平成13年4月30日(月)に神奈川県立武道館にて実施される、剣道四・五段審査における学科問題です。
共通問題は必ず出題されます。もう一問はそれぞれの段位の出題から一問出されます。
四段・五段 共通(必須) ○呼吸について述べよ(必須問題) 呼吸は剣道において、極めて大きな役割をもっている。すなわち、息を吸い込むとときは、十分な力を出し得ないものであり、十分な力を出すには息を止めているか息を吐くときである。力を出すときには、よく掛け声をかけるが、声そのものが大切なのではない、掛け声をかけるには、必ず息を吐かなければならないから、十分な力を出すときには、自然と声が出るのである。したがって、相手が息を吸うところを、自分は息をはきながら打つのが効果的となる。
また、平素からなるべく平静に呼吸するように注意して、自分の呼吸を相手にさとられないようにすることが大切である。
四段(二問中一問出題) ○剣道四戒について説明せよ。 四戒とは、驚・懼・疑・惑の四つを言い、剣道修業中に、この中の一つでも心中に起こしてはならないと買う戒めである。
驚とは、予期しない相手の動作に驚くときは、一時心身が混乱し、正当な判断と適切な処置を失い、甚だしきは呆然自失することもある。
懼とは、恐怖の念が一度起きると、精神活動が停滞し、甚だしきは手足がふるえて、その働きを失うものである。
疑とは、疑心あるときは、相手を見て見定めがなく、自分の心に決断がつかず、敏速な判断、動作ができない。
惑とは、惑う時は精神が混乱して、敏速な判断、軽快な動作ができない。
従って剣道の勝負は技だけでなく、心の動きに支配される事が多いもので、相手に隙が生じても、この四戒の一つが心に起きれば、隙を見る事ができぬうえ、自ら萎縮し隙を出し、相手から打たれるものである。
故に、常に四戒を脱して、思慮の深い活発な精神を養うよう修練すべきである。○審判の目的と任務について記せ。 審判の目的の第一は、試合の勝敗を正確に判定すること。特に有効打突の成否は剣道発展の極めて重要な影響をおよぼすものである。従って審判員は正しい剣道を自ら学び、その理合をよく知り、試合審判規則を正しく運用し、勝敗の事実を正確に判定しなければならない。その上試合を上手に運営すると共に試合者を活気ずけ、興味を換気させ、正しい剣道を自覚するよう、善導する任務がある。 五段(二問中一問出題) ○気合いについて説明せよ。
気合いとは、全身に気力を充満させ、少しの油断もなければ邪念もない状態をいう。
気合いには、有声と無声とがあり、掛け声として外に発するものと、体内の気力に内蔵して声を外に発しないものとがある。いづれも相手に隙を与えず、また相手に一瞬の隙でも生じたら、直ちに打ち込む状態を言い、弓なら矢を満月に引き絞っていつでも放てる状態を言う。剣道では、気合いは極めて重要で、普段は自己より強い相手でも、試合でたまに勝ったりするのは気合いの充実度にほかならない。
初心のうちは、相手に威力を感じさせるくらい、力のこもった、腹の底からの発声を心がけることによって、気合いが徐々に育成されるのである。○「鍔ぜり合い」で膠着(こうちゃく)状態とはどんな事か。
試合などに於いて、鍔ぜりあいの時、お互いに技を仕掛けようにも技をだせない状態をいう。
審判等を行なう場合に於いては膠着状態か、単に時間稼ぎに鍔ぜりをしているのか、よく見極めて審判を行なう。
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