5月4日。金。曇り。雫石(盛岡市)。2444/46キロ。
宿を出て暫く、4号線のだらだら坂をゆっくり登っていたら、重装備の自転車を押している年配の男性に会った。私も自転車を降りてお付き合いする。
男性、私の自転車を見るなり「うわ〜っ!本物だ」と嘆声を上げる。彼のママチャリに毛が生えた程度の自転車のハンドルに、何か異様な物がガムテープで取り付けられているのは、距離計のようだった。「これ100円で買ったのだけど、まだ使えるよ」と言う。
今朝三時に花巻を出て、盛岡に向かう途中とのこと。後ろの荷物は、土産と弁当。
お年を伺ったら、大正13年とのことだった。私より11歳上の83歳だ。私が昭和10年と言ったら「わけ〜な〜。まだ70さならんべさ」と、すっかりひよこ扱いされた。
何しに行くかまで伺わなかったが、(婆さが作った弁当さ持って、盛岡の孫っこさとこ会いに行くんだべか?)
「それではお元気で」と、ひよこは再び自転車に乗って、このパワー満点のお爺ちゃんに敬意を表して別れた。
パワーと言えば、今日お会いした藤原先生もパワー満点だ。私より一つ年上だが、1996年から7年間、鉄嶺国際教育学校、瀋陽医科大学で日本語教師として教鞭をとられ、今も盛岡のある実業学校の非常勤講師をされている。今日は、ご多忙の中をわざわざ盛岡観光案内と、雫石の温泉宿のお世話とお付き合いして下さった。
北上川の自転車専用道路を上って、「どんど晴れ」の開運橋から盛岡城、盛岡市観光博物館、曲がり屋など伝統の品々が保存された公園、啄木が新婚生活をした家、宮沢賢治記念館、原敬墓・・・。盛岡の名所旧跡をご案内して頂いた。赤のスポーツタイプ自転車で、颯爽と先導して下さる先生は、ペダルに片足立ちで乗り降りする。この先生の前では、私もまだひよこだ。
年寄りの パワー満開 どんど晴れ
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