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 凪ぎ待ち

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 5月18日。金。曇り強風、波浪、濃霧注意報。

 

 私はやはり「逆風を呼ぶ男」なのだろうか。夜半から風が出て来た。ホテルの窓から見える警察署の上に日章旗が掲げられているのだが、海からの風を受けて、強くはためいている。道路の立て札が風で倒されている。

 気象情報も、宗谷地方に強風、波浪、濃霧注意報が出ている。

 札幌の風雪千年杉さんが、北海道新聞に宗谷岬で会うよう手配して下さっていたのだが、思い切って「今日は行けません」とお断りした。

 

 無理をしなくて良かった。郵便局に用事があって自転車で出かけたのだが、風の強さは昨日の比ではない。寒さも厳しい。ズボン下に長袖のシャツ、毛糸のセータ、その上に合羽、手袋と松山なら完全に冬の装束だが、それでも鼻水が出る。

 風は昼過ぎから益々酷くなる。ホテルの窓は二重ガラスだが、ドンドンと風の塊が叩きつけるような音がする。

 

 驚いたのは、この寒さの中で膝小僧を丸出しにしている娘さんが居たことだ。年寄りのハートは、これを見ただけですくみ上がる。ホテルの娘さんも言っていた。「この辺では、髪が掻き分けられるほどでないと、風が強いとは言いません」と。

 

 幸いこのホテルは、インターネットのランケーブルがある。爺ちゃんは膝小僧を抱えて、これで囲碁でもしながら凪ぎ待ちをしよう。

 

 風無情 乙女の膝を めくり上げ

 

 

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