この問題についてのご質問に対する返事(掲示板より)


サイト管理者です。
返信アドレスのないご質問がありましたのでここで答へさせていただきます。

>「願ふ」を現代仮名遣いに直すと、「ねごう」か「ねがう」ですよね?
>では音読するときには「ねがう」と発音してよいのでしょうか?
>学校では「ねごう」と読むと教わりましたが…

まづ、表記と発音の違ひを考へてみませう。
表記は、歴史的仮名遣ひで書かれる限りは建前上、いつどこで誰が書いても同じ語は常に同じ表記で書かれます。
これに対して発音は、同じ語であつても歴史的、地理的に違ひがあります。

つまり、「読み」は当該の文章が「何」であるか、あるいはあなたが「何」だと認識するかによつて変はるのだと言へます。
それが現代標準語だと思ふなら「ネガウ」、関西弁だと思ふなら「ネゴー」、文語文や古文ならふつうは転呼して「ネゴー」、聞く人にわかりやすく読まうと思へば「ネガウ」、長音化転呼以前の発音を再現するつもりなら「ネガウ」、もつと以前の「ハ行転呼」以前の発音を再現するなら「ネガフ」と読むべきだといふことになります。

「読み」はどうも自動的に一意的に決まるものではなく、どれが絶対的に間違つてゐるとも言ひにくいもののやうです。

次に、現代仮名遣ひに直すとどうなるかですが、元の文が現代標準語の文ならば当然「ねがう」です。しかしこれがもし文語文や古文であるとすればどうでせう。「ネゴー」と読むならおつしやる通り「ねごう」にしたくなりますが、「ねごわない、ねごいます、ねごえば」などとは言はないことを考へればやはり「ねがう」としなければなりません。ただ、方言であればこの限りではありません。(なほ、一旦現代仮名遣ひで「ねがう」と書いたらそれはもう「ネゴー」と読むことはできません。)
また、「現代仮名遣ひにする」ことを「読み方を示す」といふ意味にとれば「ねごう」は間違ひとは言へません。さらに「願ひて」の音便形「ねがうて」を現代仮名遣ひに変へるのなら「ねごうて」にしなければいけません。

厳密なことを言ひ始めると「歴史的仮名遣ひを現代仮名遣ひに変へる」といふことにはこのやうな厄介が付いて回ることがあるのです。(逆に現代仮名遣ひを歴史的仮名遣ひに変へるのならばこの種の厄介は殆んど起こりません。)
それは何故かといふと、歴史的仮名遣ひがどの時代の日本語を表はすのにも使へる性質を持つてゐるのに対して、現代仮名遣ひは現代語専用に作られたものだからです。

学校の国語の問題に出すとすれば「願ふ」を避けて
「思ふ」をどう読むか。現代仮名遣ひではどう書くか。
などとするのが良い先生でせうね。(問題としては簡単すぎますが・・)

 

ご質問への直截的回答は次の通りです。

>「願ふ」を現代仮名遣いに直すと、「ねごう」か「ねがう」ですよね?

 「ねごう」はよくありません。「ねがう」とすべきです。

>では音読するときには「ねがう」と発音してよいのでしょうか?

 はい。

>学校では「ねごう」と読むと教わりましたが…

 両方の読み方があるといふことです。

 

ご質問ありがたうございました。

参考



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