トゲソとその保護活動
五泉(新潟県)には、トゲソという稀少淡水魚が生息してます。トゲソは、正式学名はイバラトミヨと呼ばれるトゲウオ科の魚です。トゲソは体長4〜5cm位の小さな魚で、水温が年間を通して12〜17℃の湧水のある小川や池に生息しています。流れの穏やかな水草の間にひそみ、水生昆虫やヨコエビなどを食べています。
4月下旬から6月中旬にかけて、雄は巣を作り、その中に産みつけられた卵や稚魚を守るために、巣に近づく他の魚を追い払います。水底に生える水草などの茎の底から少し離れた所に、植物破片を使って両端あるいは一端に入り口のある小さな丸い巣を作ります。雌はこの巣の中で1回に30〜40粒の卵を産みます。また、雌は産卵期間中に数回産卵します。
イバラトミヨのつがい(上が婚姻色の雄、下が雌)と巣(右側)
五泉は、このトゲソ生息の南限地域で、かっては多くの場所で生息していました。それはトゲソが好む冷たく(水温12〜15℃)きれいな湧水の小川や水路が沢山あったからです。 しかし近年の河川や水路の生息環境の悪化に加えて、大量の地下水の汲み上げによる湧水の減少などで生息数が激減し、今や絶滅が危惧される稀少種となっています。平成13年の生息状況調査によると、新たに6ケ所の生息地が確認され、全体で8ケ所の生息地が確認されているそうです。トゲソの生息は、まさに水環境のバロメーターと言えるでしょう。 尚、このトゲソの呼び方は、場所によって色々とあるようですが、五泉の町の中では、ほとんどの人は「イトヨ」と言っていました。
五泉(ごせん)トゲソを守る会は、五泉市の清流のシンボルともいえるトゲソを保護 する目的で、1997年(平成9年)4月13日に設立されました。このままでは絶滅してしまう希少動物の保護活動を通して、 豊かな自然環境を次の世代に継承したい・・・そんな願いが込められています。活動の詳細は、その後、NPO法人化した、「五泉トゲソ の会」のホームページよりご確認ください。