ふと通りかかった森の中でDは夢を見る。 夢の中である少女と出会う。 目覚めた後、ある村を通るがそこの村人達はみなDがやってくるのを夢で見て知っていた。 病院へ案内され、入った部屋には夢で出会った少女が貴族の口づけを受け、30年もの月日を 年もとらずに昏々と眠っていた。 少女が襲われてからは貴族も現れなくなり、この村ではDは用がなかった。 しかし、どうしても村から出ることができない。 夢見る少女「シヴィル」が引きとめているのか? 村人達は夢の中で出会ったDに対し、様々な感情を抱いたが大半は憎悪であった。 それは何故か? この話は菊地秀行氏著書の「夢幻舞踏会」(昭和六十年大和書房刊行 昭和六十三年祥伝社発行)という 話しを別の角度からアプローチしたしたものです。 私的にはDが出てくることにより、「夢幻舞踏会」よりも充実した内容になっているように感じましたが、 これは読んだ方それぞれ感じ方が違うでしょう。 夢は変幻自在なので、話しの題材に使いやすいのでしょう。 菊地氏の別のシリーズ「メフィスト」にも「夢盗人」という話しが出ています。 しかし、SFの世界では「夢」は使い方が難しいらしく、暗黙の了解で「夢落ち」は嫌われているそうです。 「夢なりし"D"」は夢落ちではなく、「夢」そのものを使用しており面白い内容となっています。 |