BRABHAM BT52  (1983)
(1992年製作、オートモデリング Vol.10掲載)
ジル・ヴィルヌーブの死亡事故など、大事故が多発した1982年シーズン後、FISAは安全対策としてフラットボトム規制を打ち出します。ブラバムのデザイナー、ゴードン・マレーは、慌ただしくマシンデザインを急ぐ他チームを尻目に、このレギュレーションをうまく利用した新しいコンセプトのマシンを登場させます。大きなサイドポンツーンが不要になったため、レース途中のタイヤ交換、燃料補給を前提にした小さな燃料タンクを装備し、サイドポーツンは極端に切りつめられました。コンパクトなBMW直列4気筒ターボエンジンのため、車体全体も非常にコンパクトにまとまり、三角形のフロントウイングを装備したそのスタイルは、まさしくアロウシェイプ、というよりイカ型。ともかく、前年までのマシンデザインから一線を画した、注目すべきスタイリングのクルマでした。他チームが試行錯誤の中、明確なコンセプトを持ったBT52を駆る'81チャンピオン、ネルソン・ピケは卓越したドライビングでこの年2度目のワールドチャンピオンを獲得しました。コンストラクターズタイトルはフェラーリが獲り、ターボエンジンのパイオニアであるルノーは、アラン・プロストの善戦及ばず、BMWとフェラーリに、ターボによる初チャンプをさらわれた格好になってしまいました。
これは、ブラーゴのミニカーを改修したものです。当時ブラーゴは、このブラバムBT52を始めとして、ウィリアムズFW08c、フェラーリ162C4、マクラーレンMP4/2を1/24と称して出していましたが、実際は1/20のスケールとなっており、非常にスタイリングも良く1/20コレクションには最適でした。その後、カラーリング(実際はシール)だけはその年々のものに変更され、しばらく市場に出回っていましたが、残念ながら、現在は手に入りにくいようです。また、その後のロータス97以降、スケールは残念にも?正確に1/24となってしまいました。しかし、現行のベネトンB188、フェラーリ641/2やF300などスタイリングは絶品で、下手なレジンよりも格好良いものができます。
ブラーゴのボディは、ペイントをペンキ用剥離剤(取り扱い注意!)で落とし、ペーパーがけ、サフ吹き、下地を整えリペイントします。スタイリングは、ほぼ文句無し。修整していません。
やはり、ネックは足回り。タイヤ、ミッションなどは当然タミヤのBT50から流用しました。リヤサスもあまり見えないから流用で良しと。フロントサスはしようがないので、真鍮角線で自作しました。
当然ピケも乗せます。ちょっとあごを上げたドラインビングスタイルがピケの特徴。
カラーリングは、流用デカール、ベタデカールの切り出し、コピーの利用など。コンピューター+アルプスプリンタなどなかった当時は苦労しました。
見事なイカ型。失礼、アロウシェイプ。格好いいです。仕様は緒戦のブラジルGPです。一応。BT52はGPごとの変化が大きく、フロントウィングの仰角や、ターボ関連のダクトなどが変わっています。でも、この仕様がいちばん格好いいと思います。蛇足ながら、BT52はイギリスGPよりBT52Bに進化するのですが、それに伴い、カラーリングはポジネガ反転となり、スマートに進化を印象づけたことは有名です。このころのブラバムはまさに超一流チームだったのです(オーナーもバーニー・エレクストンだったし)。
この作例も古くなって、今ではあちこちにデカール、クリアコートのひび割れが出ており、とてもアップではお見せできません。現在では、BT52はModel Factory HIROよりフルディテールのメタルのスーパーキットが出てます。あと、Factory T'z からもレジンでBT52Bが出てました。でも、ブラーゴもスタイリングでは全く遜色ありません(というより、こっちの方が良いでしょう)。両キットともストックしているのですが、もう一度ブラーゴでやりたいと思ったりします。(あるいは1/12で?)