FM DXer

 “FM”というのはほかでもなく、FM放送を指します。“DX”は通信用語で遠い(Distance)を意味します。
で、これに“er”をつけて遠方FM放送受信者とでも申しましょうか・・(^_~)。

 昔流行したBCL(BroadCasting Listener)を思い出します。ラジオメーカーがかなり力を入れて、ユニークなラジオが次々に作られてましたっけ。特に中波と短波受信がメインだったようです。目的は放送を受信し報告をして、受信確認証(ベリカード)をもらおうというものです。

 FMDXを始めたきっかけは、FM沖縄がラジオで受信できたことがあったからです。富山から沖縄の放送が聞こえるというのはウソみたいな話ですが、4月から7月ぐらいにかけてEスポと呼ばれる
*電離層*がたまに発生し、大陸の電波を異常反射して日本海側の地域ではFMやテレビの1〜3chに混信することがあります。この電離層の発生の場所によっては、ずっと離れた地域の電波が届くこともあるのです。

 Eスポの発生具合によっては、ローカルの受信を乱すほど強い電波になることもありますが、遠方から届く電波は普段は弱いので受信の機会を逃さないためにも屋外アンテナは必要です。受信感度・大きさなどから5素子八木アンテナが実用的でしょう。なるべく高く上げたいところですが、強風・落雷の心配があるのほどほど(6mぐらい)にしています。当然ながら、外部アンテナの接続端子を持ったラジオ(受信機)がいいですね。雑音の少ない郊外や高台に住んでいる人は、受信に絶好の場所だと言えます。

 中波放送でもアンテナは有効です。この場合はアンテナとして10mぐらいのビニール線を軒下などに這わせ、室内へ引き込んでからビニールのまま、ラジオに4〜5回巻きつけます。だからラジオにアンテナ端子がなくても平気です。ビニール線は長いほど感度が上がりますが、電気製品のノイズも拾いやすくなります。また夜間に混信がひどくなる場合は、アンテナの必要がないかもしれません。巻いたビニール線の先はアースに接続したいですね。アース棒を売っているDIYショップもあります。でなければビニール線の被覆を1mほどはぎ、その部分を地面に埋めて水をかけただけのいいかげんなものでも、それなりに効果はあります。うまくすると日中に思いがけない局が聞けたりして、うれしくなることもあります。

 FM沖縄を受信して以来、遠方のFM放送局を受信することに熱を上げている時期がありました。そして集めたベリカードがちょっとした思い出になってる、ってわけです。今でもアンテナとチューナーをまめに操作すれば受信できる局もあるのですが、ローカル局の数も増え、そのために受信不可能の局が多くなりました。


*電離層*
 上空の大気が太陽の紫外線等により、イオン化した状態で地上50〜60kmにあるD層、100km付近にE層、200〜400kmあたりにかけてF層があり、電波に対して反射・吸収の作用がある。それぞれの層はイオンの密度が違うなどで性質が異なり、反射する電波の種類が違う。目安としてD層で長波、E層で中波、F層で短波を反射すると覚えておくとよい。これらの層は季節・昼夜において、ある程度決まった変化を繰り返すが、E層付近に突発的に現れるスポラジックE層(Eスポ)は気圧配置など天候によるとも考えられ、超短波(VHF)を反射することもある。


FM沖縄 87.3MHz
1989年(平成1年)6月9日

以前に受信できたことがあったので、大陸の電波が混信しているときとか、ことあるごとにチャレンジしてました。この日、めでたくカセットに録音でき、記念に受信報告をしました。
これがきっかけで受信しては報告書を書き、ベリカードをもらうということが趣味のようになりました。

手持ちのベリカードの中で唯一女性の写真でした。
FM長野 79.7MHz
1989年 6月14日

高山植物の写真のベリカードとともに、ステッカーもいただきました。
実はFM長野はアンテナを向ければいつでも受信できるんですね。後から受信報告書をもとに作成した「放送受信地図」なるものが送られてきました。それによると・・・送信アンテナが美ヶ原の標高2056mにあり、隣県はもちろん栃木・千葉・東京・静岡・愛知・三重・奈良・京都・石川県輪島など、200km以上の遠方まで届くそうです。
FM三重 78.9MHz
1989年 6月14日

ここもアンテナを向ければ、普段から聞こえる局です。やはり三重県のNHKFM津も聞こえています。
どうも地形が影響しているようで、飛騨高地と両白山地の間の南北に伸びる谷間に沿って、電波が届くのではないかと思われます。
FM802 80.2MHz
1989年 6月22日

周波数がそのまま局名に。これではどこの放送局かわかりません。(大阪です)
特大の封筒にこのベリカードと、シール・ステッカー・タイムテーブル(番組表)・FM802オリジナルのカセットテープが入ってました。
今ではFM802も聞けなくなってしまいました。すぐそば、80.5MHzにFM石川があって混信するからです。
FM群馬 86.3MHz
1989年 7月18日

ちょっとうわさの渡世人木枯らし紋次郎を思い起こさせるイラストのベリカード。
NACK5 79.5MHz
1989年 7月20日

会社がエフエム埼玉、愛称が795に引っ掛けてNACK FIVE。
FM長野が79.7MHzとかなり近く、しかも受信方向が似通っているため、コンディションが良くないと受信が難しい局です。
FM横浜 84.7MHz
1989年 8月3日

YOKOHAMAらしいサーフィンの写真。ステッカー、タイムテーブルもいただきました。

Kiss FM神戸 78.4MHz(香住)
1991年(平成3年) 4月9日

受信は本周波数ではなく、サテライト周波数です。兵庫県香住町は日本海側。わずか100Wの電波を捉えました。
FM山陰 78.8MHz(鳥取)
1991年 4月9日

ここも松江の本周波数ではなく、鳥取のサテライトを受信しました。とはいえ、電波は本周波数と同じ500W出力です。
すぐそば(78.9MHz)にFM三重がありますが受信方向が違うため、コンディションしだいで受信が可能でした。
FM福井 76.1MHz
1991年 4月24日

富山県からは近いのですが、意外に電波が弱く受信が難しい局でした。
FM沖縄 87.3MHz(2度目)
1991年 5月16日

かなり荒れた(フェージングが激しい)状態でしたが、ローカル局並みにFMラジオのロッドアンテナだけでも受信できることもあったので、2度目の報告となりました。2年前のベリカードとは違うデザインが。
今回はタイムテーブルもいただきました。



*フェージング
周期的に、あるいは不定期に電波が弱くなったり強くなったりする現象。
beyfm 78.0MHz
1991年 5月16日

エフエムサウンド千葉、千葉県です。局名を「ベイエフエム」としかアナウンスせず、しばらくはどこの放送局か分からなかったです。
タイムテーブルも送られてきました。
東京FM 80.0MHz
1991年 5月25日

民放FMの老舗御三家の1つ。
ステッカーとタイムテーブル、システム手帳リーフ1991−6月版22ページをいただきました。
地元中波放送局のFMサテライト(このようなケースは珍しい)が、80.1MHzにあり受信がむずかしい。
Jwave 81.3MHz
1991年 9月3日

ローカルの強力な電波NHKFM富山が81.5MHzにあり、ここが停波していた深夜になんとかキャッチ。普段はめったに聞けません。
タイムテーブルと、なんとテレカをいただきました。もったいなくていまだに使わずに持ってます。

FM新潟 77.5MHz
1992年(平成4年) 5月14日

お隣りの県にあるのになかなか受信できないFM新潟。県境に高い山々が立ちはだかり、しかも送信所ははるか北にあるんです。
タイムテーブルもいただきました。