「切り返し」の受け方と指導上の留意点について述べよ。
 中段の構えから、機を見て剣先をやや右に開いて正面を打たせる。直ちに連続左右面を後退または前進しながら打たせ、打ち終わったら間合をとって中段の構えになり、直ちに剣先をやや右に開いて正面を打たせる。
 なお、左右面の受け方には次の二とおりがある。
 引き込む受け方は、特に初心者の打ちをうけるときに用いられ、一本一本の打ちを十分に伸ばすようにする。
 打ち落とす受け方は、技能の上達した者の打ちを受ける時に用いられ、打つ瞬間の手の内の締めや、打ち落とされたことによる上肢の脱力と手の返しを修得することができる。

(指導上の留意点)
  1.  受け方は、引き込む方法と打ち落とす方法があるので、掛かる者の技能を認識させる。
  2.  連続左右面打ちは歩み足で受ける。竹刀を垂直にして、左こぶしの位置はほぼ腰の高さ、右こぶしの位置はほぼ乳の高さにし、両こぶしが上がり過ぎないようにさせる。
  3.  気を張って(気を入れて)合気となり、大きな声を掛けて相手を引き立てるようにさせる。
  4.  左右面打ちは、左面から打ち始めて左面打ちで終わるように習慣づけ、正面打ちも正確に打つようにさせる。
  5.  前進と後退の両方を必ず行わせる。
  6.  最後の正面を打った後は残心を示すようにさせる。