石垣氏庭園は1983年に国指定になっており、石垣市字新川にあります。現在、建物は建て替えがなされておりますが、庭は丁寧に手入れされ、見学することが出来ます。

 王府時代の石垣家は大浜間切の箇所ら職を務めた旧家で、石垣家の家譜によると、大浜間切の頭職3名、石垣間切の頭職1名と、4名の頭職を輩出しています。地元では「マージンヤー」の屋号で知られています。

 この庭がいつ造られたのか、というのははっきりしません。石垣家には『庭作不審書』という造園設計書が保管されており、それによると「庚申 大浜親雲上殿」という 記述だけが見られ、どの人にあてられたものかも判明していません。しかし、この庚申という年を西暦に直すと、1800年と1812年にあたり、郷土史研究家の喜舎場氏は「1819年の三代目長演の頃ではないか」と推察しています。

 

 石垣氏庭園の設計は宮良殿内と同じ城間親雲上によるものといわれています。この庭園は、地元でとれる琉球石灰岩の自然石を使用しており、周辺のフクギや築山のアダンの植栽などは南国特有の趣をもっています。宮良殿内と並んで、八重山の二大名園で、日本庭園にならいつつ、八重山独自の取り入れ方を知る上で貴重なものです。

 ※石垣氏庭園の見学は所有者のご厚意で、無料で随時出来ますが、あくまでも民家なので、見学の際に家の中をのぞき込んだり、立ち入り禁止の場所に入ったりするのはやめましょう。