年が明けて、何故かわからないが無性に温泉へ行きたくなりました。今の時期にしかやっていない露天風呂を思い出して、和歌山県本宮町の川湯温泉へ行くことにしました。ついでなら湯ノ峰温泉や十津川温泉にも入ろう。そう思い立って、金曜日仕事から帰宅するとすぐに仮眠を取って、日付が変わって土曜日の午前1時頃に自宅を出ました。国道24号線を南下して、奈良県五条市から国道168号線を走り、西吉野村、十津川村を通り抜けて、川湯温泉へ到着したのは午前4時頃です。冷たい風が吹いて、雪もちらついて…。

川湯温泉仙人(千人)風呂
実際入浴したのは、辺りがまだ暗い午前6時頃でした。大塔川の河原を掘るとそこから自然に温泉が湧いてきます。毎年11月から2月の間、ご覧のように大きな露天風呂が造られます。1,000人くらい入浴できそうな大きさなので、千人風呂と名づけられたのでしょう。ちょうどいい湯加減でした。泉質は単純温泉、源泉の温度は70℃くらいあるそうです。残念ながら空が曇っていたので、星を眺めながらの入浴にはなりませんでした。今までは24時間入浴できたのですが、今回は朝6時から夜11時まで時間制になっていました。料金は無料です。

湯ノ峰温泉共同浴場
川湯温泉の次に隣の湯ノ峰温泉へやってきました。ご覧の共同浴場は朝早くから開いています。一般の浴場と薬湯の浴場の2種類あります。今回は受付のおじさんの薦めもあって、薬湯に入りました。薬湯というからには、濃い色のついた薬草風呂のようなものを想像していましたが、無色透明の湯です。おじさんの説明では、一般の湯は源泉と普通の水が半々の割合なのに対して、薬湯は源泉100%だそうです。だから薬湯なんですね。実際入ってみると熱い。水で埋めるか何かしないと、90℃近い源泉がそのまま流れ込んでくるので、入っていられません。泉質は含重曹硫化水素泉、慢性皮膚炎や糖尿病等に効果があるそうです。

つぼ湯(右:つぼ湯に入るOcean…4年前の姿)
湯ノ峰温泉名物のひとつに「つぼ湯」があります。河原の掘っ立て小屋の中に小さな岩風呂があるのです。不思議にも湯の色は日によって違うそうです。この日も入浴したかったのですが、公衆浴場のおじさんの話では「2時間待ち」であるとのこと。確かに一度に2人くらいしか入浴できないので、今まで順番待ちは何度も経験済みですが、2時間待たないと入れないなんて…。随分変わったんですね。Oceanが入っている画像は4年前の夏に撮ったです。残念ですが、今回つぼ湯は諦めました。

湯筒のある風景(右:湯筒で卵を茹でる)
公衆浴場前の河原には「湯筒」があり、90℃近い源泉が湧いています。湯治客らが卵を持って来て茹でています。川の水も温泉のせいでとても温かいです。これこそ大地の恵みですね。温泉地にしては、これといった娯楽もないのですが、むしろ逆にこんな素朴な雰囲気がとてもいいのです。湯ノ峰温泉は何度訪ねてもいいところです。

牛馬童子(左)と役行者(右)
2つの温泉巡りをした後は、少し足を伸ばして中辺路町の牛馬童子を訪ねました。この辺りは熊野古道が通っています。その古道が通る箸折峠(はしおりとうげ)に、人目につかないようにひっそりと石像はあります。牛と馬の両方にまたがった童はとても可愛らしいです。右側にある役行者像も厳しい修行をしたようには見えないほど、愛くるしい感じがします。牛馬童子のモデルは一説には花山法皇であると云われています。

左:熊野古道、右:近露(ちかつゆ)の集落
私も以前、熊野古道を歩いたことがあります。熊野古道は古くから熊野三山(熊野那智大社、熊野本宮大社、熊野速玉大社)へ参るための道でした。ごく一部ですが、石畳の道も残っています。滝尻王子から、野を越え山を越えて、この近露の集落を見た時は、涙が出るくらい感動しました。機会があればもう一度歩いてみたいです。

昼食
この日は風が強く、外はとても寒かったので、車中で昼食を取りました。近所に開いているレストランはなかったので、仕方なく来る途中コンビニで調達したカレーラーメン。意外にもうまかったです。でも侘しい…。

とがの木茶屋と熊野古道
侘しい昼食を済ませると、近露の隣の野中の集落にやってきました。近露が平地の集落なのに対して、野中は山の斜面の集落です(どちらも中辺路町です)。熊野古道に面して、一際目立つ茅葺屋根の家がありました。民宿「とがの木茶屋」です。茅葺屋根の中は囲炉裏があって、泊り客は囲炉裏端で食事をするそうです。

野中の清水
「とがの木茶屋」の下の方に、清水が湧いています。「野中の清水」です。かつては旅人達もここで喉を潤したのでしょう。きれいな水でしたが、飲みませんでした。ゴミが浮いている上澄みが流れないように、池の中くらいの深さからホースが突き出ています。

左:野中の向かい側の山、右:集落内の雪だるま
最近ドカ雪が降ったのでしょう。民家の軒下には子供が作ったのか雪だるまがありました。この日も雪がちらつく寒い日で、向かいの山には雪が降っている様子でした。

左:新宮川と十津川村七色の集落、右:十二の滝
本格的に雪が降らないうちに帰路に就くことにしました。何せ自宅からここまで3、4時間はかかるのですから。国道168号線を北上して行くと、十津川村の最南端の集落七色(なないろ)が見えてきました。画像は和歌山県側から撮影したものですが、あそこの集落の人達は自分達の村役場へ行くよりも、こちらの和歌山県本宮町役場の方がはるかに近いでしょう。十津川村はとても広い村(村では日本一らしい)で、車で測ってみたら、南北53kmくらいありました。そんな中におびただしい数の集落があって、村としてまとまるのは結構大変ではないかと想像します。

十津川温泉「蕨湯」(右:脱衣所)
せっかくなので十津川温泉にも立ち寄ることにしました。ナトリウム炭酸水素塩泉で、泉温は61.5℃です。源泉からそのまま湯を引っ張ってきているようなので、熱さは水で調節します。だから忘れてそのままずうっと水を出しっ放しにしておくと、冷めてしまって、中々熱くなりません。沸かすことができないのです。

左:十津川村のある風景、右:車中でコーヒーを飲む
十津川村の小井というところで、雪化粧しかかった山頂と、十津川(新宮川)の風景を撮りました。川に架かる橋は国道168号線です。国道168号線は奈良県の五条市から西吉野村、大塔村、十津川村、和歌山県本宮町を経て新宮市まで続いています。途中拡幅工事がされている箇所がいくつかありますが、まだ対向するのもままならない狭い箇所が多いです。現在トンネルの掘削やバイパス道路敷設の工事も少しずつですが、進められています。村の人達にとってはやはり道路は大切です。拡幅された道路脇に休憩所があったので、停車して、また車の中で湯を沸かしてコーヒーを飲みました(^^ゞ。昔程長距離運転は楽ではありません。

大塔村の風景
十津川村の北側に接する大塔村も道路幅が狭い箇所がいくつかありますが、ご覧のように道路が整備されている箇所もあります。確かこのアーチ橋の架設工事中に事故で作業員1人が命を落とされています。容易な工事ではないようです。アーチ橋の側には温泉が湧いています。

西吉野村の風景
西吉野村に入るとそろそろ山間の集落は終わりなんですが、ご覧のとおり山はまだまだ険しくて、民家は斜面にへばりつくように建っています。ただここからだと五条市まで車で1時間もかからないので、大都市圏への通勤通学は可能かなと思ったりします。僕の今回の温泉巡りもそろそろ終わりに近づきました。土産はやはり吉野名物「柿の葉寿司」にしました。