LOTUS 72  (1970)
(1993年製作、オートモデリング Vol.11掲載)
1970年コーリン・チャップマンが送り出した革新的マシンLotus 72です。ウェッジシェイプ、サイドラジエーター、インボードブレーキ、トーションバーサスペンションなど独創的なメカニズム満載のマシンでした。ヨッヘン・リントをして“このマシンならサルでも勝てる”と言わしめたほどです。リントはこの年、ロータス49Cで1勝、72で3連勝を遂げ、ランキングトップを独走します。しかし、イタリアGP予選で、トップスピードを上げるため、ウィングを外した彼のマシンはクラッシュ、リントは帰らぬ人となってしまいます。あとを引き継いだ若きエマーソン・フィッティパルディは、自らの初勝利をこの72で上げるとともに、亡きリントにチャンピオンをプレゼントしました。華やかなゴールドリーフカラーの72はそんなエピソードを持つ悲劇のマシンでもあります。
ロータスファンなら当然72は落とせない。1/20で揃えたいけど、当時はキットもないので、フルスクラッチとあいなりました。ついでに?72Dと同時スクラッチを敢行。

72では素晴らしいタミヤ1/12の定番キットがでているので、これをスケールダウンすることに。タミヤの塗装図から、1/20の2面図を起こし、プラ板の箱組で‘くさび型’を作ってしまい、あとの造形はプラバンやらパテやらで。ノーズ部分はSRCの43でも間違っているので注意(72Dから改修されていない)。 デカールはインレタ(既製字体のもの。当時はインレタの特注なんて一般的ではなかったのです)、流用デカール、手書きの寄せ集めです。(ましてやパソコン、プリンターなんて)

72と言えばヨッヘン・リント。昔の1/20シリーズに入っていたおなじみのドライバー人形を改造しました。オモチャっぽくしないポイントは、しっかりとステアリングを握らせること。指の関節を曲げ、パテでステアリングと一体とします。しかし、カラフルな72に黒いジェットヘルのリント、非常に格好いい組み合わせです。

72系の特徴の一つは、透明部分と一体成形されたウィンドウシールドです。作例では、バルサで型を作り、イエロースモークの塩ビ板で一体ヒートプレス。透明部分をマスキングしてサフ、赤を塗りました。モノコックとは頭を削った虫ピンで固定してあります。

流用パーツはエンジン、ギアボックス、タイヤ(FW11より)ホイール(リジェより)等々、多くは自作となってしまいました。サスペンションもほとんど洋白線などからの自作です。とんでもなく複雑です。手法的におもしろいのはタイヤで、溝付きなのですが、デザインで使うラインテープを溝の山として重ねて張り付けました。質感もなかなかそれらしくなっています。メッシュホースやホースコネクタが良い雰囲気です。