九 月

 

*  *

 実験は軌道に乗って気象干渉はようやく順調に効果を現し始めていました。
 そんな中、モニターで川の辺りに変則的な空気振動を見付けて原因を確かめにやって来た技術者があの変な格好の人なのでしたが、私はその顔見知りの技術者をさも全く見知らぬ人のように装い、そして彼に気付かれぬようみんなと一緒に囃し立てたのでした。
 彼はひょっとして私に気付いていたのかもしれませんが知らん顔をして行ってくれましたので、私はみんなと一つの仲間になっているこの状況の中で自分だけが除け者になってしまうという心配から開放されてほっとしていました。

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