も朝日の『有報』が出るかどうか、大いに注目される。


 本郷美則・ジャーナリスト。34年生、朝日新聞社の社会部、整理部、広告局、社長秘書役などを歴任。近著に「新聞があぶない」(文春新書)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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