File11 2002年夏の展覧会

<文責:女王様1号>

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 梅雨も明けず蒸し暑い2002年初夏に行った、まったく関連性のない (^^; 2つの展覧会に関する報告です。

◆ ヴァチカン教皇庁図書館展 ◆

期間 場所 料金
2002年4月23日(火) ~ 7月21日(日)
(月曜休館)
印刷博物館
江戸川橋駅4番出口 徒歩8分
飯田橋駅東口 徒歩13分
800円

 昨年のドイツ旅行でマインツのグーテンベルク博物館を訪れ、活版印刷に対する造詣を深めた(?)1号。 それと同じような匂いを感じて、いかにもマニアックそうなこの展覧会に足を運んでみた。
 飯田橋駅から「文京区内にこんなウラ寂れたところが…」というような地区を通ってたどりついたのは、トッパン小石川ビルという新しくてキレイな建物。 そう、「印刷博物館」なんて非常にパブリックなイメージの名称だが、実は凸版印刷の関連施設なのだ。

 意表をつく位置からチケットが出てくる券売機で入場券を購入して中に入ってみると、さすがに印刷屋さんだけあって展示品や博物館に関するリーフレット類が充実している(紙も上質)。
 展示室に進む前に、VRシアターという部屋で「バーチャル・システィーナ礼拝堂」の映像が上映されるところだったのでそれを先に観賞。 「バーチャル・システィーナ礼拝堂」とは、かなり大きな半円状のスクリーンにシスティーナ礼拝堂内部の映像を映し出し、オペレータの操作で前後左右、さらに上下に移動するのを座席から楽しむというもの。 これによって、壁面の「最後の審判」の上の方や、天井画も近くから見ることができる(ような感覚を味わえる)。 礼拝堂内の聖歌隊席から賛美歌が流れているのだが、見ている人の視点の移動に伴って歌声が聞こえてくる方向も変化するなど芸が細かい。 上映は13時~17時の毎正時より、所要20分

ヴァチカン教皇庁図書館展 (C) 2002 Biblioteca Apostolica Vaticana  さて展示室の方は、展示内容がマニアック&どの駅からも離れているにも関わらず、思ったより客が多い。 世の中には物好きな人がいるものだ(自分のことは棚上げ)。 しかし、カルチャースクールらしきご一行様(おばちゃん集団と解説者)と大学のゼミらしきご一行様(学生数名と先生)が「みんなでお勉強」という感じで来ていたのがちょっと特徴的かも。 「それでは10分ほど自由に見てもらって、その後また集まってください」とか言っていた。
 中央に置かれたヴァチカン市国の模型の周囲をぐるっと囲むように、ヴァチカン教皇庁図書館所蔵の古い聖書の写本が展示されている。 ただし、古い時代のものの大半は「ファクシミリ版」といって複製されたもののようだ。これは状態がいいなー、と思うとたいていはファクシミリ版。 ホンモノで1番古いのは、9世紀前半のものだった。ちなみに、右写真の絵ハガキに使用されているのはすべてホンモノで、

  • 上段左:ザルツブルクの福音書(9世紀前半=最古、ギリシア語)
  • 上段中:ビザンティン朗読用福音書(11世紀後半、ラテン語)
  • 上段右:挿し絵入り聖書(1430年、イタリア語)
  • 下段左:ニッコロ・デステの聖書(15世紀、中世フランス語)
となっている。「ニッコロ・デステの聖書」は比較的新しいこともあるが、挿し絵が色鮮やか。絵そのものは、その他と同様、 「ルネサンス以前の宗教画にありがち」という感じでブッキーだけど。

 その次にくるのが1号予習済(?)の活版印刷関連コーナー。事実、グーテンベルク博物館で見たのと同じような印刷機も展示されているし、 実演こそないが、活版印刷再現ビデオを見ることもできる。
 右写真の下段中は「ぎやどぺかどる」といって、天正遣欧使節が持ち帰った活版印刷技術で1599年に日本で印刷された「キリシタン版」。
 また、「グーテンベルクの42行聖書(1ページが42行?)」というものを印刷博物館が協力してデジタルデータ化したそうで、 タッチパネルでその各ページを見たり、日本語の対訳を表示させたりできるコーナーもあり。

 グッズ売場にはあまり今回の特別展関連の商品はないが、絵ハガキはキレイな封筒に入った5枚セットが\400(2種類あり)。 最近の相場からすると、1枚あたり\80というのは安い。やはり紙商売だからでしょう。
 他にも印刷あれこれを扱った常設展示などがあって面白いのだが、展示がやたらとメカメカしく(タッチパネル多用)、相当金がかかっていると見た。 この平成大不況に凸版印刷は儲かっている!というのが、この展覧会で得た最大の感想(笑)。

§ 関連リンク §

◇ 印刷博物館

◇ ヴァチカン教皇庁図書館

◇ ドイツ旅行記

 
◆ マグリット展 ◆

期間 場所 料金
2002年7月 6日(土) ~ 8月25日(日)
(休館なし)
Bunkamura ザ・ミュージアム
渋谷駅ハチ公口 徒歩7分
1,200円

 1号が大学生の時に近代美術館でかなり大規模な「マグリット展」があったのだが、それ以来久々にマグリットを観賞。 ベルギー王立美術館監修による展覧会ということであるが、今回初めてルネ・マグリットはベルギー人であることを認識した。 ベルギーワッフル、小便小僧、W杯で日本と引き分け、という1号の貧弱な「ベルギー知識」に新たな要素が加わった。 (^^;
 また、作品制作中のマグリットの写真も展示されていたが、それによるとマグリットはスーツ姿で絵を描いていたらしい。 いくつかの作品のモチーフになっている山高帽に黒スーツの男にそっくりだった。

マグリット展 (C) ADAGP  作品は大体年代順に並べられているようで、その結果同じようなモチーフの作品がなんとなくまとまって展示されていた。 前述の山高帽に黒スーツ男とか、はばたく鳥とか、青リンゴとか、ナゾの球体とか、とか。
 マグリットの作品は、絵の妙さだけでなく、絵とタイトルの関連性が???なのもポイント。 白い帽子・ドレス・日傘の女性の顔が紫陽花になっていて、タイトルが「世界大戦」だったり。 そのため、それほど混雑していない割に、絵のタイトルを読もうとしてみんな最前列にへばりつきがち。 絵そのものは比較的遠くから見てもわかるのに。その辺のことを考慮して、タイトルは絵の上にデカデカと掲げてもらいたい

 1号が購入した右写真の絵ハガキ(1枚\150)は、それぞれ

  • 上段左:「レディ・メイドの花束」
  • 上段中:「ピレネーの城」(注:今回の展示作品ではない)
  • 上段右:「アルンハイムの領地」
  • 下段左:「心の琴線」
  • 下段右:「帰還」
というタイトル。なぜ展示作品ではないものまで買ってしまったかというと、似た感じの展示作品があってそれと間違ったから(爆)。
 しかしこれは1号がマヌケだからではない(と思う)。マグリットが似たようなモチーフの作品をいくつも描いている上に、 今回の展示作品には日本語と英語でタイトルがつけられていたにも関わらず、絵ハガキに書かれているタイトルはフランス語のみだったからだ! というか、そもそも出品されていない作品のグッズは紛らわしいので販売しないでほしい、というのが個人的な希望なのだが。 他にも「この作品あったっけ?似てるけど違う???」とか悩みながら購入している人多数。皆様も絵ハガキ購入の際はご注意ください。

 今回出品されている作品はベルギー王立美術館や海外の個人収蔵作品が主体だが、日本には結構マグリット作品がいろいろあるようだ。 かの有名な「大家族」も宇都宮美術館にあるらしい。この小ネタを書くためにネットで調べていて、 以前の展覧会で1号のツボを直撃した「観光案内人」という作品は、 姫路市立美術館にあることが判明。日本人は(シュルレアリズム好きというよりは)マグリット好きだと思う。 グッズ売場でも、絵ハガキだけでなくポスターも売り切れが出ていた。
 Bunkamura内のレストラン「ドゥマゴ パリ」では、マグリット展と連動してベルギー料理メニューを出している模様。 また、ロビーラウンジではマグリット展の半券提示で記念メニューが\400引きに。記念メニューの中には当然のようにベルギーワッフルが。 でも、日本に来たベルギー人が「原宿のベルギーワッフルが1番美味」と言ったという話があるけど(笑)。

§ 関連リンク §

◇ Bunkamura ザ・ミュージアム

◇ ベルギー王立美術館

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