Williams FW18 (1996)
(1997年製作)
1996年は、完璧なウィリアムズの年でした。ドライバーはウィリアムズ4年目となるD.ヒルに加え、CARTチャンピオンのJ.ビルヌーブが鳴り物入りでF1進出を果たします。マシンのFW18は、もちろんエイドリアン・ニューウェイによるもので、前年ベネトンにタイトルを奪われたとはいえ、基本性能は優秀であったFW17を改良進化させたものです。そのデザインは、新しい車両規定を巧みに解釈し、細身に仕上げられたモノコックやシンプルな空力デバイスなど、非常にまとまりの良さを見せています。特に各部にフィンを立て、これにより車両寸法の規定をクリアしつつ、高い空力性能をもつボディワークをデザインしたことは、次シーズン以降、他チームの規範となりました。さらにRS8ルノーエンジンは速さにくわえ信頼性も抜群、フランスGPより更に高回転となったスペックBが投入され、そのトータルバランスは他のエンジンを圧倒しました。
全てが揃ったウィリアムズは、シーズン前からチャンピオンの大本命と目されておりました。果たして、開幕戦のビルヌーブのデビュー戦いきなりのポールポジションに始まり、チームは開幕5連勝(D.ヒルの開幕3連勝を含む)。終わってみれば、D.ヒル、8勝、J.ビルヌーブも4勝、6回の1-2フィニッシュと完勝。ヒルとチームは両タイトルを獲得しました。FW18は、シーズン中も、抜群の信頼性、操縦性を示し、シャシーは大きなモデファイを受けることなく、リードを保つことができ、基本デザインのレベルの高さが証明されました。FW18のデザインはそのまま翌年のFW19に受け継がれ連続チャンピオン獲得を果たします。
このマシンも非常に好きなデザインです。
FW17では、ニューウェイ初のハイノーズに違和感を覚えたのですが、FW18では、ラウンチの時点で見事なまとまりのマシンだと感じました。特にフィン立てることにより、低く、スリムに抑えたモノコックやリアウィング、ターニングベインのデザインには、他マシンには見られないニューウェイ独特のスマートなセンス、デザイナーの自信が感じられます。加えて、FW16から続くロスマンズカラーと各スポンサーのマーキングが非常にバランス良く、上品できれいなカラーリングです。これが翌年のFW19になると、カラーリングが変更になり、スポンサーのマークもうるさく、まとまりがなくなってしまったのが残念です。
これは、ホビーベースカスタムのレジンキットに手を入れたものです。しかし、このメーカー、ディテールが甘いのはしょうがないにしても、基本的な寸法がかなりいい加減で、全長、全幅、ウィング幅など疑ってかからないといけません。作例ではF1速報の総集編の2面図を参考に、ボディ全体にわたって伸ばしたり、削ったり、全てにおいて手を入れてます。ウィング、サスアーム、タイヤやその他小物も使い物にはならず、自作か流用となります。タミヤのティレル023などから流用しました。ホイールは当時、着手したものの製作を中止したモデラーズのMP4/13から流用しました。デカールも一応揃ってはいるのですが、大きさ、字体とも、とても使う気にはなれず、ロスマンズのマーク(別売りを使用)のほかは、すべてパソコン、プリンターによる自作です。仕様は当然日本GPです。マーキングの他、エンジンカウルなども後半戦で変化があるようです。

紺地に白のelfのマークなどは、白で印刷しても透けるので、逆に白デカールにマークのネガイメージを紺で印刷します。印刷する紺色と車体の紺をできるだけ合わせることが必要ですが、縁をぎりぎりまで切り取ることにより、透けることのない、エッジがシャープなデカールができます。

マーキングとドライバーは、人気のビルヌーブではなく、やはりチャンピオン獲得に敬意を表してヒルです。ドライバー人形は、モデラーズ、絶版になって久しいのですが、未だこれを越えるフィギュアが出ないのが残念です。昔のF1が大好きな私としては、偉大な父、グラハムと同じヘルメットの白い線(オールをかたどったものです)を貼ることは、何となくうれしいものでした。(逆に悲しいのは、フロントウィング・ステーのセナマークです。)

結局、ボディの芯にしかならなかったキットですが、苦労した甲斐あってか、できあがってみると、かなり格好よいフォルムで気に入ってます。キットが元々細身にできているので、実物よりスリムにデフォルメされ、ニューウェイらしさが強調されたと思います。初めて本格的に取り組んだ、パソコンによるデカールの自作も、それはそれで楽しいものでした。 
しかし、今では、写真では分かりませんが、クリアー(モデラーズ)が見事に黄変してます。当時は、他にもこの塗料を常用していて、なにも問題はなかったのですが、なにが原因か、これに限って完成後、数ヶ月で黄色くなってしまいました。 悲しいもんです。やはり経時変化に一番強いのは、ウレタンということになるのでしょうか。