学 科 問 題


 平成13年11月4日(日)に相模原市立総合体育館にて実施される、神奈川県東部地区審査会(剣道三段以下)における学科問題です。
 共通問題は必ず出題されます。もう一問はそれぞれの段位の出題から一問出されます。

* 今回の回答に多大なるご協力をいただきました○○先生、ありがとうございます。


初段(一問中一問出題)
○じょうずな挨拶のし方を記せ。      
 挨拶は、私たちが人間として社会生活をしていく上で円滑油となる、非常に大切なものの一つです。
自然体から相手を注目し、上体を静かに約30度(会釈は15度)前に傾け、相手への敬意を示す動作です。
 挨拶の挨はひらく、拶は迫るの意があり、心を開いて相手に迫る、押し合うと云うことであるので、剣道でもそうであるように、相手が挨拶をしてくれるのを待っているのではなく、先をとって挨拶をしたいものである。
 また、「形は心をあらわし、心は形にあらわれる」というように、ただ形式だけの挨拶になってはいけません。剣道は昔から「礼に始まって礼に終わる」と言われてきたように、剣道を通じて身体を鍛えるとともに心を養い、道場だけでなく、どんなところでも、どのようなことがあっても、他人を侮ったり、卑屈になったり、傲慢になったりするようなことがなく、どのような人に対しても、敬い尊び、礼をつくし、心のこもった挨拶を心がけたいものです。
二段・三段共通(必須)
○よい(立派な)試合とはどんなのか。      
 剣道の試合ではただに勝つだけではなく、相手の技にも態度にも心にも勝つことを目指さなければならない。
 「剣道は礼に始まり礼に終わる」といわれているように、剣道から礼をとれば野蛮な打ち合いの競技に終わってしまう。よい試合とは、勝敗にこだわらず、基本の姿勢や技が保たれていて、無理がなく、剣道の目的が失われていないものである。
 よい試合をするためには、礼儀を重んじ、互いがすべての気力と技術を発揮し、真剣に正々堂々と戦うことを心がけなければならない。
二段(二問中一問出題)
○技癖について述べよ。       
 昔から人には無くて七癖と言われているように、各人それぞれ癖のあるものである。
 剣道でも各人に技術上、大小の悪癖がある。これを技癖という。師から正しい技術を示されても、個性の悪いあらわれとして、技癖が生まれてくるのであるが、これはその技術を正しく理解し体得していないためである。技癖は上達を妨げる大きな原因となるので、技癖を指摘され、正しい技術を示されたときは、最も大切なこととして、技癖を直すよう努力しなければならない。
○一足一刀の間合いを説明せよ。           
 一足一刀の間とは、一歩踏み込めば相手を打突でき、一歩下がれば相手の打突をはずすことのができる間を言います。
 普通、お互いにこの間から打突を行うことが多く、基本の間合いとされています。
三段(二問中一問出題)
○三つの間について説明せよ。
 間合いには「一足一刀の間」「近問」「遠間」の三つがある。
 「一足一刀の間」とは双方が中段に構えたとき、剣先が触れるか触れないかという間合いで、−歩踏み込めば相手を打突でき、一歩下がれば相手の打突をはずすことができる。
攻めにも守りにも強い基本の間合いで、同格者を相手に充分に力を尽くして稽古をするのに適した間合いである。
 「近間」とは一足一刀の問より近い間合い、双方が中段に構えたとき中ゆいあたりまで竹刀が交わる間合いである。自分から打突しやすいと同時に相手からも打突されやすい。
初心者を相手にするときなど、いろいろな技を出させて打突させるとともに、自分もまた各種の技を試みて習得するのに適した間合いである。
 「遠問」とは一足一刀の問より遠い間合いである。相手の打突をはずすにはよいが、自分から打突することが難しい、守るに強く攻めるに難い間合いである。自分より上位者、連続技を得意とする相手に対してはこの間合いに構え、技の尽きたところ、起こり頭、引くところなどを攻めるのが有利である。
○懸待(攻防)一致について記せ。
 「懸」はかかりで打突していくこと、「待」はまつで応じることである。「懸待の一致」とは攻撃と防御が表裏一体をなすもので、攻撃中も相手の反撃に備える気持ちをうしなわず、防御にまわっている時でも常に攻撃する気持ちでいることの大切さ、柏手を攻め打突する技がそのまま防ぐ技となるように、また防ぐ技がそのまま攻める技に変化するように心がけなければならないことを教えたものである。


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