2004年夏季個人旅行スナップ(3)   思いがけない出会い
'2004.08.14
        
        
イーチョン(利川)市内にて
 翌日はソウルのホテルがどこも満員で予約が取れず、やむなくソウルに戻る途中のイーチョン市内に宿を取ることにしました。一泊旅行を企画してくれた旧留学生たちと別れて、バスターミナル近くの裏通りを歩いていると、小さな体育館風の店がありました。花輪が飾ってあるのはたぶん新装開店を祝うためのものだろうぐらいに考えて、暑さは暑し、なによりも涼みたさのあまりに、前後も顧みずに他のお客の後に付いて店内に入りました。ところが、そこはなんと・・・・。

(その時は気付きませんでしたが、この写真を後から見ると、入口の看板には「イーチョン訪問を歓迎いたします/ハルモニ(おばあさん)、ようこそおいでくださいました」と書かれてありました。それから、この店は「オペラハウス」という名前のライブレストランであったことも後から知りました。)



  
        
会場写真1
 店内正面には小さな舞台がしつらえてあり、客席では大勢の人たちが舞台で行われているスピーチに耳を傾けています。



  
        
会場写真2
 舞台上部の横断幕には「8.15光復節記念/日本軍従軍’慰安婦’被害者ハルモニ招請慰労宴」と書かれてあり、主催は「ナヌム(苦楽を共にする者)の家 利川市後援会」とあります。ここはそういう集まりが開かれる場所だったのです。



  
        
会場写真3
 そのことに気付いた途端に、このような場に日本人がいてもいいのだろうかといういたたまれなさと、うしろめたさを覚えました。でも会場の周囲の人たちは私を格別白眼視する様子もないし、それにめったに出会えない機会なので、思い切ってその場に居続けることにしました。式は、声高に日本をなじるという雰囲気ではなく、むしろ淡々と進められていました。
 小さな階段を上って二階に行くと、そこには中学生ぐらいの少女たちが大勢いて、式の進行の様子を見つめています。
 やがて式は第一部が終わって第二部に入り、舞台の上ではさまざまのアトラクションが始まりました。二階にいた少女たちもこれに加わってコーラスを披露しています。



  
        
会場写真4
 イーチョン舞踊学院院長ウ・ミヨンさんの舞踊「サルプリ」(当日のプログラムによる)。



  
        
会場写真5
 ソレ芸術院生キム・スヨンさんほか4名の「キョンギ(京畿=地名)民謡」(当日のプログラムによる)。



  
        
会場写真6
 キム・スンドク ハルモニが1995年に描いた「あの時あの場所で」(画の説明文による)。



  
        
会場写真7
 ハルモニをねぎらう少女たち。この少女たちと同じ年頃にハルモニたちはどんな目にあわされたのでしょうか。



  
        
● 思いもよらぬ出会いのあった旅の午後でした。

 日本では「冬ソナ」がきっかけになって、これまで韓国にさほど目を向けることのなかった多くの人たちが関心を寄せるようになったのは喜ばしいことです。しかしそうしたきれい事ばかりではなく、あの忌まわしい戦争によって癒されぬ心の傷を負った人たちが、今でもこうしているという現実から我々は目をそむけてはならないと思います。両国の本当の親善友好が実現するためには、このような歴史の深い溝を乗り越えることが必要です。このような事実を歴史から抹殺しようとする勢力に対しては,"恥知らず"という以外の呼び方を知りません。

 なお当日のプログラムによって、おばあさんたちの施設である「ナヌムの家」のホームページがあることを知りました。日本語のページもありますので、関心をお持ちの方はこちらもご覧下さい。

「ナヌムの家」ホームページ

  
                 


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