機能性構音障害に関する「よくあるご問」

Q 発音はもう一生治らないものと思っていました。治るものなのですか。

Q 歯科や耳鼻咽喉科、リハビリセンターなどいろんな所で「悪いところはありません。発音は治せません。」と言われ、ST(言語聴覚士等)の指導でも効果のなかったものがそんなに簡単に治るとは信じられないのですが。

Q 発音がよくないと言われるのですが、治す必要があるかどうか自分ではよく分かりません。

Q 私は舌が長すぎるのが原因なので発音は治らないのではないでしょうか。 また歯並びが悪いので歯列矯正をした方がいいでしょうか。

Q 現在歯列矯正をしており器具を付けているのですが、発音の矯正は器具が取れてからにした方がいいでしょうか。

Q 今度小学校へ上がる子の発音がおかしいのですがどうしたらいいでしょうか。

Q どこかもっと近いところで治してくれる所がありませんか。

Q 具体的にはどのような方法で治すのですか。

Q 時間はどれぐらいかかるのですか。

Q どの程度まで治るのですか。

Q どんな人が多く受講しているのですか。

Q 発音を治したいと親に相談したら、そんなにおかしくないから必要ないと反対されました。どうしたらいいでしょう。

Q 私の場合は治るのでしょうか。

Q 番外の質問

Q 「探偵!ナイトスクープ」について


Q 発音はもう一生治らないものと思っていました。治るものなのですか。

A 皆さんの挙げられる「治らない理由」は次のようなものです。

   1.遺伝、あるいは生まれつきのものなので治らない。
   2.子供のうちだったら間に合ったがもう遅い。
   3.自分だけの特殊な発音異常なので治らない。
   4.自分と似たような発音が治ったという話を聞いたことがない。
   5.治してくれるところがあるという話を聞いたことがない。
   6.病院で診てもらったが駄目だった。

 これらは以前には常識に近いものでしたが、今でははっきりと誤解とみなすことができるようになりました。それぞれについて述べてみましょう。

 1.このHPで述べてきた「機能性構音障害」は遺伝や生まれつきのものでないことははっきりしています。家族に同じ発音が見られる例が時々ありますが、それはよくある偶然か、または赤ちゃんの時に影響を受けたからなのです。

 2.外国語を習うのとは違います。子供より大人の方が治しやすいのです。一部には子供の時の方が治りやすいものもありますが、少例です。

 3.そのような例には出会ったことはほとんどありません。あなたがそう思っているだけで、他に同じ人がたくさんいます。非常に珍しい例はありますが、それでも不正発音の正体や治し方の見当がつかなかったことはありません。

 4.それは残念ながら私もそうだろうと思います。成人の機能性構音障害の実態については近年まで全く研究されて来ませんでした。成人の機能的異常構音が正しい指導によって短期間に容易に治癒することが分かってきたのはつい最近のことなのです。ですから、障害を持つ人のうち正しい構音訓練を受けた人は割合で言えばまだ圧倒的少数なのです。しかも治った人もそれを積極的に口にすることは少ないようですので口コミが広がることもありません。

 5.私も大人の機能性構音障害を専門に治すところは他に聞いたことがありません。大きな病院でも大人の機能性構音障害は想定外のようです。簡単に言えば機能性構音障害は「病気」ではないので、医学的に受け止めきることはできないのです。例外的に東京大学病院の阿部雅子先生の名を挙げることができますが、それでも中心は子供の指導であって大人の機能性構音障害指導経験はごく少数ということです。またこれとは別に、医学界以外での機能性構音障害研究者も残念ながら実際の成人の治療にはコミットされていないということも指摘しなければなりません。以上のような実情から、大人の機能性構音障害の治療に関する情報が世間にほとんど知られていないのは事実です。
 その結果、皆さんには長い間ほとんど偶然の僥倖の機会によってしか解決の道をお知らせすることができなかったということについて私も大変心苦しく思っていました。しかしつい最近になって事情は少し変わってきました。多くの方が、特に若い方がインターネットの検索によってこれまでよりも比較的気軽に積極的に解決方法を模索されるようになり、結果として当教室を訪ねて来られることが多くなってきたのです。このことは I T社会の大変素晴らしい一面の例であると思います。

 6.次項をごらん下さい。

(注:ネット上では側音化構音は「訓練によって良くならないケースも多い。」などという記述が見られますが、これは学校の「ことばの教室」における学童指導の難しさを言っているものと思われます。成人の場合には良くならないケースはほぼないと言っていいでしょう。)



Q
 
歯科や耳鼻咽喉科、リハビリセンターなどいろんな所で「悪いところはありません。発音は治せません。」と言われました。またST(言語聴覚士等)の指導で治ると言われた所でも結局効果がありませんでした。それがそんなに簡単に治るとは信じられないのですが。

A 病院などでの上のような対応というのは「このような事例は治らないものです。」という確固たる医学的診断ではなく、「医学的には悪いところは見つかりません。またこのような患者およびその治療の経験がありません。あるいはこのような事例についての知見が不十分です。」という表現にすぎません。
 また病院付属ののSTの多くはふつうはもっと重い障害についての訓練(リハビリ的訓練など)の専門家であり、厳密な音声指導の専門家というわけではないのです。

 当教室では成人の機能性構音障害指導の初期の重要な契機を次の3つとしています。
  1.各器官(舌、唇など)の望ましい形
  2.正しい構音運動の発生
  3.正しい音の同定と固定
 従来矯正が困難と考えられてきた成人の機能性構音障害が当教室においてほぼ例外なく初回に一種類以上の正しい発音に至るという経過をたどるのは、厖大な臨床経験を通じて上の各契機についての詳細なノウハウを十分に蓄積してきているためだと考えています。

 参考:一般的な新聞相談の例です。参照



Q 発音がよくないと言われるのですが、治す必要があるかどうか自分ではよく分かりません。

A 悪い発音は大きく分けて二つの種類があります。一つは正常の範囲内に入るが良くない発音(ひずみ度#1)というものです。だらしないとか幼いとか、こもっている、訛っている、はっきりしない、などと表現されるものがそうです。普通他人に面と向かって「発音が悪い。」と指摘されるものはこの種類のものです。アナウンサーになろうというのでなければ矯正する必要のないもので、人によっては全く気にならないと評価されることもあります。多かれ少なかれ人間の発音はこの要素をもっており、それが悪い印象を与えるものでなければ堂々と個性と呼んでも差し支えない性格のものです。ですからこれを構音障害と呼ぶことは普通ありません。ただし、ご本人がそのことによってコンプレックスを感じ、日常の言語生活に苦しむという状態にあるならば矯正する意味があると言えます。矯正は正しい音との差が小さいだけに却って地道な努力が必要です。
 もう一つは、正常ではないという発音、つまり全く別の音に聴こえてしまうものや、どんな音とも言いにくい変な音(ひずみ度#2〜3)に聴こえるというものです。これは変というよりはむしろ異常(普通の人が発音するはずがない)と聴こえますので、普通大人同士の場合面と向かって指摘されることは却ってありません。聴く人誰もが気付き、しかも非常に気になる発音です。ただし家族の場合は慣れてしまって気にならないということもあり得ます。この種類のものは社会生活上のハンディとなりますので矯正の必要性は大です。矯正は「努力」ではなく「コツ」と「意欲」によって達成されます。
 ご自分の発音がどちらか分からないという場合は録音して聴いてみましょう。



Q 私は舌が長すぎるのが原因なので発音は治らないのではないでしょうか。
   また歯並びが悪いので歯列矯正をした方がいいでしょうか。

A これまで自分の舌が長すぎる(あるいは短かすぎる)と言って来られた方で、そのために発音が治らなかったという人は一人もありません。ずいぶん大きいなあとか小さいなあと感じることはよくありますが、指導の上ではほとんど問題になりません。舌はとても柔軟でフレキシブルな物です。どんな舌でも一旦口の中に収まるとあらゆる微妙な形に変化します。ちなみに私の姉は舌で鼻に触れることができますし、友人は上の唇を全部舐め切ることができませんが、どちらも発音に何の問題もありません。明らかに病的な(医学的に病名を付けられる)舌の大きさの異常とは区別して考えなければなりません。
 なお、以前舌の裏を切る手術をしたが発音は治らなかったという方もたくさんおいでになりましたがその後全員発音は治っています。(実はほとんどの場合手術は不要だったのです。)
 このことは歯並びについても同じように言うことができます。これまで歯並びが悪いと言って来られた方全員の発音が治りました。また歯列矯正をしても発音が治らなかったという方も全員治りました。(歯列矯正で発音が治るのは機能性構音障害ではごく例外的なことです。)



Q
 現在歯列矯正をしており器具を付けているのですが、発音の矯正は器具が取れてからにした方がいいでしょうか。

A 普通は矯正器具は発音の矯正指導の邪魔にはなりません。歯の裏側や口の天井に付けている場合でも多くのケースでは影響は小さいものです。ただ、舌が当たって痛いという場合は指導に差し障りがあることも考えられます。



Q
 今度小学校へ上がる子の発音がおかしいのですがどうしたらいいでしょうか。

A 原因に心当たりがなく、おかしい発音が「機能性構音障害とは」のページのに当たるものならば、成長にしたがって自然に治っていくことが期待できますので様子を見るかあるいは学校の「ことばの教室」に相談なさるのもよいでしょう。一方それがの問題であれば一部を除いて自然に治ることはあまり期待できませんし「ことばの教室」に通って治るという期待もあまり持てません。しかし成長にしたがって治しやすくなっていくという性質がありますので悲観する必要は全くありません。ご本人に直したいという積極的な意欲がめばえるのを待って当教室へおいで下さい。典型的なケースであれば1ヶ月程度の指導で済むことが多いものです。
 
(以上は一般的に言える概論です。直接面接しない個々のケースについて断言できるものではありません。悪い発音の性質がはっきりしない場合は学校や病院にご相談なさることをお勧めします。)



Q どこかもっと近いところで治してくれる所がありませんか。

A 日本では他に一般成人の方が申し込める機能性構音障害の専門構音指導はないようです。特に関東地方以外の方からの要請が多いため、もし見つかればお役に立てたいと思います。(追記 同じ質問が数多く寄せられますが、今のところ他に見つかりません。おそらく将来に亘っても期待薄と思われます。)
 なぜ存在しないかについては次のように考えられます。
 まず障害児教育では比較的重いと考えられる器質性、運動(麻痺)性、聴覚性の障害に手を取られ、比較的軽いとされしかも指導の難しい機能性の構音障害は後回しにされる結果、長年にわたりほとんどの児童が治らないまま成人してきたこと。
 また生理的音声学の専門研究者は一般を対象に矯正的構音指導を行う機会がないため、その肯定的可能性が認識されなかったこと。
 この二つの理由から、大人の異常な発音は治らないという根強い誤解が生じてしまっており、そのために成人対象の構音指導は需要も供給も見込めない状況となっていると思われます。
 したがって皮肉なことに、元々放っておいても治る障害や、指導によってある程度は改善する障害、指導してもほとんど治らない障害などについては長年にわたって制度的な受け皿が用意されてきたものの、指導によって明らかに完治する性格の障害(機能性構音障害)については却って当教室が開設されるまでは受け皿は全く存在しなかったということなのです。
 当教室の出自はアナウンサーの構音指導という特殊な契機にありますので、ある意味では当「構音矯正科」も正当な要請と使命によって生まれたものというよりは偶然の所産と言うべきものかもしれません。さかのぼって我が国の国語教育、発音に関する社会教育の貧困さを嘆かざるを得ません。



Q
 具体的にはどのような方法で治すのですか。

A 指導の内容は特別変わったことはありません。ふつうは鏡を見ながら間違った唇・舌の形や位置を直し、正しい唇・舌の使い方、息の出し方などを指導します。理解しやすい易しい訓練です。例えて言えば、正しい箸の持ち方を教えるために正しい指の位置と動かし方を教えるというようなごくまっとうな方法です。幼児や年少の学童に対する指導と違うのははっきりと発音器官の動きを意識して操作させることであり、また抽象的な迂遠な方法、遊戯的方法、単なる基礎的・予備的繰り返し訓練は行いません。
 なお、擬似宗教的方法、非科学的な器具、薬品等を使うことなどは一切ありません。

 参考:成人の機能性構音障害に無効な方法
       ・呼吸法練習、腹筋強化訓練、横隔膜強化訓練、顔面筋運動訓練、舌筋強化訓練、唇筋運動訓練
       ・ストローや玉、紙などを使って息を吹く練習、舌の形を自在に変える練習、うがいの練習
       ・正しい音と不正な音を聴き分ける練習、正しい音を聴いて真似る練習
       ・発声練習をする、大きく口を開けて発音する、身体を動かしながら発音する
       ・大きな声で発音する、丁寧に区切って発音する、口を極端に動かして発音する
       ・たくさんの文章を読む、早口言葉・滑舌練習をする、正しく言えるようになるまで繰り返し練習する
       ・精神をリラックスさせる、催眠術で自信を付ける
        など

下記動画情報も参考になると思います。



Q
 時間はどれぐらいかかるのですか。

A 最近の全体の平均は4〜5時間ぐらいでしょうか。
 例えばイ段の問題で「シ、チ、ジ」を直すのなら週1時間、3〜4回程度で終了するのが普通です。「キ」、「リ」が加われば1時間程度増えます。各音は正しく固定し、あとは必要に応じて自宅で簡単な復習と日常会話への応用に努めます。その後1週間〜1ヶ月もすれば外見的に完治の状態に達するのが大部分です。
 サ行全体(「シ」以外)の問題の場合はケースによって2〜5回程度と幅があります。終了した後の習熟期間もほとんど必要ないか比較的短期で済むものと、比較的長期にわたるものに分かれます。
 カ行全体(「キ」以外)、タ行全体(「チ」以外)の問題の場合は他の場合よりもやや時間がかかるようです。3〜6回程度でしょうか。終了後の自己練習もわりあい重要です。
 ラ行全体(「リ」以外)の問題は機能性構音障害とは言い切れないものがあるため、すべてのケースが完治に至るとは保障できません。指導回数、習熟期間もさまざまです。
 複数種の問題がある場合は上記の回数を単純加算した回数が必要というわけではなく、やや少ない時間で済みます。

 初回に正しい音が出る指導の模様については下記動画情報をご覧ください。

 (上の数字は実績に基づくものですが常に保証する数字ではありません。)

(注:ネット上では成人の側音化構音の指導期間が「1週間1回位で、およそ1〜2年程度」などという記述が見られますが、明らかに誤った認識か古い知見によるものです。機能性であればそのような長期の訓練はあり得ません。)



Q
 どの程度まで治るのですか。

A ひとことで言えば「はっきり治る」と言ってよいのですが、少し分類してみましょう。
 まず、実際に計算した数字で99%以上
の方が、初回に一種類以上の正常な単独の発音ができるようになります。その後正しい発音で講師との会話ができるようになったところで指導を終了しますが、その時点では個人差があり、ほとんど意識しないでペラペラにしゃべれる方と、まだ意識をしているがペラペラにしゃべれる方、そして問題の発音の個所ではゆっくりあるいは噛みしめるように言わなければならないと感じながらしゃべる方に分かれます。
 最初の二つは「完全に治った」と言っていい状態です。最後の一つは、本人及び近しい人にとっては「違和感がある、普段の本人とは少し違う」状態ですが、しかし第三者にとっては「何ら違和感のない、普通の日本人の比較的ゆっくりした発音」と受け取れる状態です。
 実は構音障害の矯正というのは、基本的にこの「第三者が聞いて何ら違和感を感じない普通の日本人の発音と受け取れる」状態を目指すものなのではないでしょうか。ですからこの意味で、最後の一つもはっきり「治った」状態だと言っていいはずです。そしてそれは日ならずして最初の二つと同じ状態に追いついていくわけです。(ただし、この最後の一つに当てはまる方についてはしばらくは注意が必要です。完璧といっていい状態になるまでは気を抜かずに慎重に自宅練習などで発音を意識し続ける必要があります。)
 以上のことから、機能性構音障害についてはほぼ例外なく「完全に治る」ということを申し上げることができます。
 もちろん、会話可能なレベルまで進まずに中断すれば元に戻る可能性は大きいですし、自宅練習の段階で手を抜いたりした場合も元に戻る可能性がないとは言えません。
 なお、発音および発話のレベルが一旦一定の水準(多くの場合はペラペラに聞こえる状態の少し手前)に達すればその後発音が元に戻るという心配はなくなります。

(上記は機能性以外のものについては全く当てはまりませんので、その場合にはそれぞれ専門の方面にご相談下さい。)

「事例紹介」末尾参照



Q どんな人が多く受講しているのですか。

A 学生、会社員、公務員、さまざまです。場合によって詳しいお仕事を任意でお答えいただくことがありますが、正に千差万別です。当然なのはアナウンスや話し言葉に関する学校の学生、電話交換・オペレーター、話し言葉を扱う専門職などのお答えですが、それ以外にも次のようなお答えの方々が割合多いと感じられたり、印象に残っています。

SE、教師、営業職、看護師、大学院生、退職して次の就職活動中、エンジニア、医師、警察官、薬剤師、インストラクター、工場生産ライン、自衛官、医療技術者



Q 発音を治したいと親に相談したら、そんなにおかしくないから必要ないと反対されました。どうしたらいいでしょう。

A 全く同じ内容のメールを中高生から本当にたくさんいただきます。
 ご両親は小さいときから一緒に暮らしているので発音の異常に慣れてしまってあまり変には感じていらっしゃらないということがよくあります。また、どうせ指導を受けても治らないだろうという予断や誤解もあると思いますが、当教室は治る見込みのないケースをお引き受けすることはありませんのでその点の心配はご無用です。
 基本的には親御さんを説得するか、一人の力で行動できる日まで待つ、ということになるでしょう。いつかおいでになる日が来ることを楽しみにお待ちしています。



Q 私の場合は治るのでしょうか。

A まずここで調べてみて下さい。



外の質問とお答え

Q 講師について。

A 主任講師:小森法孝

Q 受講案内に書いてある料金を払う以外に何か買わされたりしませんか。

A いいえ、そんなことは一切ありません。受講案内に明記した通り基本料・受講料以外に何もありません。プリントを使ったりケースによってはテキストをお渡しする場合もありますが、それらも無料です。



朝日放送「探偵!ナイトスクープ」(2010/4/2)の動画について細かい質問を複数の方からいただきましたのでここに取材当日のことを箇条書きでまとめておくことにします。

・取材の依頼は受けていましたがご本人とは当日初対面でした。
・教室の入り口で「ツ」を発音してもらった時点で鼻咽腔構音(鼻に抜けるクンというような音)であることが確認できました。「分かりました。」と言ったのはその意味です。音色は一見重度の障害を思わせますので特に若い女性にとっては辛い状態だと察せられました。
・そのあと「すぐ治ります。」と申し上げたのは、他の音は正しく出ており、喉の奥の構造や動きに問題がないことが見て取れたからです。この場合にはほんのすこし工夫すればすぐに「ツ」の音が出ることは間違いないはずです。(サ行、ザ行も鼻咽腔構音となっているケースではもう少しプロセスが必要ですが、その場合でも発音は正しく治ります。)

・指導した部屋は小さな防音室ですが、ふつう扉は開けたまま行います。机の上の機械は発音の周波数成分を見るためのもので、これを使った場面や録音を聞く場面などはカットされています。立っている鏡は凹面鏡で、彼女の口の辺りを明るく照らしています。手元の小さなホワイトボードは私の発音を参考にしないで一人で発音してもらうために文字などを書くのに使ったものです。

・最初に「シーッ」や「スーッ」という息を出してもらったのは、舌先がきちんと息をせき止める感覚を覚えてもらうためです。
・そのあと「スーっと言っちゃう作戦」と名付けたのは長原探偵に急かされて思わず苦し紛れに言ったものです。本当は「言っちゃう」ではなく「っちゃう」のつもりだったのですが・・・(なぜ無理やり作戦名を付けなきゃいけないのかと不思議だったのですが後で放送を見て納得しました(笑)。大阪の西田先生は、面識はないのですがこれまでいろいろお世話になっている方です。ありがとうございました。)
・あとはせき止めた状態から出す「ツ」の息の練習と、声を出して「ツ」を言う練習です。途中で「これで80点ぐらいです。」と言ったのは音色をもう少し改善する余地があったからです。その後の舌の位置、形の修正などの場面はカットされています。
・途中でスタッフが隠れてコソコソ始めたので何かと思っていましたら、「つ」がたくさん入った例文を作っていたのでした。そこで最後にこれを読むテストを行いましたが、ほぼ完璧な発音となっていました。「津守のツタヤ」など、なぜツタヤが出てくるのか私には訳が分からない文章でしたが、これも放送を見て納得。
・このケースは「ツ」のみでしたので指導は大体30分ぐらいで余裕をもって終了できました。発音が元に戻ることはないでしょう。ご本人には練習法を忘れないよう細かい注意を書き取ってもらってお別れしました。

・放送ではカットされていましたがこの発音の原因についてもお話ししておきました。たぶん赤ちゃんのときに口から息が出ないうつぶせの状態で「ツ」を発音しようとして、舌の代わりにノドチンコを咽喉の後ろの壁に付けて発音したものがその後も癖となって残ったものではないでしょうか。皆さんも試しに唇をしっかり閉じた状態で「ツ」を無理に発音してみてください。彼女と同じような「クン」という発音になるはずです。

・なお、当日は新幹線の遅れでスタッフの到着が遅れたり、当初予定のディレクターが急遽東京の別の収録に変更になったり、いろいろありました。(「オヒョイ!」(笑)のネタへ回ったのだなと、あとで分かりました。何のことだか分からない人、ゴメンナサイ。)
・機材撤収時にディレクターが控えめに「ナイトスクープって番組知ってました?」と聞くので「これを知らなかったらこの業界ではモグリですよ!」と答えましたら一同大喜びでした。(言語学的に興味深い「日本全国アホ・バカ分布図」の関係で早くから知っていました。)
・放送では西田局長の涙に(あとで聞くと局長の涙はしょっちゅうなんだそうですが)思いがけずこちらが感動させてもらいました。

 参考情報: 
 ネット上の動画は
こちらです。



発音矯正科  事例紹介  受講案内

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