ドコガ、スキ?

  



 ──なぁ、お前さ…八戒のどこが好きだ?

 

 「はっ?なんだよ悟浄、急にヘンな事聞いて…」

 

 いいから答えろよ。

 

 「う…んと、俺に優しいとこっ!それと色々教えてくれるとこと…あと、メシと

かおやつとか作ってくれるとこ」

 

 ………サルらしい回答だな。

 

 「サルって云うなっ!何だよっ悟浄が聞いたんじゃんかっ!」

 

 わかった、悪かったよ。…んじゃ、三蔵は?

 

 「へっ、さんぞ?うーんと…えーと…怒ってるトコ?」

 

 はぁっ?オマエ、マゾ?

 

 「ちっが〜う゛っ!三蔵ってさ、どうでもいい奴のコトなんか無視するじゃんか」

 

 まぁ…そうだな。

 

 「なにかっていうとすぐぶつし、怒るけどさ──それって、俺のコト見てくれてる

っことだろ?」

 

 ……………

 

 「他のヤツみたいに、見えてないフリなんてしないでさ、ちゃんと俺を認めて

くれてるってことだろ」

 

 ………じゃあ、俺は?

 

 「えっ?」

 

 俺は、どうなんだよ

 

 「悟浄…?」

 

 …………………

 

 「………………」

 

 ──おい、何か云えよ

 

 「……ない」

 

 …なんですと?

 

 「悟浄の好きなとこなんか、一個もない」

 

 なっ──

 

 「だっていっつも俺のことガキ扱いして馬鹿にするじゃんかっ。すぐ『馬鹿猿』

って云ってさっ」

 

  う゛っっっ!!

 

 「煙草だってケムいって云うのに、顔に吹きかけるしっ知らない事聞いたらウソ

ばっか教えるしっ、からかうし…」

 

 …あ゛〜…


 「それにっ…悟浄といると気持ちワルイから、嫌い」

 

 なっ…なんだよソレっ!人をゴキブリみたいにっっ!!!

 

 「っ、だってっ………悟浄と一緒にいると、此処がザワザワすんだもん。

何か──息が苦しくて、ぎゅーってされてるみたいで…」

 

 ………えっ?

 

 「悟浄といると──なんかヘンな気持ちになるから…キライ」

 

 悟空………

 

 「…わっ!なにすんだよっ悟浄っ!離せってばぁっっ!!」

 

 ヤダ。

 

 「エロ河童っ!離せよっっヘンになるだろっ!!」

 

 いいんだよ、なって。──俺もおんなじなんだから

 

 「えっ………?」

 

 こうしてるとさ、心臓がばくばくするだろ?

 

 「う、うん」

 

 それはな…「スキ」ってことなんだよ……