04/10/31 Sun 11:13 pm |
『CASSHERN』 |
映画でも小説でも漫画でも"官能性"というものが必要だと思う。 これは押井守が言った言葉である。官能というのを"こだわり""思い入れ"という言葉に置き換えてもいいかもしれない。 それが好き嫌いに分かれても、観る側は作った側のこだわりに反応するものである。 なので、なんのこだわりも見て取れない映画は駄作という以前に、作った奴に官能性もないものをなぜ作ったんだと問いたい。 『CASSHERN』がそうであった。 ミュージックビデオを撮っていた奴の悪い所がテンコ盛りの映画である。 具体的に言えばカットを無意味に割る。 殺陣やアクションを格好良く見せようという意志が見えないというか、そもそも格好良く見える見せ方を知らないとしか言い様がない。なんの根拠もなく細かくカットを割ることでしかアクションを演出することしかできないのだ。 バトルシーンの絵コンテを樋口真嗣がやっているらしいが、信じられない。彼がやってこんな事になるとは思えない。 ガラクタのような街にもオモチャのようなロボットにも、バイクに乗ってるシーンですら観るべきところがない。 ...... 色々言いたい事はあるのだが、もうやめておこう。 途中で観るのを辞めようかと思ったが、こんなクズ監督の作品であっても役者諸君は健闘していた。 及川光博、寺島 進、大滝秀治、そして唐沢寿明。彼等の健闘がイタイタしいね。 |
04/10/25 Mon 11:39 pm |
『エメラルド』 |
月刊アフタヌーン誌に『無限の住人』の沙村広明氏の西部劇が載っていた。 どうやらおかげで「むげにん』をオトシタようだが(笑) すんげえ、オモシレ。 上手いヤツは何を描いても上手いやなあ。 脱帽。 |
04/10/24 Sun 9:20 pm |
『シルミド』『ペイチェック』 |
『シルミド』『ペイチェック』をレンタルDVDで観た。 どちらも、つまらなくはないが.......という所であった。 『シルミド』、メインの音楽が『ザ・ロック』にクリソツ、つーよりまんま『ザ・ロック』じゃん。ラストのクレジットをちゃんと観てなかったので分からないが、まさかパクリというわけではなかろう。許可を得て使ったんだろう。多分。 肝心の本編の方はドンパチがそこそこ派手で退屈はしないが、『ランボー』みたいなものだな。 実話ベースだとの事だが、どこまでが実話か? 実話だとしてあの訓練教官の軍人は無能過ぎだな。 結果的に自責の念で死ぬのであれば、北朝鮮に踏み込めば良かったのだ。 背広組の北朝鮮との対話路線により、暗殺作戦が潰れた風を装ってはいるが、この後に及んで訓練した兵士を殺す事も出来ず、いたずらに自分の部下を犬死にさせた訓練教官の判断ミスだ。 ラストの倉庫のロッカーは、今や定番になってる『市民ケーン』や『レイダース』のラストシーンのようなおもむき。 『ペイチェック』。ユマ・サーマン、好きなんだけど、つまらない役やったねぇ〜(笑) 脚本はもしかしたらすごく練られたものだったのかもしれん。 記憶をめぐるディックの原作の良い所を抽出できてたような感じは話の筋や台詞でよく分かる。 無意味なアクションが多過ぎなんだな。定番のカーチェイスなんていらんのに、そんな部分に力をいれてサスペンスの要素が寸断されていたと思う。 記憶という曖昧なものに翻弄される登場人物達の描写をもっと丁寧にやっていたら、地味でも傑作になっていたはずなのに、残念だ。 俳優は健闘していたといえよう。 要するにアレだ全ての元凶は、<二丁拳銃は今回なかったが嗚呼やっぱり飛ばしたねハトを(笑)飛ぶと思ってたよだって定番じゃんいつ飛ぶのかの方でワクワクしていたよ>ジョン・ウーのSFの素養のなさであろう。 というわけで、コレもつまらなくはないが、おススメもしないモノだと思います。 レンタルで『スチームボーイ』のサントラを借りた。これはすごく良い。映画は最低だったけど音楽はすごく良いや。 |
04/10/19 Tue 10:17 pm |
JR |
ジェイアールーぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。 宇都宮線の普通車にグリーン車なんていれるのヤメロ!!!! 2両もグリーン車にしたおかげでその分他の車両に人が乗ってきてキュウキュウだぞ。わかってんのかゴラ!!! ったく、糞の役にもたたねえよ、あんなの。 どうせ座れなくても、車両内の人口密度の多少で疲れが全然違うんだぞ。 ビンボー人はそれでガマンしろ、とな? グリーン券買えばみんなグリーン車に座れるわけではなかろうに。 くそ〜、腹の虫がおさまらねえ。 いっその事誰も乗らなけりゃいいんだろうけど、乗るヤツは乗るんだよな。 ああ、ハラタツ。 腹いせに、今度事故って電車止まったらイヤになるほど文句いってやる。覚悟しろよな。 |
04/10/17 Sun 10:18 pm |
『キル・ビル2』『花とアリス』 |
もう15年振りぐらいかもしれないが、すごーく旧い友人に会った。 友人と言っても歳上の人なので、軽々しく友人などと呼んでいいものやら分からんですが、ま、そうとしか呼べないのである(笑) この日記を読んでいるそうなので迂闊な事は書けない。本人はいたって気さくな気持ちの良い人間なので年下のオイラは余計に気を使うのである(笑) びっくりしたのは、15年振りだというのにオイラとしては当時と変らない感じでおしゃべりが出来た事だ。 会ってすぐにあの頃の感じになれたというのが、驚きであったのだ。 短い時間であったが色んな話ができた。当時と変らない会話の応酬の面白い事。 頭デッカチな話を得意気に話していたオイラを非常に寛大な心で許していてくれた事が今になって分かる。 その当時のオイラと、今のオイラが話したら一分待たずにキレていたと思う。つまんない事をもったいぶって言うな、と(笑) というわけで、すごく楽しかったです。なんもおかまいもできませんでしたが、また遊んで下さい、池田様。 『キル・ビル2』。DVD買った。 劇場公開時に途中で寝てしまったので、その途中がどんな成り行きでどうなったかが分かった。 1の無節操でナンセンスな殺戮は無くなり、オタクなダイアログを駆使し、その果てのラブストーリー。 狭い場所や椅子での日本刀を使った殺陣は日本で時代劇を観てきた日本人には思い付かないものかもしれん。 印象的だったものはいくつもあるが、ラストのデビット・キャラダインのクレジットでよりによってビルの死んでるシーンを付けていたのがちょっとオモシロかった。 後は冒頭のモノクロでビルとザ・ブライドが対峙しているシーン。ザ・ブライドがウェディングのベールをかぶった時の光の当たり方が非常に綺麗であった。 『花とアリス』DVD買った。 岩井俊二はすごい。思春期の頃の想いを光と影の両方を記憶していて、それを的確に映像化している。 今回の映画は光の方であろう。 想いを寄せるヒトをジっと見つめていた時の幸せと焦りや、そのヒトが他のヒトを好きだと分かった時の俯いてしまうような気持ちを、瑞々しくコミカルに描いている。 岩井俊二、もう40歳越えてるんだろう。いいオサーンが女の子のこんな映画を撮れてしまうというのは...映画撮ってなかったら女の子がらみの犯罪者になってたんじゃないか(笑)。違うと思いたいが、その辺は大林宣彦と同じかもしれん(笑)。 やっぱり良い映画である。特典でショート・フィルムの『花とアリス』も入っていた。本編とショート・フィルムでは映画の視点が違う(ショート・フィルムの方は花に焦点を合わせた展開になっているが、映画本編の方は花とアリス両方均等に扱っていた)というのもあるが、ショート・フィルムの方で使われていて映画の方では使われていないシーンもあったりで、どちらの方が面白いというのではなしに楽しめた。しかし、完成度は文句無く映画の方だ。 ショート・フィルムのみにあったシーンで電車に乗っている花が差し込む光を手に受けて見つめる所や、映画の方ではラストのアリスが紙コップのトゥシューズで踊るアラベスクのシーンは非常に印象的である。 メイキングでアリス役の蒼井優が脚をボロボロにしながら懸命に踊る所には頭が下がる思いである。制服のミニスカートの翻りをものともしないで踊るところの凛々しさ。ポニーテールの長い髪がスローモーションでついて行く。 そしてそれを美しいシーンにまとめた岩井俊二と、美しく四角いフレームに入れた篠田昇に拍手を送りたい。 DVD見直してみたら、記憶というキーワードが単に記憶喪失の部分にかかっているのでは無いと言うのが分かった。 普通に生活していてもヒトは過去にあった大事な事を忘れてしまうものである。言うなれば記憶喪失のようなものは普通の人でも無自覚にもっているものなのだ。そしてその忘れていた記憶が何かの切っ掛けで呼び覚まされ、それを自覚した時にそれが宝石のように光輝く(悪い記憶の場合もあるからいつもキラキラしてるわけではないが)。 花と悪くなりかけていたアリスとの関係。アリスが花にとって掛替えのない存在であったことを思いだした。 花が写真を見ていたシーンで、そんな瞬間があった。 鈴木杏は良い女優だ。泣き顔、最高だったよ。 『スウィングガールズ』と『花とアリス』で本年度のワンツー、だな。 |
04/10/03 Sun 7:36 pm |
『スウィングガールズ』 |
「スウィングすっつぉぉぉぉぉぉー」 会社の友人に最初に言われたか、予告編で観たかだかの時はとりたててに観たいと思わなかったが、公開時期が近付いて評判がよかったり、ポスタービジュアルがカッコよくてカワイかったりしたので、観る気になっていたのだ。 『スウィングガールズ』。 いやはやトリ肌ものでした。冗談抜きにクライマックスの演奏シーンはトリ肌がたった。演奏が上手かったかどうかはオイラには分からないし、そんな事はどうでもいい。ある種の情熱の結晶を観た時に感じる感動だったのかもしれない。 音楽映画をそんなに観ているわけではないし、特に興味のあるジャンルではないのであるが、そんなオイラでも、いや、そんなオイラだからこそこの映画に感動でけたのかもしれん。 他に劇中の曲でトリ肌が立ったといったら『リリィ・シュシュのすべて』での無伴奏(アカペラ)の混声五部合唱の「翼をください」ぐらいか。『花とアリス』の曲も大好きだがトリ肌がたつというものではなかった。トリ肌が立つというのは一種のすご味を感じる事だと思われる。 『スウィングガールズ』は17人の高校生の話ではあるが、その中の5人の学生を中心に展開されている。5人それぞれに明確な性格付けがされてるのがいい。それぞれに感情移入できてストーリーに引き込む推進力になっている。 主要5人以外のメンバーは新品を手に入れていてピカピカでキレイなのだが、肝心の主要5人の楽器は中古でボロでそれを直して使ってる。高校生に数十万の楽器を容易く買えるわけがない。そんなリアルさが作品を支えている。中古を大事に使っている描写が丁寧で好感がもてた。 それよりも金ピカの楽器を使っているメンバーよりも渋い色を出した楽器を使って演奏をしている彼女らが魅力的に見えた。観客にそう感じさせたところで映画としては大成功なのだろう。 モノが良く見えたり、すごく品がなく見えるというのは、所詮使ってるヒトしだいという所か。 女の子達の黒い靴下の凛々しくカッコいいこと。その脚でリズムをとる動きにシビれますた。 セーラー服と黒い靴下は彼女らの戦闘服だ。 こういう映画を観る事ができると、「日本映画だって、面白いものがあるんだぜ」と胸を張れる。 山形弁を使って高校生にJAZZをやらせる映画なんて誰が思い付くだろう。目の付けどころが良いと言う楽観的な事を言ってられない。 抜群の天才的なひらめきといっても良いはずだ。 こういう並外れた事を考え付く人にこそ、映画でお金持ちになってもらいたい。 普通の凡人に思い付かないものを作る事ができるんだから当然だ。 ネタバレになるから詳しくは書かないが、ビジュアルのアイディアもすばらしい。 オイラは初めて見たよ、自転車が前転して土手を転がるのを(笑) 雪景色、学校の屋上での演奏もいい。 そして圧巻は"サッチモ"ことルイ・アームストロングの名曲『この素晴らしき世界<What A Wonderful World>』をバックに展開されるアクション。イメージとしては『マトリックス』で有名になったバレットタイムという撮影方法を使ったようなアクションなのだが、当然そんな撮影はしていない。しかし、そのシーンは『マトリックス』以上の効果とイメージを獲得していた。新しい技術を使うために使うのではなく、あくまでもそのシーンの目的に合わせた使い方が出来る事にセンスというものはある。この辺りは端から見ないと分からないことなのだと思うが、だからこそ、それをやった監督は大したものだ。 <What A Wonderful World>が被る映画で外れはないなあ(そんなに観ていない所為かもしれないが)。テリー・ギリアムの『12モンキーズ』の使い方もよかったしね。 久しぶりにパンフを買い、サントラも 買った。性欲もふっとぶ最高の映画だ。間違いなくDVD、買う。 追記:『ハウルの動く城』の最新版の予告編をやっていた。今から楽しみで仕方ない。相変わらず木村拓哉の声は予告編では出してなかった。ジャニーズという所はネットでタレントの顔を出さない方針らしい。ウォン・カーウァイの『2046』のHPでも木村の顔だけ載ってないのだから徹底している。 |
04/10/02 Sun 11:28 pm |
言いたくないが、鈴木杏、顔、デカっ...でも好き。 |
『花とアリス寫眞舘』という写真集を買った。ずっと心待ちしていたものである。 写真集を買うということをあまりしない方だとは思うのだが、まあつまりなんだ、鈴木杏が載ってるからというのが購買の動機であることは間違いない。んが、しかし、鈴木杏単体の写真集にはイマイチ食指がのびないのも事実である。 この『花とアリス寫眞舘』の、特に冒頭の大半の頁を割いているアイビー・チェンのパートのような"なんとなくなストーリー性"があると、写真を目で追うというより、話を目で辿るという要素が組み込まれるので見てて飽きない。 私はどんな有名な写真家の写真でも、写真集を何度も見返すことはない。買った時に捲っておしまい。気がついた時にたまに見返す程度だ。 一枚絵として成立させえる(見てて飽きさせない)写真というのはプロでもなかなか難しいと思うし、そう多くは撮れないと思う。 撮れたら、それは撮影者の、というよりも観たヒトにとっての神の一枚になると思う。 そんな写真を私もいくつか持っている。 『花とアリス寫眞舘』では亡くなった篠田昇撮影の写真も載っていた。頁にして8頁ほどしかなく、もっと多く篠田さんの写真を観たいと思った。そう思う程に写真の中の花とアリスはきれいだったのだ。 本の最後に"亡き、我が友に捧ぐ。"という、多分篠田さんに対する岩井俊二の悲痛な呟きが身にしみた。 篠田さんの死は本当に残念でならない。 改めて、ご冥福を衷心よりお祈りする。 |
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