◎◎◎ えっちゃんの腰痛体験記 ◎◎◎

by えっちゃん(2001年11月寄稿)
メールマガジン、ピーターパンニュースのVOL.8,9に掲載された作品です。

筋トレ大好き、モリモリ食べるの大好きな竹内がこのたび腰痛で寝込むと言う事態発生。 こんなに長期間、寝て過ごすのは「赤ちゃんのとき以来」です。
とにかく、痛くて、寝ていても痛い、意気地なしの私はあらゆることを試みました。 まだ、完治するまでの道のりはありますが、こうなってからいままでの体験談です。 (失敗談と言った方がいいかもしれない)そこから色々なことが判ったので、 書いてみました。
皆さんがもし腰痛になったらどうしますか?読みながら、併せて考えてみてください。

私の診断名は椎間板ヘルニアです。かなりの重症で、 「ひどい坐骨神経痛とぎっくり腰も併発する」と言う最悪の状態でした。
ここまで、悪化してしまった原因は、私が今だかつて腰痛と言うものの経験がなく、 甘く見すぎた結果だったと思われます。
たいした事はないと、自分のからだが一生懸命語りかけてくる言葉や悲鳴、不満、警告。 そういう「からだからの声」を、私が耳を澄まして聞こうとしなかったと言うことです。
椎間板ヘルニアとは、椎間板に日常生活動作、スポーツでストレスが加わると、 椎骨と椎骨の間にある髄核が、繊維輪を破り後方に膨隆、脱出し脊椎神経を圧迫し腰痛、 坐骨神経痛を起こす。第4第5腰椎間、第5腰椎仙椎間に発生する事が多いと言うこと です。

腰痛については、学校や研修で勉強し知っていたつもりの私は、 夫に上手く説明できず慌てて調べ直してしまいました。
さて、そこまで判ったところで「じゃあ、治療する為には何処に行けばいいのだろう?」 と迷いました。しかし、「素人が、あれこれ推察すること自体ナンセンス、 怪しいと思ったら、すぐに病院へ」という現代人の常識に基づき、 まず総合病院に行きました。
がなんと、救急で行ったのにもかかわらず、どんなに痛い事を訴えても、 命に係わらない事は早急の処置はしてくれないようで、西洋医学上、 腰痛は寝ていれば治るというのです。
痛みを堪えながらのレントゲン検査後、結局、痛み止めの薬を処方されただけで、 泣く泣く帰ってきたという訳です。

そこで、医者がする腰痛に対する処置を調べました。殆どの総合病院の整形外科で行 われていることだと思われます。
@ レントゲンを撮る。
 痛み止めの薬を処方する。
*これが効かなかったら…
A MRI(核磁気共鳴映像方法)検査
 腰に痛み止めの注射をする。痛みを麻痺させ症状を落ち着かせる。
B 科学的リハビリに入る。
 変形しているのだから、引っ張って伸ばしましょうと言う「けん引」
 身体が動くから痛い。それなら固定してしまえば痛みは軽減すると言う「コルセット」
*これらを、2ヶ月続けても駄目な場合は…
C 手術を勧められる。

でも、その手術「治るか治らないか判らないが切ってみるしかない」ということらしい。 その成功率が、今のところ90%と言うことですから、かなりの成功率ですが… 100%ではないのです。
医者は、患者には切ればすぐに治ると言いますが、 医者自身がそうなった場合殆どの医者が手術を拒むらしい…(といううわさ) 切る場所が、様々な神経が通っているだけに怖い手術だと思います。

実は、私の母も椎間板ヘルニアで15年前に手術をしました。
切らないで治すとリハビリをしていたのですが、神経を圧迫するとともに、 尿の排泄が困難になり命に関わる事態になり、緊急の手術をしたのです。
3ヶ月の長期の入院でした。親子ですから、 体型が似ると言うことで腰痛も「遺伝」するそうですよ。

最近、インフォームド・コンセントと言って、医者と患者の間で納得の行く話し合いと、 十分なコミュニケーションが配慮されるように変わってきているらしいですが、 私の行った病院では、まだまだ「人間を治そうとせずに、病気を治そうとする」 傾向を克服していないという感じでした。
そういえば、何かの記者会見の席で医師団が 「手術は成功でしたが、残念ながら患者さんは死にました。」 という発表をしているのを思い出し、怖くなりました。
確かに、近代医学でないと助からないことは多々ありますが、 私の場合「すぐに切らないと死んでしまう」という訳ではなかったので、 ほかの方法を探すことにしました。

そこで私は、病院では、上記のAまでの治療をやって、 次ぎに鍼灸の民間療法を受けることにしました。
薬で痛みを押さえるより、鍼の方がからだの為には良いだろうと、毎日通い続けました。 が何時になっても痛みが和らぐことはなく、変わらないのです。
先生に、症状と処置について質問しても、箸折りすぎた説明のみで良く判りませんでした。
更に、聞こうとすると「少しずつ良くなってきていますよ。 時間はかかりますけどね。神経痛って痛みのなかで一番辛いんだよね。」 とまるでひとごとです。
直ると信じて通っているのに、日毎に不安になっていきました。 「医者って患者の痛みを柔らげ、精神的に楽にするのが仕事ではないの」 と言う思いと同時に、不信感が募る一方で次ぎの治療院を探しつつ、 でも何かにすがりたいと言う思いで通っていたのです。

そんな中、自分のわかる範囲で、「鍼ってどんな効果があるの?」を調べてみました。
鍼治療は、末梢神経を刺激して中枢神経の働きを活性化させるという治療法らしいのです。
私の場合、腰でしたから腰のつぼ?に鍼を刺して神経を刺激する。 そうすると、神経の働きが良くなって血液の循環が良くなり、 腰痛(筋肉痛)が和らぐという効果を期待しての治療でした。
しかも、鍼を刺しただけでなくさらに、低周波通電療法でパルスを流す治療法でした。 これは、鍼灸の世界では新しい方法で、西洋医学に近い治療法だそうです。

鍼治療にも色々あるそうですが、一般的にはまず、脈を取り、患者の状態、 痛みの度合いを逐一見ながら打つのが本当だとか、 鍼の効果と言うのは3日間くらいなので、 1週間に2〜3回のペースでやると言われています。
しかし、私の通っていたところは、毎日でしたから、現在鍼灸を勉強中の、 私の元上司曰く「おまえは、その治療院のドル箱っだたな」と笑われてしまいました。
はっきり言うと、私の通った鍼治療院の先生は、「治療法の、ふところが狭かった」 と言うことです。

鍼灸、マッサージ、指圧等の手技で、一時しのぎでない本当の効果的な治療を行うには、 修練を重ねた技術が必要です。何年も訓練を積み重ねて会得した技術で行うのだ から素晴らしいものであると思います。
ただし、これらは根本的な治療ではないと言うことです。外からの力で、 滞っていた血液の循環を良くしてやるので、しばらくすると、 また元に戻ってしまうと言われます。 ですが、この治療で良くなるケースもあるので、あえて否定はしません。

併せて、以下のことも再確認の為、調べてみたので付け加えます。
一時的に症状が納まるが、タイミングが難しいものは、「冷やすこと」 「暖めること」です。
 ・「温湿布」は、1箇所に血液が集まりすぎて炎症を起こす恐れがある。
 ・「冷湿布」は、患部の筋肉が萎縮してしまう恐れがある。
急盛期は冷やして、 安定期は暖めるというのが一般常識ですがタイミングを間違うと大変なことになります。
私が信用して行っていた鍼の先生はとにかく冷やしなさいと言う指導でした。 (選手のアイシングの考え方です。)素直に実行していた私は, 最悪の患部の筋肉が萎縮してしまうと言う自体に陥っていました。

次ぎにマッサージは、 腰痛をこじらせて筋肉が萎縮してしまっている重症患者に揉み治療は逆効果。 筋肉を緩め、体力をつけてからでないと逆効果。 なのに、鍼だけでは効果がなくなるから、 間を空けましょうとマッサージの日もあったのです。
椎間板ヘルニアに、マッサージは禁忌と判ったときには、ガ―ンと思いっきり頭を殴 られたような衝撃でした。
後でわかったことですが、肉離れを起こしていたのです。

これらが、1ヶ月間、死ぬほど痛い思いをして、 数々の私に会わない治療法で苦しんだ結果判った事です。
今思うと、自分の感覚をもっと信じるべきでした。 怪しいと思ったら瞬時に別の病院や治療院に変えるべきと言うことです。 それに気付いていながら、ずるずると通ってしまっていたのは、 これと言った情報がなく、何が良いのか、どうして良いのかが判らなかったからです。

そこへ、まるで天の声のように1本の電話が入りました。
どうしようもない痛みを堪えながら、 以前仕事先で知り合ったカイロプラクティック治療院のおじいさんに相談 の手紙を書いて出しておいたのがきっかけでした。 それを読み、心配してすぐに電話をくれたと言うのです。
私は、これまでのことをすべて話し、とにかく痛い!と訴えました。 すると、「すぐに、痛みを取ってあげるからすぐ来なさい!」と言ってくれました。
このまま痛みに耐えながらの生活を続けていたら、 ご飯も食べられないし寝られないし死んでしまうと思った私は(冗談ではなく)、 カイロの名人と言うおじいさんのところにだまされたと思って行くことにしました。
そうしたらなんと、瞬時に信じられない効果があり、 今まで眠れないほどの痛みが不思議と治まったのです。

現在順調に、回復に向かいつつあります。
1ヶ月の睡眠不足を取り返すべく毎日穏やかな眠りについています。 「もっと早く行けば、こんなに長期間苦しまなくて済んだのにね」と、 となりで夫が一言。

カイロプラクティック治療とは、1つ1つの骨(関節) の正常居を検査し異常骨を科学的に修正する手技術を米国カイロプラクティックと言います。
さまざまな慢性病の根源は生命の大黒柱である背骨、 骨盤の変位(ズレ)に深い関係をもっていると言う考え方のようです。
カイロの名人安井先生は、私のからだのあらゆるところを触りながら瞬時に私の悪いところを診抜き、 ヘルニアが連続している!股関節がずれている!膝と足の骨がずれている! といいながら、それらの患部を「エイッ!」と言う掛け声と共に押したり引 いたりして行くという治療法でした。
そうした後、自分で調合したと言う塗り薬を、 筋肉が萎縮してしまっているという患部に塗ってくれました。 すべて傍で見ていた夫が、「これってインチキじゃないの?」 と耳打ちしてくるくらい怪しかったのは確かです。
先生いわくアメリカではカイロプラクティックは、高い評価と実績があるそうです。 治療をしながら、症状を判りやすく説明してくれました。

そして、治療が終了したのが、夜中の1時でした。連れていってくれた夫も、 先生もこんな夜中まで大変だったと思います。
なぜ、こんな時間でも診てくれたのかというと、先生自身20代から腰痛で苦しみ、 何も治してくれるものはなかったので、自分で勉強をして自分で治したと言うのです。
「痛みが判るだけに、すぐに楽にさせてあげたかった。はやくくれば良かったの にね。」と言われたときには涙がこぼれそうになりました。

これまでの体験から、人間は生きていくためには、様々な選択 (情報の多いこの世の中、瞬時の正しい選択は、難しいですね)をしながら、 自分の直感(良しあしの判断はこれに勝るものはないと感じました)を信じ、 自分の身体は自分で守らなければならない(自分の身体は自分しか判らないから、 医者任せはで良くならないと思った) ということを、教えられたような気がします。

最近ようやく、日常生活がほぼ普通どおりに送れる様になってきたところです。 これまでに落ちてしまった体重、体力を取り戻す為に、 これからリハビリに励みます。
「長い人生、こう云う事もある」と思って焦らずにやっていくつもりです。 一日も早く良くなってこれらの体験を運動指導で活かせたら良いなと思っています。
これまでに、多くの方々に励まされ、力になっていただきここまで良くなって来ました。 こんなにも沢山の、素晴らしい人々に囲まれて生きていることに感謝の気持ちでいっぱいです。
今回、腰痛になって、動けなくなってみて沢山のことを収穫しました。 これは、私の宝になるでしょう。きっと…

おしまい

イラスト by よっちゃん

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製作・著作 よっちゃん