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お名前： 塔婆守
事のついでに「天狗＝魔」の置き換えについても言及しておき
ましょう。
前に引用した『日葡辞書』の「天狗」および「魔」の項目を調
べると、次のような解説があることに気付きます。
Tengu.Tennno inu.悪魔．
Ma.Tengu.悪魔．
「天狗」の項目の初めに"テンノイヌ"とあるのは語義を解説し
たのではなくて、この漢語の訓読みを示したものです。この辞
書は漢字を一切用いていませんから、漢語が見出し語に立つ場
合には、それがどのような漢字で書かれるかを示すためにこの
ような方法を用いたと考えられます。
「魔」もまた漢語ですが、これにはふさわしい訓読みがありま
せんから、やむを得ず「天狗」と言い換えたのでしょう。これ
によっても「魔＝天狗」という等式の成り立つことが明らかに
なります。
ところで、キリスト教には「悪魔」の存在が不可欠ですが、来
日したキリシタン宣教師たちにとっては、このような宗教的概
念を表すのにふさわしい語を当時の日本語の中から探し出すこ
とが難しかったようです。そのために、彼らは初めこれに「天
狗」の訳語を与えました。そうすると、上記の辞書の記述は西
洋人の立場からなされたもので、当時の日本人には通用しなか
ったのではないかという疑いも起きてきます。しかし、すでに
見たように、中世の謎にもこのような「天狗＝魔」の置き換え
が見えることからすれば、それは西洋人が考え出した言い換え
ではなく、日本固有のものであったと考えてよいことになりま
す。
中世の謎にはこのような資料的側面もあって、侮りがたい存在
であることに気付かされます。
[2000年1月6日 17時18分31秒]
お名前： 塔婆守
これまでの謎に見られた「坊主＝師」という置き換えについて、
少々補足をしておきましょう。
まだ仮名が生まれていなかった時代に編集された万葉集には、
日本語を表すために、漢字にさまざまの工夫をこらして使用し
た苦心の跡が見られます。漢字の音や訓を組み合わせてこれを
仮名のように音節文字として使用した"万葉仮名"と称される用
法がそれです。
そのような用法の中に、シという音を表すのに「僧」の漢字を
用いた例があります。
例えば、「あきはぎの しぐれのふるに ちらくしおしも（散
るのが惜しいことよ）」という詞句の「ちらくし」に当たる箇
所は「落僧」と書かれています。ここは音数の関係から「落」
を「ちらく（＝散ること）」、「僧」を「し（強めの助詞）」
と読ませようとしたことになります。
また、「おもへども しるしもなしと しるものを」という詞
句の「しるし」の箇所は「知僧」と書かれてあります。ここは
「しるし（験）」という名詞を「しる＋し」と分解して、それ
ぞれを「知」と「僧」の漢字によって表したものです。
この二つの例から、奈良時代には「僧」という漢字には「し」
という読みもあったことが知られます。これまでの謎に出てき
た「坊主＝師」という置き換えは、このように僧侶を「し（師）」
と称した奈良時代以来の伝統を伝えたものであることが解りま
す。
[2000年1月5日 18時5分23秒]
お名前： 塔婆守
薊子さま、ご回答ありがとうございます。
> ＞（問）明日明後日踊れ坊主
> 明日明後日 → あす あ 去つて → す
> 踊れ → 躍り字「ゝ」を加え → ゝ
> で如何？
恐れ入りました。文句無しの大正解です。
ずばりストライクが決まった感がありますね。
[2000年1月5日 12時42分14秒]
お名前： 薊子
＞（問）明日明後日踊れ坊主
明日明後日 → あす あ 去つて → す
踊れ → 躍り字「ゝ」を加え → ゝ
で如何？
[2000年1月4日 21時25分52秒]
お名前： 塔婆守
前にも取り上げた「坊主＝師」の置き換えが鍵になる別の謎を
もう一つご披露しましょう。
（問）明日明後日踊れ坊主
（解）生絹
「生絹」の読みは、古語辞典などでは「すずし」とするのが
一般ですが、この当時は「すすし」と清音でした。１７世紀
初頭に長崎で出版されたキリシタン文献の一つ「日葡辞書」
（日本語ポルトガル語対訳辞書）には、見出し語を Susuxi.
としてこの語を登載し、「ごわごわした生糸で織った織物の
一種．」という語釈を与えています。ま、このことは謎解き
に直接は関係しませんが・・・。
さて、これはどうやって解きますか。
[2000年1月4日 17時44分9秒]
お名前： 塔婆守
海砂さんのお答え、九割方は解けています。
＞番匠枯れ／木に登る と切れ目を入れます。
正着の一手です。
＞前段は「芭蕉枯れ」と読み替えて、枯れた芭蕉を取り除きますと「む」
＞の一字が残ります。
仰せのとおり、前半は力ずくでねじ伏せた印象があり、ここがちと難点。
「番匠枯れ」を「"ばむ"上枯れ」と置き換えれば"ば"が消去されます。
ただし、これにしてもいささか苦しい感じは残りますが・・・。
＞後段は「き」の字の上に乗せるのこころです。両者を繋げると「むき」
＞となります。
これで全体が解けたことになりますね。お見事。
[2000年1月4日 13時6分14秒]
お名前： 海砂
＞ (問)番匠枯れ木に登る
＞ (解)麦
番匠枯れ／木に登る と切れ目を入れます。前段は「芭蕉枯れ」と読み
替えて、枯れた芭蕉を取り除きますと「む」の一字が残ります。後段は
「き」の字の上に乗せるのこころです。両者を繋げると「むき」となり
ます。
「芭蕉枯れ」が強引すぎるようです。もうすこし謎らしいウイットがあ
りそうですね。
[2000年1月4日 6時36分50秒]
お名前： 塔婆守
海砂さん正解。
＞いろは歌に思い至って解けました。
＞
＞つねならむ（う）ゐのをくやまけふこえ（て）
＞
＞えむの下は「てう」となります。ヒントのおかげです。
間然するところがありません、お見事。
「ん」は本来は「む」と同じ"ム"の音を表す仮名でした。両者はいわゆ
る"異体字"、つまり人間で言えば異母兄弟の関係にあたる存在です。な
お、ｎ音に関して「ん」と「む」が等値の文字であったことは、次の謎
からもうかがうことができます。
(問)番匠枯れ木に登る
(解)麦
「番匠」は"大工"に当たる中世日本語。城下町などに「番匠町」という
町名が残っているのはその名残を留めたものです。
謎解きでは、清濁の相違は度外視されることは前にも申し上げたとおり
です。さあ、どなたもお考え下さい。
[2000年1月2日 8時35分40秒]
お名前： 海砂
（問）縁の下の坊主
（解）銚子
＞後半には 坊主＝師＝子 の置き換えが用いられています。
＞さて、それでは前半はどうやって解きますか？
いろは歌に思い至って解けました。
つねならむ（う）ゐのをくやまけふこえ（て）
えむの下は「てう」となります。ヒントのおかげです。
[2000年1月2日 7時29分51秒]
お名前： 塔婆守
西行法師の伝説とはゆかしいところに着眼されましたね ＜薊子さん
チヤウとテウは本来は別の発音だったものが、次第に混乱を生じ、や
がては現在のように、どちらもチョーと発音するようになりました。
この謎が作られた時期にも、すでにその混乱は始まっていた形跡があ
りますから、薊子さんの解はこの点に関しては不都合はありません。
じいくんは表の意味の「えん」を「ふち」と読み替えることによって
解に迫ろうとされたものですね。これも謎解きの一つの方法ではあり
ますが、いまひとつしっくり来ないところが残念です。
この謎はもっと単純に解くことができます。ヒントを一つ差し上げま
しょう。中世にはｎ音を表すのに「む」の仮名も用いられたことにご
注意下さい。
[1999年12月30日 18時5分58秒]
お名前： じいくん
では、私も。 縁（ふち）の下の帳。
間違えながらも、中世の世界に心のチャンネルが
できつつあるような気がしてきます。
いずれ、読書案内や文献紹介なんかも、混ぜていただけたら、
というようなことを感じます。
[1999年12月30日 8時12分49秒]
お名前： 薊子
「謎」（その５）ではなんとか正解することができましたが、
こちらは難しいですね。
出家前の西行法師が裾にすがりつく愛娘を縁の下に蹴落とした、
という説話がありますので、
まず「縁の下」から「娘」を連想、
娘(ヂャウ)の濁音を取ってチャウ → 銚(テウ)
というのは考え過ぎでしょうか。
[1999年12月30日 4時13分18秒]
お名前： 塔婆守
謎が解けたついでに、も少し寄り道をいたしましょう。
坊主＝師と置き換えるのは中世の謎の常道です。
次のもその一例。
（問）縁の下の坊主
（解）銚子
後半には 坊主＝師＝子 の置き換えが用いられています。
さて、それでは前半はどうやって解きますか？
[1999年12月27日 7時44分2秒]
お名前： 塔婆守
どうやら今回はいささか難問だったようですね。
--------------------------------
（問）天狗の女房坊主叩いた
（解）塩打豆
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どなたからも解答がありませんので、不本意ながら正解を発表
することにしましょう。
前に示したヒントにあったように、
塩打ち → 坊主叩いた
豆 → 天狗の女房
を導き出すわけですが、その鍵は
坊主＝師
天狗＝魔
女房＝妻（め）
という置き換えにあります。これに従えば、
塩打ち＝師を打ち＝坊主叩いた
豆 ＝魔妻 ＝天狗の女房
という等式が成り立つことになります。
上記の置き換えの中、「女房＝妻」は簡単ですが、「坊主＝師」と
「天狗＝魔」の両者は、現代人にとってはいささか腑に落ちないと
ころがあるかもしれません。しかし、この謎が作られた時代の人に
とっては納得の行くものだったと考えられます。
これについてはまた改めて記すことにいたします。
[1999年12月26日 18時16分35秒]
お名前： 塔婆守
昨日韓国から戻って来ました。向こうでは思わぬ雪景色を見ることができま
した。
ご回答ありがたく ＜じいくん
う〜ん、今回は意外に手強かったようですね。「うち」は確かにいいい線を
行ってましたが、残念ながら別の解き方があります。
それではヒントを差し上げましょう。
今回は、問と解との対応関係が逆になります。すなわち、
塩打ち・・・・坊主叩いた
豆・・・・・・・・天狗の女房
をそれぞれうまく対応させれば正解が得られます。
これならどうでしょうか。
[1999年12月23日 12時56分30秒]
お名前： じいくん
一応、投票に参りました。
突破口になるか、皆様を混乱させるだけで終るか。
天狗→せうてんぐ→しお
女房→内儀、家内→うち
坊主の叩く→木魚とか鉦とか→まめ太鼓？
うち、はなんとなく自信がありますが。
もっといいお考えは他の方におまかせ。
[1999年12月18日 19時49分25秒]
お名前： 塔婆守
はもりさま 早速のご回答有り難うございます。
> 坊主…ぼうず…ばうず…�爐个Ν瓩瞭�(ず)…�爐亅瓩了�
> 叩くと割れる。�爐鍬瓩鉢爐��瓩半�さい点が一つ残る
>
> というところまで、あってるかしら？
こ、細かい〜（0_0;） よくまあここまで精密にお考えにな
りましたね。まさに努力賞ものですが、残念ながら別の解き
方があります。
今回の謎は言い換えがポイントです。現代語には無い言葉が
用いられているので、辞書の助けが必要となるかもしれませ
ん・・・、というヒントを差し上げて置きましょう。
それでは２２日まで留守にいたしますので、その間にお考え
置き下さい。
[1999年12月18日 6時37分42秒]
お名前： はもり
4回目になって少し賢く考えてみました。
＞（問）天狗の女房坊主叩いた
てんぐのにょうぼうぼうずたたいた
てんぐのにようばうばうずたたいた
点 具の 二様 棒 棒 頭たたいた
点を具してる二つの棒の棒の先を叩いた
坊主…ぼうず…ばうず…�爐个Ν瓩瞭�(ず)…�爐亅瓩了�
叩くと割れる。�爐鍬瓩鉢爐��瓩半�さい点が一つ残る
というところまで、あってるかしら？
[1999年12月17日 14時16分24秒]
お名前： 塔婆守
韻文形式の謎の第四弾参ります。
今度は短句形式の謎です。
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（問）天狗の女房坊主叩いた
（解）塩打豆
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（註）「塩打豆」は"しおうちまめ"と読みます。当時、おやつにでも
したのでしょうかね。
[1999年12月16日 17時0分29秒]
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※半角カナは使用しないでください。文字化けします。
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