「草がからだを曲げて」と、もう草はただの植物ではありません。何かが憑依していると言ってよいでしょう。

 霧の乱舞のなかで嘉助はもう周りから異質な者として括り出されたことを感じたでしょう。
 「シイン」としたときはもう完全に孤立させられてしまったことを思い知ったでしょう。

 ススキの乱舞はもう嘉助が精神の限界にあることをうかがわせます。もう世界がまともには見えていないのです。

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