平成14年11月4日(祝)に神奈川県相模原市総合体育館にて実施される、剣道三段以下審査における学科問題です。
初段は一門です。二段・三段共通問題は必ず出題されます。もう一問はそれぞれの段位の出題から一問出されます。
初段(必須) ○練習中大きな発声が大切なわけを記せ。 剣道におけるかけ声は、次のような効果があります。
大きな声を出すことにより、自らを励まし、気勢を増し、恐怖の心をなくし、攻勢に出られる。
相手に驚きや恐れを与える。
無心になることができる。
心気力の一致をはかれる。
打突の瞬間に声を出すことによって速く、強く冴えた打ちになる。
気合いとは、全身に気力を充満させ、少しの油断もなければ邪念もない状態をいう。
初心のうちは、相手に威力を感じさせるくらい、力のこもった、腹の底からの発声を心がけることによって、気合いが徐々に育成されるのである。二段・三段 共通(必須) ○かかり稽古の心がけと効果を各々箇条書きに3つ以上記せ。 相手から打たれたり、いなされたり、応じられたりすることにとらわれずに、自分の思いのまま十分な気力と体力をもって、いろいろな技を身を捨てて強く激しく打ち懸かる稽古です。
かかり稽古には次のような効果があります。
敏捷性・持久力が養われる。
手の内、手の返しがよくなる。
正しい間合いを知る。
打つべき機会を知る。二段(二問中一問出題) ○正しい中段の構えの「両足」「竹刀の持ち方」「目の付け方」の点を箇条書きで簡単に説明せよ。 (両足について)
右足を半歩前に出し、両足のつま先は前方に向けて、左右の開きはおおよそ握り拳の幅くらいにします。
前後の開きは右足のかかとの線に沿って左足のつま先を置くようにします。また、左足のかかとをわずかに浮かせて体重を両足に等しくかけ、両膝はまげず伸ばさずの状態に自然に保つようにします。
(竹刀の持ち方)
左こぶしの位置はへその高さで、拳一握り分体から離します。
左手の小指を柄頭いっぱいにかけて上から握り、小指、薬指、中指を締め、人指し指と親指を軽く添える。右手も同様に上から軽く握り、右こぶしは鍔に触れるか触れないか位の位置を持ちます。
両肘は張り過ぎず、すぼめ過ぎず、伸ばし過ぎずの状態で、肩の力を抜き、自然に体側につけ、ゆとりを持って構えます。
(目の付け方)
相手の目を中心に、全体を見るようにします。
○技癖について説明せよ。 昔から人には無くて七癖と言われているように、各人それぞれ癖のあるものです。
剣道でも各人に技術上、大小の悪癖があります。これを技癖といいます。
師から正しい技術を示されても、個性の悪いあらわれとして、技癖が生まれてくるのですが、これはその技術を正しく理解し体得していないためです。
技癖は上達を妨げる大きな原因となるので、技癖を指摘され、正しい技術を示されたときは、最も大切なこととして、技癖を直すよう努力しなければなりません。
三段(二問中一問出題) ○打突の好機について説明せよ。
@ 起こり頭
出頭、出鼻ともいい動作を起こそうとする瞬間
A 受け止めたところ
相手が自分の打突を受け止めた瞬間
B 居着いたところ
心身の活動がにぶり、動きが一時停滞した瞬間
C 退くところ
相手が攻めに屈して退こうとした瞬間
D 技の尽きたところ
相手の技が一時中断し、体勢を整えようとする瞬間
○三つの許さぬところを述べよ。 @ 起こりがしら
技を出そうとするときには必ず構えに変化が起こります。
相手が、面なり小手なりを打ってこようとする、そこをすかさず打突します。
A 受け止めたところ
相手がこちらの技を受け止めた瞬間は、技が尽きた時と同じで、
必ず隙ができるものです。その隙が打突する機会になります。
B 技の尽きたところ
お互いに攻め合って、技を出し合って、その技が尽きたところ、
または、思い切って面なりを打突してきて失敗した瞬間のことです。
この瞬間は完全な隙になりますから、打突の機会になります。
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