平成14年11月10日(日)に神奈川県立武道館にて実施される、剣道四・五段審査における学科問題です。
共通問題は必ず出題されます。もう一問はそれぞれの段位の出題から一問出されます。
四段・五段 共通(必須) ○勘について説明せよ。 勘とは、相手の虚や実を頭でよく考えて判断するのではなく、無意識的に頭にひらめいて動作になることをいいます。
勘は、稽古に稽古を重ね、はいじめて身につけることができます。
四段(二問中一問出題) ○四つの足さばきについて記せ @ 歩み足(あゆみあし)
日常生活で行う歩行と同じ要領で交互に足を前に出す足運びで、
相手との距離があり、送り足では間をつめるのに時間がかかる時に用います。
A 送り足(おくりあし)
最も基本的な足運びで、基本の構えをしたときの右足が前で左足が後ろの形です。
進行する方向の足から移動を開始して、ついで他方の足を移動した足に引きつける動きです。
B 開き足(ひらきあし)
相手の打突を、身体を左右にさばいてかわすのに用います。
左に捌いたときは左足が前になります。剣道形の4本目、仕太刀の動きです。
C 継ぎ足(つぎあし)
後ろ足を前足に引きつけ、前足から前進する足運びで、
相手との距離が遠くて打突が届かないとき、間を盗んで大きく踏み出すために用います。
○「摺りあげ技」と「返し技」の違いを説明せよ 「摺り上げ技」と「返し技」の違いは、「摺り上げ技」は相手の竹刀に対して摺りあげた側を打ち、「返し技」は応じた反対側を打つところにあります。
「摺り上げ技」は、打突してきた相手の竹刀を自分の竹刀の右側または左側で摺り上げげ、相手の打突を無効にすると同時に打ち込む技で、「返し技」は、打ち込んでくる相手の竹刀を摺り上げるように応じ、ただちに手首を返して反対側の部位を打つ技をいいます。
五段(二問中一問出題) ○放心について述べよ
ふつう「放心」というと、心がぼーっとしてまとまりのない状態をいいますが、剣道でいう「放心」とは、どんなことにも対処できるように、心をとき放ち、何ものにもとらわれない心をいいます。 ○明鏡止水について説明せよ 明鏡止水とは、自分の心から四戒などの邪念をとりはい、心が明らかな鏡のように澄み切っていれば、静まりかえった水面が月を写すように、相手の隙が自然に自分の心に映るということです。
くもりのない鏡と、静かに澄んだ水の意味で、ともに物をうつす心にたとえ、心の中に一点のくもりもない状態、即ち、邪念邪想を払い清めた無念無想の心境を教えたものです。
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